名古屋のエイズ学会 1 | Gaydar !

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HIV+です。ゲイです。それ以外の自分って...なあに?(笑)

遅ればせながら、11月26日(木)から28日(土)まで、名古屋市で開催された「第23回日本エイズ学会学術集会・総会」に参加して参りましたので、ご報告を…

今回、参加するにあたり、僕は研究者が個別に成果を報告する[一般演題]のプログラムをなるべく避けて、いろいろな人たちが意見を交換する[シンポジウム]や[ラウンジセッション]を中心に見て回りたいな、という希望をもっていました。
すべての希望がかなったわけではないけれども、自分としてはこの選択で正解!でした。
学者ではない自分のような人間は、羅列されたデータを眺めるだけではそこから先のことについて、補足的な知識なくしては具体的な何かをイメージできないので、最初からその部分を割愛している[一般演題]はあまり役に立たない、というか、正直言うと何年たってもなじめないの。
前年度の内容と変わり映えのしないプレゼンが多いような気もしてね(と言ったらどつかれる?)
.そういうことを考え合わせると、僕にとって’面白み’があるのはやはりシンポジウムなりラウンジトークなり、数字の冷たさよりは人のぬくもりが感じられるもの、ということになります。

期待通り、シンポジウムやラウンジセッションには面白いものが多かった。
たとえば第1日目に開催された「アジアにおけるMSMネットワーク」で、オーストラリアのJeffrey Grierson氏の「Gay Sauna Networks」の報告にはかなりびっくりさせられました。

Jeffreyさんが所属しているのはメルボルンにあるLa Trobe大学にあるセックス、ヘルス&ソサエティという研究センター。会場で発表されたプレゼンテーションは、オーストラリアのゲイサウナを利用した人に対する‘出口調査’で、サウナ利用後48時間以内に行われたものだそう。
219名にインタビュー調査しているんだけど、あなたのHIVステータスは?なんていう一般的な質問からはじまって、何分間サウナに滞在して、何人とヤッたか、一回のセックスに何分くらいかかったか、薬物でキメてやったのか…など、リアルな質問を回答者にぶつけているんですよね。聞くほうも聞くほうだけど、そんなこと答えるほうも答えるほうだよって(笑)
ハッテンサウナでの過ごし方についても、日本同様にヤリ目的の人間が多いのは確かだろうけど、中には風呂にいたり、カフェにいたり、インターネットしてみたり(そういう設備があるサウナなんだろうな)、利用者が思い思いに時間を過ごしている…そういう実態を、報告を聞く側の頭の中にスッとイメージさせるようなリサーチになっている。これって大事なことだな、と思いました。
こうした報告を聞けば、たとえゲイの世界になじみのない人たちも
「セックスしたい人ばかりじゃなくて、誰かとコミュニケーションを求めたいからハッテン場に来ている人たちだっているんだな」と想像することができるでしょ。
でも、日本の調査では「ヤリ部屋はあくまでヤリ部屋でしょう」という論点で終わってしまい、そこから先の考察があまり見えてこないように思うんです(ふたたび….こんなことをいったらぶん殴られるかしら?)

Jeffreyさんは2日目のラウンジセッション「オーストラリアのHIV陽性者の調査から導き出されること」にも登場、オーストラリアのHIV陽性者の’長期療養生活’についても綿密なリサーチ結果を発表していたけれど、すごいなあと思ったのは…聞き手である研究者の側と、回答者であるHIV陽性者の間にがっちりした信頼関係がなりたっている、それがはっきり分かるということだな。
それは、調査システムを作る段階でHIV陽性者自身がシステム作りに積極的に関わって、自分たちの意見をきっちり反映させている証なわけで。少なくとも、オーストラリアのメルボルンではポジティブがまさしくポジティブに活躍していることがここからも読み取れます。

人間ひとりが見渡せる世界には限界があり、だから’自分にとって何がリアルなのか’というのは個人個人の意見が違っているのは当たり前。
でも日本の調査なら…例えばゲイがハッテン場でどんな種類のドラッグをどれだけ使っているかとか、千円とか二千円とか安い料金のハッテン場に通いつめる人たちがいれば、サウナオンリーの人たちがいれば、乱交パーティにしか行かない人もいたり、ウリ専しか興味がない人たちもいるし、それぞれの客層がズレていたり微妙にかぶっていたりするとか、そこでの性行為の種類にもいろいろ違いがあるんじゃないか、とか….そういうところまで踏み込んで行えてはいないでしょう。
それはたぶん、リアルな感覚の発想が足りないからだと思う。
陽性者自身が陽性者の実態調査に深く関わるリサーチの手法は、残念ながら日本ではまだまだ発展途上にあると思います。このメルボルンの事例を聞くにつけ、本当にうらやましく感じました。