9.28 絢sroom アルバム巡り最終回「12th.彼女について」に寄せて
9.28 絢sroom アルバム巡り最終回「12th.彼女について」に寄せて
去年の7月から始まったツイキャス配信「アルバム巡り」も今回で12回目。そして最終回です。
さいごは、もちろんこれ
矢野絢子最新オリジナルフルアルバム「彼女について」(2020.5Release)
これまでのアルバムを12枚全曲振り返って、どのアルバムも改めていい!ってそれぞれの良さを自分なりに再確認してきたけれど、矢野絢子が自分史上いちばんいい!納得のいく作品はこの「彼女について」です!
最新アルバムが最高!って思えるのは幸せなこと。
でも次の作品が最高!ってなるかは出来てみないとわからない。とにかくこのアルバムは最新だからとか関係なく冷静に最高だと思う。
2年前に録音&リリースしたこの「彼女について」について、配信前に少し振り返ってみましょう~。
【作品のテーマ】
・あくまで矢野絢子は物語の語り部であること(歌わない・語る)
・様々な女性が主人公であること
私の楽曲の中でも「ニーナ」のような(あそこまで長くなくとも)物語性のある楽曲というのがちょこちょこあって、好きなのである。
この作品はそこに絞ってみようと曲作りをした。
主人公を女性に限定したのも、テーマを絞ってゆくことで、より多くの共感が生まれると思った。(そして何より私が女性という生き物の持つエネルギーにとても興味と関心があるから)
【楽曲制作ポイント】
・なるべく年齢や人生の背景のちがう様々な女性を描く
結果、胎児から老婆まで色んな女性が描けたが、思い返すと「自分」のキャラからあまりにかけ離れた女性像は描いてないなと思ったので、今後もっといろんなキャラクターが主人公の楽曲にチャレンジしていけたらいいな。
【レコーディング・音作り】
・シンプル
・弾き語りに色を加えてくれる楽器たち
これはたぶん私の基本姿勢なので、今後もよっぽど「今回はロックバンドがやりたい!打ち込みしたい!」とかならないかぎり変わらない音へのあこがれ。(バンドも打ち込みも興味深々だが)
【メンバー&スタジオ】
前回のアルバム「ミチスガラ」のメンバーである、トランペット黄氏、ギターさいとうりょうじ氏、パーカッション見谷聡一氏に参加してもらう。彼ら以外考えられなかった!愛のあるバンド★
そこに無敵のシマフミヴァイオリンが加わる。
さらにメンバーのバンド仲間である、ブルームーンカルテットのドラム木村おうじ純二氏や、トロンボーン和田充弘氏、チューバ松永敦氏に参加してもらうというかなり豪華な楽曲もあった。
だが不思議と全編通しての音のバランスが最高に整っている。
それはやはりエンジニアであるガンボスタジオ川瀬氏の腕だろう。
いつも通り全員での練習や最終アレンジ&レコーディングが同時進行なので、かなりの集中力と体力が必要だった。完パケしたとき「もっと余裕のあるスケジューリングでとろう」と心に誓った。。。 (録音途中疲れ果ててくじけそうになったが、近所の中華屋でビールを飲んで復活した記憶がある。)
(今回2度目になるサウンドプロデューサー黄Pとは何度か練習を重ねて、ピアノの弾き方、語り方、楽曲ごとの楽器編成は予め決めてもらっていた)
【ジャケット】
これも前回と同じく足田メロウ氏に頼んだ。このアルバムの制作を決めてから、全曲の主人公の女たちの像をメロウ氏に描いてほしいという熱い要望があり、快くそれに応えてくれたメロウ氏に感謝!
すばらしい作品が歌詞カードにならんだ。
録音前に楽曲ができた段階から1曲ずつメロウ氏に送って、イメージを高めてもらっていた。
出来上がった素晴らしい13人の女たちの絵はその後ポストーカードにもなっている(が、全然売れない。誰か買って)
ジャケットのタイトル文字と矢野絢子の文字は実は母みささんの直筆。「タイトル字書いて」というとかまえるので「ちょっと彼女についてって書いてみて」とメモを渡して書いてもらったものをそのままジャケットに使った。
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ほんの2年前の作品だが、かなり昔に制作したような感じがするが、こうして振り返ると近年の作品の方が感情抜きで冷静に振り返られるのだなと感じた。
一番記憶に残っているのは、アルバムリリースと同時にコロナ禍が悪化、すべてのレコ発が中止になったことだ。
あの時は、本当に心の底から腹が立ったし悲しかったし、それまで積み上げてきたものがぜんぶ白紙になるような無力感を感じた。
だがそれから耳六という配信チームを立ち上げたり、農に精を出したり、ヒーリング業を深めてサロンを立ち上げたり、さまざまな活動を体験することができた。
そんなこんなの怒涛のような変化を経ても、この2年間、私に「音楽で表現する」情熱を掻き立て続けてきてくれたのは、このアルバムの中の曲たちに他ならない。
今の私のライヴに欠かせない曲たちだ。
ほんとに作ってよかった!!
面白いのが、曲ごとの女性たちの印象がこの2年ですごく変化したこと。
ほかのアルバムの曲たちにはないキャラの立ち方がある気がする。
歌うときに、曲ごとの主人公の女性たちと会話するように、接するように、語り演奏するのだが、彼女たちの言い分や印象が少しずつ変化していると感じる。
それは私の変化でもあるのだろうけれど、その変化を見逃さずに「違うでしょ、今はそうじゃないよね」とやさしく時に厳しく私に語り掛けてくれる、不思議な曲たちである。
「私はそんな歌い方しないわ、こうよ」とか、「そのリズムの取り方じゃ、私の物語は伝わらないわ、こうすればいいんじゃない?」とか、はたまた黙っていても彼女の横顔をじっと見つめながら(想像の中で)歌っていると自然と演奏に変化が出てくる。
まさに、「女たち」の資質をもった曲たちなのである。これからも彼女たちと共にどんな風な表現ができるのか、変化してゆけるのか、たのしみでならない。
それではみなさん今週金曜、絢sRoomでお待ちしております☆
「絢’sRoom」アルバム巡りvol.12「彼女について」 - 公式ストア (twitcasting.tv)
★今回の演奏曲目と絢s.Q(今私はこの曲に何を問いかける?)★
1 シスターペイズリー(キンジョウマサ樹 作)
絢s.Q~「彼女」に「わたし」の「何」を見ている?~
2 夜と雨の影 (2017年作)
絢s.Q~「わたし」の銃口の先にあるものは?~
3 カゲロウの恋 (2018年作)
絢s.Q~その「恋」で触れた「わたしの心の穴」はどんな形?~
4 それゆけ!オバちゃん (2019年作・曲 さいとうりょうじ)
絢s.Q~本当にこの世界を「オバちゃん」が回しているとしたら?~
5 ガールズスピリット (2011作)
絢s.Q~全てをなげうってでも守りたい「美学」がある?~
6 町の酒場で (2016年作)
絢s.Q~「わたし」は「なに」に恋をした?~
7 旅の女 (2019年作)
絢s.Q~愛に似て、愛でないものってなに?~
8 夜空で星は (2020年作)
絢s.Q~「わたし」の「祈り」とは?~
9 指切りげんまん (2018年作)
絢s.Q~忘れられない「別れ」がある?~
10 Super Mother (2018年作)
絢s.Q~「わたし」が生まれる瞬間のパワーを思い出せる?~
11 Beautiful Lady (2019年作)
絢s.Q~今この瞬間にある「わたし」の「100の美しさ」を知っている?~
12 ロッキンチェアーの上で (2017年作)
絢s.Q~この肉体が終わる瞬間「わたし」は「何者」であったといえる?~
13 祝福のうた (2019年作)
絢s.Q~「わたし」は「わたし」にどんな「祝福」を捧げられる?~