窪田知矩(くぼたとものり Tomonori Kubota)
大正10年—平成7年
昭和から平成にかけて活躍した洋画家です。
生涯に渡り、さまざまに画風を変化させた画家でもあります。
これまでも山梨県立美術館で回顧展が開催されたり
山梨日日新聞社から作品図録が発売されたりしています。
窪田知矩という画家は、初期・早期の頃は女性像や動植物といったモチーフを
印象的に描き上げた作品を発表していきますが
中期の頃になるとモチーフの対象が虫や古代生物、空想上の動物
そして幾何学的図象へと移行していき、より前衛的な作品へと変貌させていきます。
そのころ自らを主宰とする美術会派「記号派美術協会」を結成。
物事や生命といったものを古代文字や記号といったイメージに置き換えた
一層前衛的な作品を制作・発表していきます。
そして後期から晩年では、モチーフは「宇宙」となり
壮大なる記号的宇宙というような窪田ワールドを展開していったです。
この作品は、まさしく中期の頃に描かれた大作の一枚。
空想の古代生物をモチーフとした油彩画です。
制作年代は1959年(昭和34年)
40号・Fサイズ(1000×803)のキャンバスに描かれた
かなり大きめの作品となっています。
鰭部です。
この古代生物は中生代に生きた水棲の動物なのですね。
裏面にも自筆によるタイトルや署名が記されています。
この「第十二回 ジュワン展」のジュワンとは
当時、窪田知矩が所属していた前衛美術家集団「サロン・ド・ジュワン」のことであり
画家の年譜にも銀座で開催されたサロン・ド・ジュワン第12回展に
「ミストリオザウルス〈中生代〉」出品と書かれています。
画像は参考資料。
山梨日日新聞社 刊「窪田知矩 図録」から部分を抜粋してあります。
図録の中でこの作品は画像のようにモノクロ図版として紹介されています。
カラー、モノクロ問わず、どのような形であれ作品集の中で紹介されるということは
この作品が画家にとって重要的位置づけの代表作のひとつであるといえます。
図録への作品画像の掲載、そしてサインなどから
この大作は間違いなく画家・窪田知矩の真筆に他なりません。
そこまでメジャーな画家ではないかも知れませんが
作品集(図録)の中で紹介されている作品が手元にあるということは
かなりすごいことであると思っています。