Gaydar ! -10ページ目

Gaydar !

HIV+です。ゲイです。それ以外の自分って...なあに?(笑)

まずは 下記の記事をご参照ください。
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100113ddlk10040219000c.html

群馬県で、ある消防士がニューハーフパブで知り合ったフィリピン人と交際していた。
このフィリピン人は消防士と一緒になりたかったので、近くに住む知り合いのフィリピン人女性に頼んで偽装結婚をしてもらうよう依頼。その後、このフィリピン人は偽装結婚したフィリピン人女性になりすまし 不正に外国人登録書を入手した、ということらしい。

その後、同様の手口で行われた別の不正結婚事件が埼玉県内でいくつか発覚、ちょっとした騒動になっている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20100129-OYT8T01429.htm

MTF(Male to Female)の存在は、日本ではいわゆる「ニューハーフ」として知られている。
TVのバラエティ番組に出たり、本を出版したり、あるいは性同一性障害の話として語られたりしていて、'自由な性'を象徴する'型破り'な存在としてもてはやされているけれど、話が外国に及ぶと、少し事情が変わってくるように思う。

不法滞在している外国人が、不正な手段を使ってでも在留資格を得ようとする話は耳にするが、「性差」という外見では判断しずらい微妙な問題をタテに 今回の犯罪は発生した。
興味深いのは 日本在留とセクシャリティという別々の問題(「豊かな環境で暮らしたい」「愛する人と暮らしたい」というそれぞれの「欲望」と言い換えられるかもしれない)が「経済大国 ニッポン」というキーワードで結びつけられている点だ。

不正な手段でなされた行為じたいは法的に断じられるべきだとは思う。
ただし、こうした犯罪が起こりえる背景にはいったい何があるのか、そのあたりについて語られる機会はほとんどない。
たいていの場合は 'このワイドショー、なんだかキモイよね'で チャンネルが替えられてしまうのだ。

一方で、報道によって日本に在留し就業している他のアジア人たちへの偏見(バイアス)を増長するようなことにならなければいいな、という危惧も抱く。

現在、日本はアジアからたくさんの不法滞在者を抱えていて、彼らは当然のことながら日本の医療保険に加入していない。
たとえば 話題をHIV/AIDSのことにもっていくなら、こうした背景があるから検査を受けるタイミングを逸し、発症によって発覚するケースがあとを絶たないわけである。

さまざまな理由から、自分のパートナーを日本人ではなく、あえて外国人から選ぶ....という選択をする日本人が最近 数を増しているという話を聞いた。

人間 誰しも 自分のことを本当に愛してくれる人を選びたい。それが当然だ。
価値観の多様化が急速に加速していく中で、パートナー探しの選択肢が同じ日本人だけでなく、外国人に拡がっていくのは 決しておかしなことではないだろう。
同様に 伴侶さがしの選択肢が異性ではなく同性にも拡がってきている。これも明らかな事実である。

こうした事件で報道される男性たち、女性たち、トランスジェンダーたちが犯罪者であることに変わりないとしても、その背景には人間の(性)意識やモラルの変化など、社会的背景に基づいたいくつもの要素が絡み合っている。

闇に潜んだ外国人不法滞在の問題は、さらにその奥にある'人間の闇'をもさらけ出そうとしているのか。


遅ればせながら、11月26日(木)から28日(土)まで、名古屋市で開催された「第23回日本エイズ学会学術集会・総会」に参加して参りましたので、ご報告を…

今回、参加するにあたり、僕は研究者が個別に成果を報告する[一般演題]のプログラムをなるべく避けて、いろいろな人たちが意見を交換する[シンポジウム]や[ラウンジセッション]を中心に見て回りたいな、という希望をもっていました。
すべての希望がかなったわけではないけれども、自分としてはこの選択で正解!でした。
学者ではない自分のような人間は、羅列されたデータを眺めるだけではそこから先のことについて、補足的な知識なくしては具体的な何かをイメージできないので、最初からその部分を割愛している[一般演題]はあまり役に立たない、というか、正直言うと何年たってもなじめないの。
前年度の内容と変わり映えのしないプレゼンが多いような気もしてね(と言ったらどつかれる?)
.そういうことを考え合わせると、僕にとって’面白み’があるのはやはりシンポジウムなりラウンジトークなり、数字の冷たさよりは人のぬくもりが感じられるもの、ということになります。

期待通り、シンポジウムやラウンジセッションには面白いものが多かった。
たとえば第1日目に開催された「アジアにおけるMSMネットワーク」で、オーストラリアのJeffrey Grierson氏の「Gay Sauna Networks」の報告にはかなりびっくりさせられました。

Jeffreyさんが所属しているのはメルボルンにあるLa Trobe大学にあるセックス、ヘルス&ソサエティという研究センター。会場で発表されたプレゼンテーションは、オーストラリアのゲイサウナを利用した人に対する‘出口調査’で、サウナ利用後48時間以内に行われたものだそう。
219名にインタビュー調査しているんだけど、あなたのHIVステータスは?なんていう一般的な質問からはじまって、何分間サウナに滞在して、何人とヤッたか、一回のセックスに何分くらいかかったか、薬物でキメてやったのか…など、リアルな質問を回答者にぶつけているんですよね。聞くほうも聞くほうだけど、そんなこと答えるほうも答えるほうだよって(笑)
ハッテンサウナでの過ごし方についても、日本同様にヤリ目的の人間が多いのは確かだろうけど、中には風呂にいたり、カフェにいたり、インターネットしてみたり(そういう設備があるサウナなんだろうな)、利用者が思い思いに時間を過ごしている…そういう実態を、報告を聞く側の頭の中にスッとイメージさせるようなリサーチになっている。これって大事なことだな、と思いました。
こうした報告を聞けば、たとえゲイの世界になじみのない人たちも
「セックスしたい人ばかりじゃなくて、誰かとコミュニケーションを求めたいからハッテン場に来ている人たちだっているんだな」と想像することができるでしょ。
でも、日本の調査では「ヤリ部屋はあくまでヤリ部屋でしょう」という論点で終わってしまい、そこから先の考察があまり見えてこないように思うんです(ふたたび….こんなことをいったらぶん殴られるかしら?)

Jeffreyさんは2日目のラウンジセッション「オーストラリアのHIV陽性者の調査から導き出されること」にも登場、オーストラリアのHIV陽性者の’長期療養生活’についても綿密なリサーチ結果を発表していたけれど、すごいなあと思ったのは…聞き手である研究者の側と、回答者であるHIV陽性者の間にがっちりした信頼関係がなりたっている、それがはっきり分かるということだな。
それは、調査システムを作る段階でHIV陽性者自身がシステム作りに積極的に関わって、自分たちの意見をきっちり反映させている証なわけで。少なくとも、オーストラリアのメルボルンではポジティブがまさしくポジティブに活躍していることがここからも読み取れます。

人間ひとりが見渡せる世界には限界があり、だから’自分にとって何がリアルなのか’というのは個人個人の意見が違っているのは当たり前。
でも日本の調査なら…例えばゲイがハッテン場でどんな種類のドラッグをどれだけ使っているかとか、千円とか二千円とか安い料金のハッテン場に通いつめる人たちがいれば、サウナオンリーの人たちがいれば、乱交パーティにしか行かない人もいたり、ウリ専しか興味がない人たちもいるし、それぞれの客層がズレていたり微妙にかぶっていたりするとか、そこでの性行為の種類にもいろいろ違いがあるんじゃないか、とか….そういうところまで踏み込んで行えてはいないでしょう。
それはたぶん、リアルな感覚の発想が足りないからだと思う。
陽性者自身が陽性者の実態調査に深く関わるリサーチの手法は、残念ながら日本ではまだまだ発展途上にあると思います。このメルボルンの事例を聞くにつけ、本当にうらやましく感じました。