レコーディング | 矢野絢子オフィシャルブログ「矢野絢子の生態系観察所(仮)」Powered by アメブロ

レコーディング

前作に引き続き、山梨県小淵沢の「星と虹レコーディングスタジオ」で


9枚目のフルアルバムのレコーディングをしています。


今回は、矢野絢子トリオ(シマフミvln&ペタシdr)と、ブルームーンカルテットの皆さんの総勢7名で作り上げる一枚。


小淵沢。一年で一番寒い時期なので、相当厚着をしてきたんだけど、


毎日晴天で、昼間は屋内なら半袖でも行けるくらい。ギターの富永氏にいたっては夜でも半袖でした。




だいすきな、信頼のおける人々との作業、こころに響く音、ひかる星や月、窓の外の雪景色、


雨の音に包まれて眠る夜、屋根の上をコロコロ転がる雪の音で目覚める朝、


ある夜温泉に行こうと外に出ると、目の前の雪野原を十数頭の鹿が横断したり。


そんなものものが、私のからだから出る音に力をくれました。


ずーっとずっと、終わらずに毎日ここで皆でレコーディングしていたいなーなんて。




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とはいいつつも、順調すぎるほどにレコーディングは進み、


楽器チームは素晴らしい音を残して帰ってゆき、


いつものように最後はエンジニアのモーキさんとふたりぼっち。


コーラスを入れたり、ピアノや歌をとりなおしたり、録音したものをミックスダウンしたりと


作品の仕上げ作業を、あれこれ相談しながらやるのです。



最後の最後の曲を歌ったあと、突然何かがこみ上げて来て、


一人階下のリビングでジャージャー流れる涙に呆然としていたら、


ここの主の先生(歯科医)がガラガラガラと入って来て、「なに泣いてんだ」と言うので


「なんかわからんけど、最後のうた歌ったら涙出てきてびっくりしてんの」


とこたえると、先生は長靴履いたままリビングを横切りつつ


「そんだけ自分のこころに響く歌を歌えたって、幸せなことだよ」と、


いつものように訥々と言って隣の診療所に去っていった。




わたしにはわからないことがたくさんあると、常常思う。


自分のことでさえも。


知りたくて知りたくていつもせっついてきたけど、ここに来て、


私なりの速度で、頭じゃなくてからだとこころを使って


自分から出てくるものを眺めて、学んでゆくやり方しかできないし、


それでいいんだわよと、やっと思えるようになってきた。


そういうことって絶対に、音楽になって出てくる、だからこうして毎年、


アルバムていう作品を作り続けて残してゆくんだなあとおもった。





矢野絢子9thアルバム。


発売は6月頃よ。


おたのしみにね。