その後モスラは、緑の血を飛び散らしながら、地へ落ちた。命の灯火の果てた瞬間だ。君は、【聖人】を知ってるかい?

【聖人】…それは、キリストをはじめとする“奇跡”を起こした人間に与えられる称号だ。

 僕は、灯火を消したモスラを見て呟いた。『虫けらめ…。』悪い癖だ。癖というよりも、精神論に近いかもしれない。

輪廻転生の考え方が、仮に正しいとするならば、虫は前世も虫だ。こいつの精神・魂は、終わることなく下等・弱者とし

て存在する。

仕方のないことだ。現世のピラミッド型社会の【その他多数】に等しい。生物の数を気にかけたことがあるだろうか?

下等であれば、ある程生物の数は増える。人間の数が60億で『こんなに多いんですね~』なんてバカらしい。蚊の集団やウジ虫の集団を見てみろ。

 目に見える範囲だけで何万匹といることがあるだろう?地球規模で換算すると、無数だ。彼らは同じ好意を繰り返す。

蜂は、女王蜂に食を捧げるために同じ行為を繰り返す。生きている間ずっとだ。それも皆おなじ行為をする。なんて無意味な生物だろう。

 だが、彼らの行動は実は正しき生物の姿だ。生きる意味なんてない。生物は、生まれて、食べて、排泄して、寝て、ピストンする。それだけでよいのだ。

これらのような生理現象に共通するものがあることにお気づきだろうか?『欲』だ。様々な負の面をイメージさせる『欲』。綺麗事などいえない。

人間は皆、欲を持つ。これは生きるための本能であり、皮肉にも人間本来の姿だ。こんな話を聞いたって、【聖人】とは関係ない。そう思うでしょう?こんな物語を聞くまでは…