『えっと……潤くん
その辺で車止めて』
買い出しに出掛けた俺らは5分と走らず、お母さんに止められた。
『え?買い物に行くんじゃないの?』
相葉ちゃんが後ろから身をのり出した。
『あー。材料はもう大神さんが用意してるから…
……大丈夫よ、……
それより、ちょっと皆と話したくて』
智くんのお母さんが最近の智くんの様子を話してくれた。
病気が判明してから今日に至るまで……
ずーっと側で見ていて耐えられなかったと。
大神さんも同じような事を言ってた。
『あのこ、私たちの前で泣かないの。
私たちに当たることも、我儘言うわけでもないの。
だから、駐車場で大泣きしたときちょっと安心した。』
お母さんが泣いていた。
さっきまで明るい声でケタケタ笑ってた人が……
『………ねえ。
考えてみて。
もし自分の身体が少しづつ動かなくなって、
昨日出来たことが出来なくなるって。
ひとつまたひとつと希望を奪われて
自分で何も出来なくなって
人がお世話しないと生きて生けない
そんな状態を………』
『……………』
みんな俯いてしまった。
『それが今の智なの。』
『今は杖を使ってゆっくり歩けるけど
いつ動かなくなるか………』
『今、自由に動く手がいつ動かなくなるか
その恐怖を………』
『だから必死に絵を描いてるの』
『智の絵見た?』
『『はい』』
『よく見た?』
よく?どーゆこと?
『智の絵には嵐に対する愛がいっぱいなのよ。』
私は無理して笑う智に、
心から笑って欲しいの……