7.29 絢sroom アルバム巡り「11th.ミチスガラ」に寄せて | 矢野絢子オフィシャルブログ「矢野絢子の生態系観察所(仮)」Powered by アメブロ

7.29 絢sroom アルバム巡り「11th.ミチスガラ」に寄せて

 5年前の2017年10月にリリースした11枚目のフルアルバム「ミチスガラ」。

 「歌い手としても、作曲家としても、演奏家としても、自分の理想に更に近づきたい、1ランク上に行きたい!」

 という想いが詰まった、自分自身へのチャレンジと変化。タイトル通り私の音楽の「途上」を表している作品だ。
 まあ音楽なんて死ぬまで「途上」ではあるんだけど。


 楽曲制作からアレンジまで、これまでとは違った手法や作り方にチャレンジしているなあと、全編通して感じる。


 比較的近年の作品なので、作品作りに関しての思い入れを語るときりがないので、細かなことは配信ライヴで語ろう!
今回はポイントだけを少し解説してみるぞ!


【作品のテーマ】

「シンプル・必要最低限・そぎ落とす」

というテーマをいつも以上に意識しているのが「ミチスガラ」。

「シンプル」の代表のようなトランペットの黄さんにサウンドプロデュースをしてもらっている、
彼のメロディや和音に対する丁寧さに憧れて、作曲も3曲依頼している。


【楽曲制作ポイント】

・普段なら、ふと思い浮かんだ言葉や感情のまま歌詞を書いて、その言葉たちに思いのまま曲をつけるんだけど、(つまり作り方からしてエモーショナル)
ミチスガラの曲たちは、あらかじめテーマを持って書いたり、歌詞もなるだけ個人的な感傷や感情を削って、客観的に、少ない言葉で綴ろうとした曲が多い。

・昔々の「歌謡曲」や「流行歌」のような潔さやカラッとした叙情詩に憧れて、そこを意識して書いている。

・「シンガー」と「ソングライター」を切り離すイメージ。


【レコーディングポイント】

・ピアノと歌で音楽として、アルバムの中でももっと「自立」して存在していたいとすごく思っていた。
(あくまで「ピアノ弾き語り」メインの作品として)

・なのでデモが完成した時点で、いつもよりピアノのメロディやフレーズを前もって完全に決めて、完全に再現できるようにめっちゃ練習してた。
(↑たぶんこれ普通の人はやってることかもだけど、私は譜面もないし、録音でもライヴでもその時の感じでいつも演奏している)

・メトロノームを使って、曲ごとのリズムの速さをきちっと決めたり、それに合わせて練習したのも初めてだった!(「ちゃんとする」をはじめてやってるなあ。。。)

・その「独立したピアノと歌」に必要最低限の楽器で色付けしてゆくようなイメージで各楽器のパートもアレンジしてもらった。

・初めて「エレキピアノ」を使って、オルガンなどでもレコーディングした。(もちろん生ピアノも使った)


【レコーディングメンバー&スタジオ】

・ppjという洋楽カバー企画で1枚ミニアルバムを一緒に創ってくれた神奈川の「ガンボスタジオ」川瀬さん。この作品以降ほぼ全ての作品作りを共にしてもらっている父的存在。
仕事が早くてやさしくて、めちゃくちゃ協力的で、最高のエンジニアさんです。

・パーカッショニスト見谷聡一(みたにん)との出会いの作品。「リズム」の素敵さと大事さを徹底的に教えてくれる、本当に教えるの上手なリズムの天使。
当初はドラムで作りたいと考えていたけれど、パーカッションの魅力をこの作品で知れてよかった。どんなことにも嫌がらずトライしてくれる柔軟さも最高。

・長年「知り合いのミュージシャン」だったギターさいとうりょうじともこの作品から密に関わるようになった。はじめは彼が何を言ってるのか全然わからなかったけど(多分向こうも)、
彼の性格的に分からないことも自分の本音で遠慮なくバンバン言えるので、「一緒に」創り上げてくれる感じが好き。今では私の言語が瞬時に伝わっている(気がする)

・トランペットの黄さんとはこれで4枚目の作品作り。録音時のフレーズと音色が、ほんとに素晴らしい。「シンプルさ」の追求にかけては右に出るものはいない気がする。


 初めましてに近い感覚のこのメンバーで、最初は不安もあったけれど、この5年少しずつ交流が増えて、それぞれの変化も含めて、いい仲間に出会えたなあと思う。
ピアノ、ギター、パーカッション、トランペット、という不思議な構成のバンドだけれど、「矢野絢子の音楽」でやりたいことを都度ゼロから組み立てるのが私にとってのアルバムづくりなので、
この時、この作品には、このメンバーでしか表現できなかった!!と今聴き直してもすごく思う。



【ジャケットポイント】

・これまでは「矢野絢子」が表紙だったが、ここから「絵」を表紙にしている。

・大好きな画家「足田メロウ」さんに様々な「道」の絵を描いてもらった中から選んだ。(ジャケ中もディスクも)

・「わたし!!」じゃなく「わたし、からたまたま生まれたおんがく!!」という作品への気持ちの変化かもしれない。



 結局すごく長くなってしまった・・・ww

 本当にひとつの作品に対して、小さな本が出来上がるくらい想いはあって。よく音楽家が作品を「子供」とか「自分の分身」とかいうけど、まさにそうなんだよね。
「ミチスガラ」は私にとってひとつの「次のステージへ」の第一歩。言い方を変えれば「背伸び」しているようにも思える。
イマイチ表現しきれなかったなと思う部分も多々あるし、もう少し歳を重ねることでもっとイメージ通り歌えるのでは?という曲もあるが、それはそれ。

 さあ、5年たって、どう表現できるのか!今度の配信が楽しみだ。

  それでは!シマフミと共に絢sRoomでお待ちしております💛

 

 

 

「絢’sRoom」アルバム巡りvol.11「ミチスガラ」

 

 

 

★今回の演奏曲目と絢s.Q(今私はこの曲に何を問いかける?)★


1  Air(2014年作)
絢s.Q~「全」でありながら「個」であり続けるには?~

2 ユラギ (2017年作)
絢s.Q~「時間」の正体はなに?どこからくる?~

3 ウソつきな2人 (2017年作)
絢s.Q~「ウソ」の中にしかない「ホント」ってなに?~

4 泣けない半月 (2017年作・曲 黄啓傑)
絢s.Q~「欠けている」と感じるのは何故?~

5 女ともだち (2017作)
絢s.Q~いちばん素顔をみせられる相手はだれ?~

6 悪人 (2017年作)
絢s.Q~「悪人」であることにどんなジャッジメントを持つ?~

7 日々之素直 (2016年作)
絢s.Q~「今日の私の素直なきもち」はなんだった?~

8 星月夜 (2015年作)
絢s.Q~「それ」を失って得るものはなに?~

9 波間のメロディ (2016年作・曲 黄啓傑) 
絢s.Q~「永遠」と「瞬間」の違いはなに?~

10 ディアカウボーイ (2017年作)
絢s.Q~「小さな声」しか届かない場所はどこ?~

11 風道 (2017年作)
絢s.Q~そこが道であると、決めるのはだれ?~

12 一本道 (2017年作・曲 黄啓傑)
絢s.Q~「私」だけの一本道は今どんな風景?~

13 すず (1997年作)
絢s.Q~生らない鈴の音はどんな音?~