進歩のないものは決して勝たない。
負けて目覚めることが最上の道だ。
日本は進歩ということを軽んじすぎた。
私的な潔癖や徳義にこだわって、
真の進歩を忘れていた。
敗れて目覚める。
それ以外にどうして日本は救われるか
今目覚めずしていつ救われるか。
俺たちはその先導になるのだ。
日本の新生に先駆けて散る、
まさに本望じゃないか。

(白淵磐大尉の言葉)


この言葉、読み返すだけで涙が出る。
元旦から蘇我のXYZシネマにて「男たちの大和」を観てきました。朝は靖国で夜は大和と、なんて日本ラブな新年でしょう(笑)

めっちゃ泣いた。おそらく2時間半の上映時間中、半分くらいは泣いていたと思う。

戦争の悲惨さとかよりも、「守りたい」っていう純粋な気持ちに打たれた。

昔持っていた大和のイメージと言えば、時代に取り残された遺物だった。戦艦の数と質が海軍の強さを示していた時代に遅れた海上の城。戦闘機の時代にはついていけなかった、敗戦の象徴。

でもこの映画を見て、大和への印象は変わった。その当時の日本人の知能と技術の結晶であり、そして船に携わるものたちの憧れの象徴だったもの・・・結果として撃沈され無用の長物の烙印を押されたとしても、そこに込められた思いをなぜ笑えようか。むしろ涙が出る。

「あんなに美しい船は見たことがない」

「大和で死ねるなら本望だ」

それだけのものを持っていた大和はただの戦艦ではないなと思った。

少年兵の心にも泣かされた。大和水上特攻作戦の前の言葉。
「両親を戦争で失い、兄も戦場で死んだ。
沢山の人間が戦争の犠牲となった。だから、これ以上日本人を殺させるわけにはいかない」

冒頭の言葉はそんな少年兵たちに向けられた大尉の言葉だ。

特攻だというと、「国の為に無理やりだ」とか、「正気の沙汰では出撃できなかった」とか、そういったネガティブな印象ばかりが語られるが、やはり「守りたい」という気持ちが兵士に覚悟を決めさせたのではないだろうか。故郷のため、両親のため、愛する人のため・・・

そうして守られた国に、今自分が生きている。

今を生きることをもっと考えねばね。


しかし歴史を扱った作品って、抗いようのない運命が、たまらなく悲しく思えてしまったりする。神尾を見送った幼なじみが、彼に負けないよう頑張りたいと向かった先は、広島の軍需工場。しかも戦争も末期・・・ 見えてしまう運命の理不尽さには、涙が溢れてきた。


かなり多種多様な涙のツボを刺激してくれました。ご年配の方も沢山観に来られていましたね。幅広い年代の方に見てもらいたい日本映画だと思います。