おいらは淡泊なのかもしれない。
この歳になるまで童貞ってあり得ないよね。
でも、アイドルなんて職業やってるとスキャンダルなんてとんでもないこと。
ましてや、心底好きになった人もいなかった。
自分の世界もあったから、人に自由を奪われることも好まないし、束縛されたくもない。
何度かお付き合いした人もいたけど、その人のために時間を取られるのも嫌だったから愛想をつかされること度々。
おいらは恋愛不適合者だと思う。
でも、気付いたんだ。
おいら 翔くんが好きだって。
最初は「翔くんって凄いなー」って
頭はいいし、なんでも知っていて、人当たりがよくて、おいらなんて名ばかりリーダーだけど
翔くんは影のリーダーとしてスタッフに気を配り、回りをよく見ている。
おいらはひとつ歳が上なのに次男体質で。
「あーあ」とか「しょうがないな」とか「智くんだからね」とか、そんな言葉しか聞こえてこない。
一日でも入れ替われるなら翔くんになりたいと思うほど翔くんを尊敬してる。
だからと言って全てが完璧じゃなく。
高所恐怖症で叫んでたり、運動神経が危うくて危なっかしかったり。
観ていると可笑しくて、ギャップ笑えた。
そんな翔くんをずっと見ていたら
「大野さん、翔くんばっかり見てる」
とニノに言われた。
「翔くんのこと好き?でしょう。」
おいらの頭に衝撃が走った。
「おいら、翔くんが好きなんだ」
それからはもうどきどきしっぱなし。
チラッと翔くんを盗み見れば翔くんと目が合う。
視線に気づいて振り向けば翔くんがこっちを見てる。
「なんで?
もしかして……
翔くんもおいらのこと………」
だったらどんなに嬉いだろう……。
そう思ってた。
だから今こうしてお互いの気持ちが重なったら怖くなった。
その先のおいらの知らない世界が、
おいらを変えてしまうんじゃないかって。
それが「嵐」にどんな影響を与えるのかって。
とっさに
『………おいら
帰りたい』
と言っていた。