石彫落款印「栗鼠と葡萄」:彫刻/篆刻 | 野崎淳之介 『玉石混淆 美術館』 blogsite

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石彫落款印「栗鼠と葡萄」

印材に手彫りで彫刻された古印です。
制作年代ははっきりとはわかりませんが
状態から江戸時代~明治にかけてのものではないかと推測できます。

「栗鼠と葡萄」が彫刻された対の落款印です。
双方共に一辺がおよそ2センチ、高さが5センチあります。

印材(石)の種類は残念ながらわかりません。
青田石ではないかとも思いますが・・・どうでしょう?

ちなみに青田石(せきでんせき)とは
中国 浙江省青田県で産出される石で、
古来より篆刻の印材として最も一般的かつ伝統的な石として知られています。
また青田石とひとくちに言っても色彩や種類が豊富で、
研究家の分類では、108種類もあるといわれいる石です。



対のうちのひとつ。
栗鼠が右を向いています。



彫刻の拡大です。
栗鼠は、国宝「明恵上人像」などの美術作品にも象徴的に描かれている動物です。



古印の裏側です。
裏側は至ってシンプルです。



篆刻です。
長年使用されているため、朱肉も残っています。



もう一方の、栗鼠が左側を向いている古印です。



彫刻の拡大です。

ちなみに葡萄について、ヤマブドウ種は古来より日本に自生していました。
また大陸から渡来して来た葡萄の種類も
鎌倉時代初期には日本の一部地域で栽培が始まっていたといわれています。



裏側です。
こちらの古印も裏側は至ってシンプルなつくりになっています。



篆刻です。
やはり長年に渡って使用された痕跡があります。

では、この落款印を紙に捺してみるとどうなるでしょうか。



残念ながら、篆刻された文字を読み取る事ができません。
なので、この古印がどのような人物が作り
どのような人物が所有し使用していたのか現時点では不明です。

ただ、縁の摩耗状態などから
相当な期間使用されたと思しき経年による歴史を感じさせます。


ひと言コメント
先にも書いた通り、この落款印がどのような人物のものなのか
いったいいつ頃作られたものなのか
詳しい事は何もわかりません。

しかし、おそらくは日本栗鼠とヤマブドウを彫ったであろう
優れた彫刻の美術作品であると思っています。