二次元@大好き中毒 -4ページ目

二次元@大好き中毒

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グレン王子「風が強くなってきたな」
りえ「……うん」
グレン王子「寒くないか?」
りえ「ううん……。平気」
グレン王子「そっか……」
手を繋いで浜辺にきた私とグレン王子は、言葉少なに夕陽を見つめていた。
(あの夕陽が沈めば……最後のデートが終わってしまう)
そう思うと、言葉が上手に出てこなかった。
グレン王子「今日……本当に楽しかった」
沈黙を打ち破るように、グレン王子が口を開いた。
私はコクリとうなずいた。
そして、彼の言葉を聞き逃さないように耳をすませる。
グレン王子「アンタと出逢った……あの夏の日が最強だと思ってたけど」
「今日も同じくらい、最高に楽しい1日だった」
“私もだよ”
そう伝えたかったけれど、のどが震えて言葉にならなかった。
(……ダメだ。悲しそうな顔をしてたら、決意がにぶる)
私は涙をこらえて、グレン王子に笑顔を向けた。
りえ「これで、家まで送ってくれたら……。普通のデートとして完璧なんだけどね」
私が冗談ぽくそう言うと、グレン王子がフッと笑った。
グレン王子「それで、帰り際にキスしたりするんだろ?」
りえ「キ、キス?」
ささやくように話すグレン王子。
彼の優しい声が耳に滑り込んでくると、体が微かに熱をおびてしまう。
グレン王子「違うの?」
りえ「そう……かも」
私がたどたどしく答えると、グレン王子がふいに立ち止まった。
グレン王子「……」
グレン王子が握る手にそっと力を込め、もう片方の手を私の肩に置いた。
(グレンくん……)
グレン王子のきらめく瞳が、私にそっと近付いてくる。
(えっ……? 本当に?)
グレン王子の甘い吐息が、私の頬を優しくくすぐる。
戸惑いながらも、静かに瞳を閉じかけた時……
グレン王子「……やっぱ、やめた」
りえ「えっ?」
グレン王子「今、キスしたら……きっと、帰りたくなくなるから」
「……だから、キスはしない」
グレン王子は切なげに瞳をふせると、私からそっと手を離した。
(あ……)
急速に温度を失っていく、手のひら。
それが、デートの終わりの合図のような気がして……。
息もできないほどに、胸が苦しくなってしまう。
(グレンくん……)
グレン王子が口元を引き締めて、私を見つめている。
それはまるで、王子の顔に戻ったように見えて、私は少し寂しくなってしまった。
グレン王子「アンタに……まだ、話してないことがある」
グレン王子の言葉を聞き、私の胸が嫌な音を立てた。
りえ「そうなんだ。話してないことって……なに?」
私は平静を装い、グレン王子をそっと見あげた。
グレン王子「国王に……王位継承権かアンタのどっちかを、明後日までに選べって言われた」
りえ「そう……だったんだ」
(そっか……。だから、急にデートしようなんて言ったんだ)
何も聞かなくても、グレン王子の言葉の続きが分かってしまう。
私は大きく深呼吸し、痛む胸にそっと手を置いた。
りえ「……もう、答えは出てるんでしょ?」
グレン王子「……ああ」
グレン王子は静かにうなずくと、夕陽の沈んでいく海を見つめた。
グレン王子「今更、他のヤツに……この国を任せるつもりはない」
グレン王子が潮風に髪をなびかせながら、はっきりと言いきる。
グレン王子「……アンタにも背中を押して貰ったし、最後まで頑張ってみたい」
りえ「そっか、良かった」
私は少し無理して微笑みながら、瞳を閉じてうなずく。
その瞬間、私はこの恋が終わりを告げたことを感じていた。
(ここが……私達の歩く道の終点なんだ)
グレン王子「ごめん……りえ」
辛そうに私の名を呼ぶグレン王子。
こうして呼ばれるのも最後かと思うと、胸が張り裂けそうになる。
りえ「どうして、グレンくんが謝るの?」
「私には、一流のデザイナーになるって夢もあるし」
「本当は、プリンセスなんて……私の器じゃないし。ちょっと、ホッとしてるんだ」
グレン王子「りえ……」
作り笑顔と心にもない言葉。
 
 
 
 
りえ「あ、あのさ……グレンくん。海に行かない?」
突然の言葉を聞き、グレン王子が一瞬驚いたような顔で、私を見ている。
グレン王子「……海か」
グレン王子は小さくつぶやくと、腕をそっと下ろした。
りえ「そ、そう……。海」
私はうつむいたまま、そっとうなずいた。
別に、海に行きたいわけじゃなかった。
ただ、彼と過ごす時間を少しでも延ばしたかった。
グレン王子「まぁ……しょうがねぇな。つきあってやるよ」
グレン王子は優しく笑うと、私の頭にポンッと手を置いた。
そして、私に向かって真っすぐに手を差し出してくれた。
グレン王子「ほら。行くぞ」
りえ「うん」
私は少し無理して笑顔を作り、グレン王子の手をそっと握りしめた。
嬉しいはずなのに……少し悲しい。
私は今日が終わらないで欲しいと、叶わぬ願いを抱いていた。
 
 
 
 
 
 
 
*~*~*~*~*~*~*~* 
 
 
題名 『うまかった』
 
 
 
アンタの弁当…また、食べれるとは思ってなかった。
いい思い出になったよ。
 
…ありがとな
 
 
 
Glenn
 
 
 
 
 
 
 
 
 
グレン王子「……アンタが作るもの。なんか、めちゃくちゃうまいんだけど」
グレン王子は、なぜか悔しそうにつぶやいた。
りえ「デザイナーですよ。グレン王子専属の」
グレン王子「俺のデザイナーで、アランにとっての姫で……更に料理上手か」
「変なヤツだな……。アンタは」
グレン王子は嬉しそうに笑うと、お弁当をほお張った。
その無邪気な笑顔を見ていると、私の心は優しさに満たされていくのだった。
 
 
 
りえ「ふぅ……。お腹いっぱいだなぁ」
お弁当を食べ終えた私は、シートの上にゴロンと寝転がった。
そんな私をグレン王子が上から見下ろしている。
グレン王子「食べてすぐ寝ると牛になるって、言われなかったか?」
りえ「ピクニック形式で食べる時は、いいんです」
「それに……こうしていると、めちゃくちゃ幸せな気分になれる」
グレン王子「アンタの幸せは、安上がりだな」
グレン王子は意地悪に微笑みながら、私の隣に寝そべった。
グレン王子「いいな……。これ」
りえ「でしょ? こういうのを幸せって言うんだと思うな」
好きな人がいて、その人が隣で微笑んでいる。
そんな状況が、ただただ幸せだった。
グレン王子「……」
隣を見ると、グレン王子がふいに黙りこんで、青く澄み渡る空を見あげていた。
(どうしたんだろう?)
りえ「グレン……くん?」
静かに声をかけると、グレン王子がふいにこちらを向いて、私の手をギュッと握りしめた。
(えっ……)
グレン王子の髪が、吹き抜ける風に揺れている。
指先からグレン王子の温かい気持ちが伝わってくる気がして……私は胸が苦しくなってしまった。
グレン王子「アンタといれば……こういう幸せを、いっぱい知ることができるんだろうな」
(グレンくん……)
グレン王子「アンタは……そのままでいろよ」
それはまるで、別れを告げるようなセリフだった。
私は胸騒ぎを覚えながら、繋いだ手と手をいつまでも見つめていた。
 
 
 
それから、ひまわり畑を後にした私達は、海沿いにある商店街へと向かった。
グレン王子「なんだよ。さっきからやけに静かだな。……疲れたのか?」
りえ「えっ? ……ううん。そんなことないよ」
“アンタは……そのままでいろよ”
さっきの言葉が、なぜか頭から離れなかった。
(折角のデートなのに、こんな顔してちゃダメだ)
私はにっこと笑顔を作ると、グレン王子を真っすぐに見つめた。
りえ「ねぇ、グレンくん。プリクラ撮らない?」
グレン王子「プリクラ?」
りえ「写真がシールになるヤツだよ。知ってる?」
グレン王子「それぐらい、知ってる」
りえ「ダメ……かな?」
(グレンくん……そういうの苦手そうだし)
グレン王子「アンタが撮りたいなら、別にかまわない」
りえ「えっ!? いいの?」
予想外の返事に、思わず驚いてしまった。
(もしかして……)
(グレンくんも……何か記念に残るものが欲しいのかもしれない)
グレン王子「ほら、撮りに行くぞ」
「……ええっと、ゲーセンとか言うところにあるんだろ?」
りえ「う、うん……」
 
 
 
それから私達は、ゲームセンターでプリクラを撮った。
少しぎこちない笑顔で、緊張しているふたりが写るプリクラ。
だけど、それはかけがえのない宝物になった。
グレン王子「ちょっと、気に食わない」
グレン王子がプリクラを見つめながら、小さくつぶやく。
その横顔は、少し可愛く見えた。
だけど、そんな彼を見ながら、私はあることを気にしていた。
(もう……こんな時間だ)
私は腕時計を見て、小さくため息をついた。
グレン王子「そっか……。もう、夕方か」
グレン王子は小さくつぶやくと、時計を見る為に腕をそっとあげる。
りえ「グ、グレンくん!」
私はとっさに、グレン王子の腕を軽く引いた。
(時計を……見ないで欲しい)