付き合い出した頃のことを…。
俺は、智くんの乗った車椅子を押しながら思い出していた。
もう、5年も前のことだけど今でもはっきり覚えてる。
『そう言えば……なんでメンバーにばれたんだっけ?』
と俺が言うと。
前を歩く3人のうち相葉ちゃんが
『翔ちゃんの態度がバレバレだったんだよ。』
と後ろ歩きしながら言う。
『そうそう。
智くん大丈夫?辛くない?
って……
新婚夫婦かってぐらい甘あまでさあ…』
と俺たちを振り替えって松本が言う。
『見てるこっちが恥ずいは…』
とニノが言う。
『で、ニノがかまかけて
「翔くんはリーダーと出来てんの?」
って聞いたら
翔くんが真っ赤な顔でどもるんだもん』
相葉ちゃんがその時の事を思い出したのか笑いだし。
吹き出しながら
『そしたらおーちゃんが
翔ちゃんを庇って
「出来てたら悪いか」って
爆弾宣言しちゃって。』
『そうそう』
松本が思い出したように
『その後、他にばれないようにおれら画策したよな』
と二人に同意を求めた。
『なのに当人たちは番組中でも、イチャイチャしたり
コンサートのMCで意味深な発言したりさ
ヒヤヒヤしたよな。』
『だから俺なんて、しょっちゅうリーダーの尻触って
嵐はスキンシップの多いグループて認識させるのに必死だった。』
『いやいや。
ニノのそれは昔ッからだから…』
と智くんが突っ込みを入れた。
久し振りの5人は本当に家族のような温かさがあった。
前を歩く3人は一生懸命ふざけている。
智くんは笑いながら
大事に持っていたスケッチブックをぎゅうっと胸に抱え込んだ。
森林公園の駐車場に智くんのお母さんが待っていた。
智くんが寂しそうな、悲しそうな顔を一瞬したかと思うと何か決心したのか綺麗な笑顔で
『………じゃあ。
……ばいばい』
て、手を振った。
その目からポタッポタッと泪が溢れてるのに気がついてないの?
俺は思わず抱き締めた。
『智くん、話があるんだ。』
俺は智くんの前にしゃがみこんだ。
『なに?』
『見世物のようになるかもしれない…
好奇の目にさらされるかもしれない……でも』
俺の目からツッーと一筋の泪が溢れ言葉に詰まる。
松本が俺の後ろから
『おれら「嵐」は5人で「嵐」なんだよ。』
その言葉に相葉ちゃん、二宮が頷く。
『一人でも欠けたら「嵐」じゃないんだよ。』
相葉ちゃんが答える。
『で、おれら考えたんだ』
松本が智くんの手を取り
『立てなくても、しゃべれるじゃない
踊れなくても、歌えるじゃない………
それじゃだめかな?』
俺は智くんを見上げた。
智くんの肩が震えてる。
いっぱいいっぱい泪が溢れて顔がぐちゃぐちゃだ。
『おいら…ヒックン…もう…ヒックン…泣か…ヒックンいって…決ヒックンめてたのに……ヒックン…うえーん』
智くんが大きな声を出して泣いた。
ずーっと我慢してたんだろう。
心を殺して、苦しい、寂しい、悲しい、怖い、そんな感情にいっぱい蓋をしてきたんだろうね。
自分が一番辛いのに
人を気遣い、泣けなかったんだね。
俺は智くんの身体を思いっきり強く抱き締めて背中を擦った。
優しく優しく何度も何度も………。
松本も相葉も二宮も泣いていた。