猿渡屋さんは、動き出した。この人生を全うするためには【自己防衛】だ、【自己】しか守るべきものはない。そして、【自己防衛】の必要性を日本人に知らしめなければならない。やはり、猿渡屋さんは狂っていた。
猿渡屋さんは、松屋事件以来、その隠していた爪をみせだした。
手始めに、猿渡屋さんは、漫画を描き始めた。趣味の絵画だけでは【自己防衛】は伝わらない。絵画に日本語を足そう。そうすれば、少しずつ伝わるはずだ。
全てを切り捨て荷物を下ろした猿渡屋さんは、一心不乱に漫画を描き続けた。私は、猿渡屋さんの爪の脅威にたじろぐばかりだった。彼の投稿した短編第一作『道原忍は鏡を見ない』は、某月刊雑誌の審査員特別賞に選ばれた。
最優秀賞ではないとこが非常に彼らしい。