「君のいる町」作者インタビュー③(from 恋ナビ) | 達観主義

「君のいる町」作者インタビュー③(from 恋ナビ)

公式ガイドブックの作者のロングインタビュー第3弾。



あと2,3回に分けようと思ってたんですが、スケジュールの関係で残りを全て今日載せました。

ぶっちゃけ、前回がクライマックスで今回はあまり大事な事は話してません(爆)

尚、前回も書きましたが、実際はもっと丁寧な口調です、作者さん。


(青大と柚希の前途は多難だったが)その多難さを描くのが新たなテーマだと思ってたので、そこについてはひとつひとつ丁寧に描いていくつもりでやった。当然、他の友達からは総スカンだろうし、柚希もとんでもない悪女みたいに誤解されるだろうし、それでも付き合っていくには、どうしたらいいのかと思いながら暮らしていく。
(前述した恋愛の楽しくない部分、単に付き合えて幸せだけじゃないという嫌な部分)を乗り越えてひとつずつ幸せになっていく過程を描いていければ、そこに希望は見えてくるとも思っていたので、迷いはなかった。
大変なことを乗り越えた先に幸せはつかめるというのは、やっぱり恋愛の大きなテーマのひとつだと僕は思っているので。でもそれだけだとあまりに重く暗くなりすぎたので‥それで中和するための新キャラとして美友をだしたという感じ(笑)
そこまで人気を期待して出したキャラじゃないのに、美友のエピソードはどれもまんべんなく読者アンケートの評価が高かった。だから青大と柚希だけじゃなくて、僕も彼女に救われた、いろんな意味で(笑)。そもそも青大と柚希を周りからいじってくるキャラって、僕自身も動かしやすい。美友の他には懍とか知沙とかも非常に動かしやすい。
逆に青大にあまり興味がないキャラは動かしづらくて‥だから高波という女の子を少し出してみたが、全く上手く機能しなくて、読者の人気もイマイチだったのですぐ退場になっちゃった。あとずっと難しかったのは七海。普通の娘なので、青大にボケるでもツッコむでもなく、天然なのか黒い娘なのかもハッキリしないままで‥。独占欲の強い娘ではあったと思うけど。


自分でも好きなエピソードは、月の子供時代の外伝的な話(青大と尊と最初に仲良くなる話)。特に月は実際の幼馴染をモデルにしてるので、その娘への僕の思い出や願望をそのまま漫画にしているとこがあって‥彼女絡みの話は非常に描きやすい。その想いが高じて、ある日担当さんに「もう青大、月とくっつけばいいんじゃないですか?」って話を切り出したこともあるくらいで。すぐさま「それは冷静になって考え直したほうがいいですよ?」って却下されましたが(笑)。
他には美友の勘違いの話。洗濯物がたまってるのを、性欲がたまってるのと勘違いする話なんかは、自分でも楽しんで描けた(笑)。
あとは青大と柚希がもう一回付き合おうということになった話。アクセサリーをひょうたん池に飛びこんで拾ってきて‥あの話はずっと描きたかったものだったので、それがやっとできたということで、上手くいったというよりも、ようやく描けてホッとした。


逆に描き直したいエピソードは、迷わず第1話(笑)。すべてが失敗だったと思う。柚希のキャラの練り方も甘かったし。今から考えたら、みんなの前ではいい子だけど青大と2人になったら豹変して本性を出すような子だったらやりやすかっただろうなと。そういう意味では、懍がメインヒロインだったら、今の展開とはもちろん違うことになっていただろうが、いろいろと上手くいったのかもしれないと思っている。
初期の柚希はいい子すぎて、そういう引っかかりが何もなかった。それは描き直せるものなら、描き直したいと思っている『君町』で一番の反省点。
(柚希と青大が様々な障害を乗り越えるのと)もうひとつ、裏のテーマとして掲げていたのは、柚希の家族が結束を取り戻していくという話。それをしないと柚希も安定してこないと思ってたので、それを同時にクリアしていきながら、なんとか騒々しかったものが徐々に収束していく方向で、上手くまとめていけたと思う。

(柚希と青大が結ばれた200話について)付き合ったらそうなるというのを普通に順番に考えて、ごまかさずに描いていけば自然とこれも描かざるを得ないと感じていたので。そこはもう狙ってどうこうということではなく、自然な流れ。
もちろんそういう楽しいこともあれば、彼女のお父さんや家族が出てきて気まずい思いをするとか、そういう楽しくないことも全部ひっくるめて読者のみなさんが本当に自分も青大や柚希になって恋愛しているような気分を味わいながら読んでもらいたいと思って、今もずっと描いている。


(これからについて)やっぱり目先の課題としては就活、就職になってくる。特に青大は、自分がやりたいことがよくわからなくなってきているところもあるので、どうやって解決していくのか‥というのは、ちゃんと丁寧に描いていかなきゃいけないと思ってる。
(キャラとしては)尊と清美の2人は、しっかりとその後も描いていきたい。ちゃんといい夫婦になれるのかという心配もあるし‥(笑)。
あと紫歩さんはぜひまた出したいと思ってる。個人的にはもっと描きたい。『君町』の中で数少ない、僕の好きなツンデレタイプのキャラなので!(笑)
(青大と柚希はこれ以上波乱はないのかというと)まだわからない。就活していくなかで何か新しい展開が出てくるかもしれないし。
まだ、ここでは言えないが、少なくとももうひと山、ちゃんと描かなきゃいけないと思っている大きなテーマが残っているので。それを越えるまでは、まだまだ青大と柚希の関係の安泰というわけにはいかないと思う。
(最後に)まだまだ飽きさせない展開もいくつか考えているので、ぜひそれを楽しみにして引き続き注目していただけるとありがたい。


’ちゃんと描かなきゃいけないと思っている大きなテーマ’が現在の別離なんでしょう。

でも、東京に戻ったからくっ付くっていうのは、自分的にはちょっと不満で、じゃあまた転勤になったら?って考えると・・・

まぁ、また今回も懍がキューピッド役なんでしょうが(笑)