瀬戸内ブルー | 矢野絢子オフィシャルブログ「矢野絢子の生態系観察所(仮)」Powered by アメブロ

瀬戸内ブルー

太平洋と瀬戸内海はぜんぜん違う。


私は子供のころ、瀬戸内海は湖だと思ってたくらい、穏やかである。


高知の海は荒いから、よけいそう思った。


色も違う。


高知の海は濃い青。まさに焼け付く太陽と青い空に焼かれた深い群青色で、


海が固い膜を張ったように、いつも水面がギラギラと光を照り返している。


瀬戸内海の私のイメージカラーは灰水色。


澄んでいるのに、すこし褪せた深い水色。


見る者の心を優しくしみこませてくれるような


女の人の柔らかい肌のような海。


ポコポコと小さな島がたくさんあって、牧歌的な絵本のような景色。








今回はそんな瀬戸内の旅2日間でした。


1日目は香川県は三豊市にあるライヴのできる鉄板屋「ブギ★ナイト」。


今まで何度もライヴをさせていただいたし、


なんといっても世界初、矢野絢子の作詞作曲教室を年4回やったという


思い出の場所です。

その日はリクオさん、TSUNTAさん、島崎智子ちゃんが集まると聞いて、


それは是非駆けつけなくては!とおもい寄せていただいたイベントライブでした。


一台の同じエレキピアノを使って、4人がそれぞれの世界を構築していくさまが


とても刺激的で勉強になりました。みんなすごいなあ。


でも全然違う4人だけど、


この夜はなんだか同じ誠実と愛をもってステージにある姿が美しかったです。


泉さん、湯口さんありがとうございました。


ブギ★ナイトは、先月で閉店して、10月には近くの喫茶店スピカに移転するとか、


今後どういう風に変化してゆくのかとってもワクワクします。


三豊市、ブギ★ナイトがなければ同じ四国だけど知ることがなかった町だから、


これからも歌と共に、遊びに行きたいと思います。


ところでわたくしこの日ブギ★ナイトの裏の楽屋口付近にぽっかり空いていた


工事用の穴にワイングラスを持ったまま落っこちてすごくびっくりしました。


なかなかこの歳になって落とし穴におっこちるという経験はできませんから。


向う脛の擦り傷が珍しくてみんなに自慢してまわりました。


ちなみ落っこちてもワイングラスはしっかり握ってました。

4にんでぱちり。







翌日は高松港からフェリーにのって岡山は玉野市へ。


友人高満洋子の地元ということで、何度か彼女と一緒にライヴをしたり


遊びに行ったりしたことがありましたが、今回はソロワンマン。

お昼の舟にのってのんびり移動、


到着して、近くの温泉でまったりと時間を過ごして、


瀬戸内ハイボールなどですっかりゴキゲン。昼寝までしてあっというまに夕方に。


テクテク歩いてゆくと(今回は短い旅なのでトランクが軽くてよかった)


港から15分くらいのところに、かわいい青い小屋がありました。






ここが新装Cafe & Live Musik。


聞くと、マスターの佐々木さんが4か月毎日一人で外装から内装すべて手作りされたという!!!!


驚き!!!!!


それはそれは丁寧なプロのお仕事のような美しい仕上がりです。


近頃プチミニDIY女史を気取っている私としては興味津々尊敬のまなざしで


あの壁はどうやったの、この柱はどうやったの、この床はどうやったの、と質問がとまりません。


サウンドチェックそっちのけで夢中になってお話を聞きました。


裏にも素敵な裏庭的空間や、大きな古いかっこいい納屋?のような倉庫もあり、


これから少しずつ手を入れて、いろんなことをやれるような場所にしたいとのこと、


いいなあいいなあまさに夢のような空間でした。


しかもグランドピアノがどどんと。羨ましい~。


ライヴは、いろんなところからお客さんが集まってくださり、ちょうどいいくらいに満席。


なんだか完全ソロでグランドピアノでたっぷりソロワンマンというのは


本当に久しぶりの気がして、すごくすごく楽しかったです。


じっくりしっかり、自由に歌えた。


佐々木さん、ありがとうございました。







今頃昨日の3人もそれぞれ違う場所でひとりでピアノとともに


お客さんの前で自分の音楽を演奏しているんだなあと思うと、


心強くて不思議な気持ちだった。


ライヴを開催して、そこに集まってくれた人と時間を共有する。


自分の音楽を披露するのだが、やっぱり多くの人に楽しんでもらいたい。


かといって自分にできることは限られているが、


出来るだけ自然に、のびのびと音楽をめいっぱいいつくしんで、


楽しんで、まき散らかして、


それがまた自然に伝染してゆくようなライヴができたらいいなと思った。







終演後、マスターとお手伝いしてくれたマスターの同級生の女性、


それからその日私が宿泊する宿の管理人の女の子が


たまたまライヴを見に来てくれていて、みんなで港近くのヘンテコなお好み焼き屋さんへ。


遅くまでいろんな話をして、お酒もたっぷりのんだ。


雨が降り出して、涼しかったです。






ずっとこの頃高知の家にいて、ああなんて充実して楽しいの、


もうずっと家にいたいわ、


と思っていたのだが、


こうして旅に出て、いろんな人に再会したりであったりすると、


やはり旅もいいなあとしみじみ思ったのでした。


どちらにしても幸せなので、よかったです。


家にいる時間が整理できていて充実していればするほど、


旅が面白くなるのだな、とも思った。


旅に出て、出会う人も出会わない人(ただ通り過ぎる人とか、見える家とか暮らしとか)も


すべて、私の暮らしの学びにフィードバックするためにあるのだ。


2泊3日くらいがちょうどインプットの量が整理しやすくてよかった。


長すぎるとインプットしながらアウトプットして、帰ってきたら記憶喪失とかになっちゃうから。



なにごともバランスである。




帰りは雨がそぼ降る舟の旅。


あったかいカップのミルクティーを自販機で買ったら


あまりおいしくなかった。紅茶は自分で淹れたのに限るなあ。


フェリーの売店のおばちゃんが優しかった。


このフェリーのおかげで、玉野がぐっと身近になる。


またふらりと行きたいな。


瀬戸内ブルーを浴びに。