二次元@大好き中毒

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私がそう言った次の瞬間、グレン王子に私は唇を奪われた。
(……!)
何度も何度も私に降り注いでくる、熱く甘いキス。
(グレンくん……)
私は高鳴る心臓の鼓動をおさえようともせずに、ただ、グレン王子のキスに体をゆだねた。
“りえ……好きだ”
甘く溶けるような、グレン王子の唇。
グレン王子の気持ちが熱いキスを通して、流れ込んでくるような気がした。
(ずっとこんな風に……グレン王子の腕の中にいたかった)
(今なら素直にそう思える……)
グレン王子「……」
りえ「……」
私達はキスが終わるのを惜しむように、うつむいたまま唇を離した。
ドキドキと高鳴るお互いの鼓動が、離れていても聞こえてくるような気がする。
グレン王子「……」
グレン王子は頬を赤く染めながら、コツンとおでこをあわせた。
グレン王子「アンタ……反則だろ。今のは、かわいすぎ」
りえ「えっ……」
私は思わず真っ赤になって、グレン王子を見あげた。
グレン王子「まあ、いいや。……アンタも俺のこと、大好きみたいだし」
グレン王子が風に髪を揺らしながら、いたずらな笑みを浮かべている。
りえ「もう……」
私達は瞳をあわせ、思わず、吹きだしてしまった。
グレン王子「これからも……そうやって、俺の隣でずっと笑っててよ」
りえ「……うん」
離れていた距離と時間を埋めるように、一陣の風が吹く。
(グレンくん……)
私はにこっと笑顔を浮かべ、グレン王子を見あげた。
グレン王子「やっとこれで……ずっと一緒にいられる」
グレン王子は優しく笑うと、私の薬指にひまわりの指輪をはめてくれた。
そして、私の髪をクシャッと撫でて、耳元でささやいた。
グレン王子「今度……本物、選びに行こうな」
十数年の時を越え、私達はついに結ばれた。
陽の光を受けて、静かに光るひまわりの指輪。
私達はその上で微笑みをかわし、もう一度、唇を重ねた。
 
 
 
 
 
 
 
*~*~*~*~*~*~*~*
 
 
 
題名 『ありがとう』
 
 
 
アンタに出会うために、俺は王子として生まれてきたのかもな。
だから…王子でよかった、って今は思える。
あの夏の日…俺と出会ってくれて、ありがとう。
 
 
 
Glenn
 
 
 
 
 
 
 
 
 
りえ「そういえば、ここで、グレンくんと一緒に食べたなぁ」
私はグレン王子との想い出をかみしめるように、ぼたもちをひとくち頬張った。
その瞬間、グレン王子との想い出が私の心にあふれていく。
 
 
 
グレン王子「また会える。これが目印になるから」
あの夏に出逢った男の子……。それっきりだったはずなのに。
 
 
 
グレン王子「まさか……こんな形で再会するなんてな」
再び、出逢って……。
 
 
 
グレン王子「アンタのこと……好きになってもいいよな?」
いつの間にか、大好きになっていた……。
 
 
 
(忘れられない。……忘れられるわけない)
りえ「グレンくんに……逢いたいよ」
こらえていた気持ちが、涙とともにこぼれてしまった。
りえ「……逢いたい」
もう一度つぶやいたその時、大きな影が私を包み込んだ。
??「それ、泣くほどうまいの?」
(えっ?)
もたれていた木の幹から、グレン王子がスッと顔を出す。
りえ「グレンくん! どうして……?」
私は流れる涙もそのままに、思わず、声をあげた。
グレン王子「どうして……って」
「アンタ、テレビ見たから……ここに来たんじゃないのかよ」
りえ「だって、今さっき……。生放送で緊急記者会見を」
グレン王子「記者会見は午前中に終わった」
「……アンタが観たのは録画だろ?」
りえ「そ、そうなんだ……」
(メールに“なまほうそう”って書いてあったから、勘違いしてたんだ……)
グレン王子「そんなことより……」
私は涙をぬぐって、グレン王子を見あげた。
グレン王子が、少し不機嫌そうに私を見ている。
グレン王子「……アンタ。なんで、シャルルに戻るなんて嘘ついたわけ?」
りえ「……そ、それは」
私は言葉を探せず、思わず、うつむいてしまった。
グレン王子「おかげで、迎えにくるのが遅くなっただろ」
りえ「迎えにって……。私を?」
グレン王子「アンタの他に誰がいるんだよ」
グレン王子が少しムッとしながら、つぶやく。
グレン王子「ってか……。こんなところで泣いてるぐらいなら、俺に連絡しろよな」
グレン王子は呆れたように微笑みながら、頬に残る涙のしずくを親指でぬぐってくれた。
りえ「でも……記者会見で片想い中だって」
グレン王子「それ……アンタのこと」
グレン王子が小さくつぶやき、微かに頬を赤く染める。
そして、髪をかきあげ、真剣な表情で私の顔を覗き込んだ。
グレン王子「アンタにまだ……好きって言って貰ってないだろ?」
グレン王子が爽やかな風に吹かれながら、はっきりと言いきった。
(えっ……)
私は大きく目を見開き、グレン王子を見つめた。
グレン王子は真剣な表情で、ゆっくりと片ひざをついた。
グレン王子「だから……もう一度、告白しにきた」
(グレンくん……)
徐々に私と同じ目線になる、グレン王子。
やがて、彼の凜とした眼差しが私をしっかりととらえた。
グレン王子「アンタにはデザイナーの夢がある……。きっとそれは捨てられないはずだ」
ひとことひとことをつむぎ出すように話すグレン王子の顔を、私は息をのんで見つめていた。
グレン王子「王族のしがらみの中で、アンタがデザイナーとして生きるのはきっと大変なことだと思う」
「だけど、俺は……」
「アンタの夢を支え、思っている以上に幸せな未来をりえに捧げることを誓う」
「だから……俺のプリンセスになってよ。りえ」
心を溶かすような甘いささやきが、私の心に滑り込んでくる。
(グレンくん……)
グレン王子の優しい言葉が胸に響き、再び、私の瞳から涙があふれてきた。
グレン王子「な、何でまた泣くんだよ……?」
りえ「グレンくん……分かってないよ。デザイナーの仕事は勿論、大事……だけど」
「私の一番大事な夢は……グレンくんの傍にいることだよ」
「……大好き!」
 
 
 
 
 
母親「また、ゴロゴロして」
「暇なら、このぼたもち、おばあちゃんの家に届けてきてよ」
りえ「えーっ!」
母親「文句を言うなら、早く再就職しなさい」
りえ「わ、分かりました……」
私は渋々ぼたもちを受け取ると、家を後にした。
 
 
 
母親「ねぇ、りえ。帰りにお肉屋さんでコロッケを」
「あら、もう出ちゃったの?」
母親はあごに手を当てて、りえがいなくなった部屋を不思議そうに見渡した。
そして、ついたままのテレビを観て、呆れ気味に肩をすくめた。
母親「もう、またテレビをつけたままにして」
母親は小さくため息をこぼし、リモコンに手を伸ばした。
その時、テレビにグレン王子が映った。
母親「あらあら、大変!」
“緊急記者会見”
画面に映し出されたテロップを見て、母親は急いで携帯を取り出した。
 
 
 
ピロリロリンッ!
振動と共に、私の携帯にメールが届いた。
送信者は、お母さんだった。
りえ「お母さん? ひらがなばっかりで、読みづらいなぁ」
私は心の中で、何度もメールを読み返した。
“てれびをみて! いますぐ! おうじのなまほうそう、たいへん!”
りえ「おうじのなまほうそう?何、それ?」
私は苦笑いを浮かべながら、携帯の画面をテレビ視聴モードに切り替えた。
 
 
 
記者A「それでは、あの暴力事件は事実じゃなかったということですか?」
グレン王子「はい。私の専属デザイナーが暴漢に襲われていた為、やむを得ず、ああしたまでです」
記者B「そのデザイナーの女性とは、特別な関係なんでしょうか?」
画面の向こうには、凜とした表情でフラッシュを浴びるグレン王子の姿があった。
(グレンくんだ……)
(この緊急生放送って……一体)
グレン王子「……特別な関係ではありません」
記者A「今後、その女性と交際に発展するという可能性は!?」
グレン王子「……ノーコメントで」
意味深に微笑むグレン王子。
その少し大人びた表情を見ていると、思わず胸が高鳴ってしまう。
(ちょっと見ない間に、また大人っぽくなったような気がする)
記者B「最後にひとつ、いいですか?」
グレン王子「ええ」
記者B「今現在、恋をしてますか?」
グレン王子「片想い中の人がいます。今日……それが進展するかもしれませんし、失恋に終わるかもしれません」
(ど、どういうこと?)
記者A「えっ!? それって、どういう意味ですか!?」
記者B「グレン王子! お答え下さい!」
グレン王子「詳しい話は答えかねます。……ただ、ひとつ言えることは」
「自分は王位継承者であると同時に、ひとりの人間です」
「いつか国王になった際は、オリエンス王国の王として、国民を幸せにすると共に……」
「自分の選んだ女性も幸せにしたいと願っています。……それが、つらく長い道のりであっても……必ず」
ユウ「会見はここまでです。本日はお集まり頂き……ありがとうございました」
ユウお兄ちゃんがマイクの前に立つと、グレン王子が席を立った。
記者会見会場は騒然としたまま、幕を閉じた。
 
 
 
りえ「これって、一体……」
私が呆然としていると、次の停留所を知らせるアナウンスが、車内に鳴り響いた。
運転手「次はひまわり畑前~、ひまわり畑前~」
私は気付けば、降車ボタンに手を伸ばしていた。
 
 
 
“グレンくんに逢いたい”
そう思った瞬間、私は駆け出していた。
そして、導かれるように約束の木の下へとやってきていた。
りえ「グレンくん」
(って……良く考えたら、いるわけないか。生放送だったんだもんね)
(それに、片想いだったら……相手は私じゃない)
さっきまでの勢いは、いつの間にか失われていた。
私は木の幹にもたれるように座ると、ぼたもちの入った容器のふたを開けた。