あれから10年。

「伯楽星」・「あたごのまつ」醸造元 宮城県新澤醸造・5代目新澤巖夫蔵元が、蔵全壊という甚大な被害に合い、途方に暮れていた大震災直後。

まだ交通機関が麻痺している未曾有の状況であったにも関わらず、全国の蔵元たちが、ぽつりぽつりと酒造りを手伝いに行くようになったそうです。
 
その様子が口込みで広がり、結果的には全国48蔵元51名が、宮城に集結。
 
蔵の垣根を越えて、新澤さんの酒造りの再建に力を合わせて行きました。
 
現在、蔵は川崎市に移転しているので、1873年創業の大崎市の全壊蔵で、最後の酒造り。
 
しかも、当時だれも経験したことのない、日本一の精米歩合7%への挑戦でした。
 
当時の新澤さんは
「全国の蔵元とお酒を作るというのは、心から楽しく、かけがえのない空間でした。一時ながらも震災の悲劇を忘れて、皆で夢中で酒造論をぶつけ合う。ある蔵元は蒸米の温度を調整し、ある蔵元は麹の種を振る。醤油蔵も一緒に、独自の技術の披露会のようでした」と。


 まさにこれまでにない奇跡のカタチとなった
【Unite311 -Super7-】

この日本酒にご縁いただき、10年間、我が家の冷蔵庫で大切に保管しています。あと10年待って、震災年に生まれた娘の、二十歳の記念に乾杯させていただこうと思っています。




 そして今年、川崎蔵で新澤醸造蔵人のみで醸された【Unite311 -Super7-】

震災後、蔵を何度も取材させていただきましたが、新澤さんがその度に、助けてもらった皆様への感謝の気持ちを言葉にされていたのを思い出します。

10年経った今…しかもコロナ禍で大打撃を受けている中、再び奇跡のカタチにされたことに、私はとても感銘を受けました。

この春、大切な方々と一緒に、有り難く乾杯させていただきます。


改めまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

被災されました方々にお見舞いを申し上げます。

3•11 14:46 黙祷