まだ、通勤ラッシュが残っている電車に乗って、
病院に着いた。
放射線治療の受付は、いつもとおり、地下にある。
受付で、治療初日であることを告げると
ロッカーのある部屋を教えてもらい検査着に着替え
ソファーにて待つ。
担当のお兄さんが呼びにきて、放射線治療装置 リニアックのある部屋に入る。
リニアックというのは、直線加速器で放射線を加速して、
がん細胞をいろいろな方向からピンポイントで照射するための装置だ。
がん細胞にいろんな方向から照射することで
通常の組織は低放射線量ですみ、がん細胞に重点的に放射することが可能だそうだ。
リニアックの上に検査着を脱いで横になる。
背中にはMRI検査の時に固めた型が敷いてあり、撮像時と同じ体勢で横たわることが
できているように思う。
お腹に書いた十時のマークは、日々の入浴で消えかけていたので、
看護師さんに、
「これ消えかけてるけど大丈夫ですかね?」と聞くと
「あっ、問題ないです」との返事。
入浴時なるべく擦らないようにしていたのに、大丈夫だったんかいっ。
お腹の上に何か装置を乗せられ、メガネの上からVRゴーグルのようなものを
装着される。
中には、呼吸によるお腹の上下に連動した、緑の線が表示されている。
看護師さんたちが出てゆくと、治療が始まる。
先ずは、息を吸ったり吐いたりの指示があり、視界の上部に灰色の帯が表示されている。
「息を吸って、帯のところに緑の線が止まるように息を止めてください」
との指示。
こうなるとなるべく灰色の帯の中心に緑の線を止めたくなる。
息を止め、帯の中心になるようにすると装置が動き出す。
おそらく、照射してはいけない臓器を避けて照射しているのだろう。
それを何回か繰り返したところで、「お疲れ様でした」と言われ照射が終わった。
何も実感のないまま一回目が終わった。
本人痛くも痒くもない。これで治療できているのか?
多少疑問に思いながら地上に上がるエレベータに乗った。