twitcasting.tv2021.12.24 絢ｓroom アルバム巡り「6th.星カンムリ」に寄せて
2021.12.24 絢ｓroom アルバム巡り「6th.星カンムリ」に寄せて
この作品のリリースは「2009年2月8日」とある。
わざわざ日にちまで明記しているのは、我が息子「王様」の1歳の誕生日前日だからだと思う（なんで前日だったんだろう）。
リリース1年前の2008年2月9日に息子を出産して、その年の6月から年末にかけて私は16曲の楽曲を制作しており、内14曲がこのアルバムに収められている。
ほかのミュージシャンの方たちがどんな風にアルバムの収録曲を決めているのかあまり知らないのだが、大体はアルバムに向けて曲を書き下ろしてゆくやりかたが多いのではないかと思う。これまでの私は最初からアルバム未収録曲が多くあったこともあり、アルバムのコンセプトをみんなで決めて、今までに作った未収録曲の中から選抜した曲と、書き下ろしの曲と混合させながら選曲していた。
しかし「星カンムリ」は完全にすべて書き下ろし曲（とはいっても全曲アルバムを意識して制作したわけではないが）。
こんな風な作り方をしたのはこのアルバムが初めてであり、この「星カンムリ」以降このように「書き下ろし」の楽曲でアルバム制作するという作り方に変化した。
私の中で密かに「ミュージシャン矢野絢子のアルバムゼロ枚目」とカウントしているのがこの「星カンムリ」だ。
というのも、これまでは自分のことを「一人の独立したミュージシャン」というより「歌小屋の2階で歌っているメンバーの一人」くらいの感じで捉えていた。自分の生み出す音楽の矛先はいつも「歌小屋の2階」であったからだ。それが少しずつ変化してゆき、いろんな世界を知り、それに抵抗しながらも受け入れてきた。
そこに来てさらに「一人の人間をこの世に産み落とした」ことで私の中で何かがバコン！とスイッチが入ったのである。通常なら「母性」スイッチが入りそうなものだが、私の場合「ミュージシャン」スイッチが入ったのである。
「一人の愛すべき小さな命を、私の生み出す「音楽」で育ててゆくんだ。」
と思ったとき、経済的云々や、子育ての云々のことは一切浮かばず「ならば、より音楽に真剣に向き合って、自分に向き合って、どんどん生み出して進んでいかなくちゃ！」と思った。我ながら単純でいけてるなあと思う。
そこから怒涛の旅生活が始まるのだが、この時はまだその入り口。音楽家として「矢野絢子」として何を生み出したいかちゃんと向き合おうとひとり立ち上がったのがこの時期だった。
「星カンムリ」というタイトルは我が息子「王様＝カンムリ」から来ている。そして月よりも星をたくさん見た1年だった、楽曲の中にも星がたくさん出てくる。
今王様は13歳。あの時王様が生まれてくれなかったら、私は今歌っていたのかな？歌っていたとしても、きっとこんな風な世界は見られなかっただろうと思う。心から信頼できると生まれて初めて思わせてくれた命のために、私はがむしゃらに歌い続けた。ほんとうに素晴らしい日々だった。王様に感謝である。
そしてこの「星カンムリ」は全曲ヴァイオリン嶋崎史香とデュオでのレコーディングというのもレアである。私が息子を産んだ後、シマフミや他の女性ミュージシャン仲間もどんどんと子供を産んで、一時は保育園みたいになっていた歌小屋の2階。あの日も今も「女」であり「ミュージシャン」であり「母」である仲間たちがたくさん私を元気づけて笑わせてくれたなあ。
今はもうやっと「がむしゃら」から卒業して、もうひとつひとつが最後の一節のように、大切に歌っていきたいと思っている。そんな星カンムリ。
メリークリスマス！母は今日も歌うYO
12/24（金）19：30より、絢sRoomでお待ちしております★（2週間アーカイブ有〼）
ご購入は下記から
矢野 絢子
★以下今回の演奏曲目と絢s.Q（今私はこの曲に何を問いかける？）★
1 時の砂（2008年作）
絢s.Q～「私」の「今」が奏でる「音」はどんな「音」？～
2 パラキネシア (2008年作)
絢s.Q～後も先もない「夢中」は「私」を何処へ連れてゆく？～
3 八十五歳の女の子 (2008年作)
絢s.Q～全てが「私」の物語ならば「私」はどんな続きを書く？～
4 一本道の途中 (2008年作)
絢s.Q～目の前の一本道を「私」はどんな気分で歩きたい？～
5 小さな王様 (2008作)
絢s.Q～小さな命の祝福はどこから来てどこまで拡がる？～
6 光の列車 (2008年作)
絢s.Q～「私」が生きたい場所は何処？どの理由は？～
7 在りし日 (2008年作)
絢s.Q～確かにその過去があったと、確信させるものはなに？～
8 エンプティ (2008年作)
絢s.Q～「欲望」は「私」にとっての「何」を生み出す？～
9 終焉 (2008年作)
絢s.Q～完膚なきまでの「終焉」とは？～
10 夏の横顔 (2008年作)
絢s.Q～同じように見えるものから違いを見出す方法は？～
11 それから空は （2008年作）
絢s.Q～「今」みえる空から「私」は何を受け取る？～
12 月と銀杏の日 （2008年作）
絢s.Q～「私」の手はいつも「何を」差し出せる？～
13 ほほえみの中 （2008年作）
絢s.Q～いま、鏡の中で微笑み返してくれるのは誰？～
14 道しるべ （2008年作）
絢s.Q～今日、道しるべは何処を指している？～
