施設に必ずいらっしゃる帰宅願望バリバリの方。ご多分に漏れず私が勤める施設にも、帰宅願望がかなり強い方がいる。
「帰ります。明日帰ります」
毎日毎日、まるで念仏のように独語を繰り返している。
ときどき、
「ぶっ殺してやる」
「警察に行きます」
なんていう物騒な言葉も挟まる。
そんなとき、私はあえて少し間を置いてから
「お茶とおやつ、お持ちしますね〜」
と声をかける。
すると、だいたい返ってくるのは、この二つ。
「結構です
」
「あら、嬉しい
」
「結構です
」のときは、機嫌がよろしくない。
そんな場合は、少し時間をあけてから対応するのがセオリーだ。
……なのだが。
ある日、ふと思った。
「結構です」と言った直後に、お茶とおやつを出したらどうなるんだろう?
ちょっと試してみた。
すると、
「あら、どうしましょ〜
」
と、嬉しそうな顔。
はは〜ん。
さっきの「結構です
」は、もうどこかへ行ったらしい😁
調子に乗った私は、別の日にも同じことをやってみた。
「ぶっ殺してやる
」
↓
「お茶とおやつ、お持ちしますね〜」
↓
「結構です
」
↓
直後におやつ提供。
ところが、この日は違った。
「いりません
」と
キッパリ。
……😱
あれ?
同じ流れなのに?
やっぱり、そう簡単にはいかない。
認知症の方との関わりは、
〈こうすれば、こうなる〉という答えが、なかなか見つからない。
昨日うまくいったことが、今日は通用しないこともよくある。
だからこそ、相手の表情や言葉、その日の様子を見ながら、こちらも考える。
ちょっと試して、反応を見て、また考える。
奥が深い。
そして、難しい。
でも、それが面白くもある。
「今日はどうかな?」
そんなふうに、その人と向き合えること。
それが、介護の仕事のやりがいのひとつなのかな、と私は思う。
ケースバイケースではあるが…