9月29日に開催されたK‐1の感想。
今大会からはAbemaプレミアム(月960円)に加入すると視聴できるようになっています。

同じ大会で55キロトーナメントの準決勝&決勝が行われていましたが、同大会では65キロ(スーパーライト級)でのトーナメントも開催されていました。他団体だとONEのバンタム級キック王者がジョナサン・ハガティ(約66キロ)GLORYフェザー級(65キロ)の王者がペットパノムルンです。
そのペットパノムルンに勝っているのがRISEスーパーライト級(65キロ)世界王者のチャド・コリンズとなっており、それぞれの団体で評価の高い王者が存在しているややこしい状況。

ただ、年末にGLORYとRISE合同のトーナメントが開催されるので、現状ではそっちで王者になった選手が65キロで世界最強と言えると思います。
ONEのバンタム級はハガティの王座決定戦の相手が近年は総合格闘技で活動していた事、それとムエタイルールで下の階級から上げてきたスーパーレックに負けている事などを考慮すると、王座の価値は他より少し落ちる印象。でもONEの保有選手は他より劣っているとは言い切れず、GLORYランカーや今回のK1トーナメントに参加している選手より上だろうという選手もいます。

※ ONEの66キロは他団体の65キロより体格的には少し下かもしれません




トーナメント1回戦は鈴木勇人とイオヌット・ポパの対戦。
今回のK-1トーナメントでいいなと思ったのは、新生K-1恒例のいきなり日本人4名=自動的に日本人4人が世界ベスト8入りでは無かった点。しかも数少ない日本人2枠の中に激闘型の鈴木ってのはおもしろい。
ここでRISEの白鳥に対抗戦で負けている佐々木をリザーバーに回したのは良い判断だと思う。

どう考えても鈴木が優勝はないでしょ!、ってか決勝行けないでしょ!?ってマッチメイクがいいなと。もしそれで勝ち上がっても素直に健闘を評価できるし、いつものどうせ日本人Aと日本人Bを決勝で当てるつもりで試合組んでんだろ感があんま無かった🤣🤣


相手のイオヌット・ポパGFC(ゴールデンファイターチャンピオンシップ)などに参戦しているルーマニアの選手のようです。

最近、ルーマニアモンテビデオが復活したと知ってビックリしてます(格闘技とは無関係)。DFS(ダイナマイトファイティングショー)やGFCで2度エイドリアン・マキシム(アドリアン・マキシム)に負けてしまっているみたい。
そのマキシムも武尊と戦ったサグデンや中国人ファイターに結構負けているので、戦績で格付けしていくとトップからはだいぶ落ちる選手という印象。

 

■イオヌット・ポパの戦績(TAPOLOGY)


ただしTAPOLOGYで確認できる戦績だと近年はマキシム以外には負けていない。


試合は1Rから激しかったですね。
俺は1~2Rどっちも10-10だと思ったんですが、旧K1末期の採点基準ならどっちも9-9が付いてもおかしくないなって展開。お互いにダメージを与えあった上でのイーブンって感じで。
1日3試合あるのに初戦からこの激闘かよって展開だったんですが、鈴木が大仁田ばりに大流血。電流爆破も有刺鉄線も無いのに凄まじい出血量でした。
もちろん真鍋もいません😁✋
 

 

 

■懐かしの大仁田と真鍋



3Rはポパの10-9かな・・と思ってたら、その辺で出血により鈴木のTKO負け。さすがにストップも仕方ない出血でした。

相手のポパもワンデートーナメント初戦で結構削られたなという試合でしたね。




次はタイのヨードクンポンカン・ピナールの試合です。
今回は事前に選手をあんまチェックしないまま当日になっちゃったんですが、カン・ピナールが優勝候補みたいな声はSNSでちょいと見てました。あ、そうなんだみたいな。
じゃあそのカン・ピナールか、それなりに有名なメン・ガオフォン(メン・ガオフェン)が優勝かな~ってぼんやり予想してました。

カン・ピナールはオランダの名門マイクスジムに所属していて、今年海外修行へ行ったK-1王者・与座のお墨付きファイターです。
破壊神というキャッチフレーズなのに3KOってのは、清純派AV女優並みに意味不明ですが、まあそんな事はどうでもいいじゃないですか。気になるカン・ピナールの戦績はK1公式サイトによると、17勝3敗(3KO)となっています。
ただし誰と戦ってきたのかは調べた限りではよくわかりません。

これを事前に知っていたら優勝候補だとは思わなかったでしょうね🙄🙄


対するタイのヨードクンポン
戦績を見ると、今回の出場者の中では最も強豪と戦ってきた選手と言えるでしょう。


 

■ヨードクンポンの戦績

海外団体のGLORY戦績は1勝3敗。
GLORYでの試合は2014年と2017年に2戦ずつなので、年齢を考えたら現在の方が完成度は高いんじゃないでしょうか。

しかし、今大会前の2年間の戦績は3勝5敗で3連敗中。
K1で来日した事もある中国のジュー・シュアイにも負けているようです。ムエタイの殺戮王というキャッチフレーズの割には殺戮されまくってるな😂✋


・先日のONEにも出ていたシャドーに1敗
・ONEで0勝2敗のシブムンに1敗
・ONEで0勝3敗のニコラス・ラーセンに1敗
・ONE王者にもなったカピタンに1勝3敗
・GLORYのベスタティに1敗
・ガブリエル・ヴァルガに1敗

・ペットパノムルンに1敗
・セマタさんに勝ったアルビ・エミエフに1敗


と、有名どころにかなり負けまくってるんですが、今回の65キロとは違って70キロで戦ってる試合も多いですね。あとはムエタイでの戦績が圧倒的に多いので、ボクシングキックでの強さはまた別の話とも言えます。
今年の70キロ開幕戦に出たタナンチャイなんかが、ムエタイでの戦績は優れてるけどK-1ルールには向いてなさそうでしたし。
 

 

■ヨードクンポン vs Meng Lingkuo

今年の6月にはクンルンファイトで中国人と対戦して1RKO負け。
これも70キロでの試合だったようで、Wikiで確認できる限りでは2度目のKO負けのようです。キャリアを通じてKO負けが極端に少ないので、ルールや主戦場とする階級によってはもっと綺麗な戦績になる選手かもな~と思いました。

要は経験と技術はかなりのものがあるのではないかという事。


ただ、この勝った21歳の中国人も8月の試合でジョムトーンにローキックで1RKO負けしているようなんで、70キロの若手と65キロのベテラン、70キロの若手と70キロベテランの対戦ではまた話が全然違うんでしょうね。
GLORY65キロ王者のペットパノムルンと、70キロ王者ベスタティが対戦した試合もそうでしたが😱😱




肝心の試合ですが、カン・ピナールさんがまるでダーブラのようでした。
独特なステップ、そして実況がカン・ピナールは70~72キロで戦ってきている=65キロならもっと強い可能性があると期待させるような発言。ほうほう、さすが優勝候補のカン・ピナールさんだ。

しかしですよ?

明らかにヨードクンポンのハンドスピードと回転力のあるパンチがムエタイ戦士らしくない。こいつかなり強くねーかって見ててわかるレベル。

でもカン・ピナールさんは優勝候補なんだ🤗🤗


みんながそう言ってるならきっと凄いはずなんだ・・なんてことはなく、ヨードクンポンが2回ダウンを奪ってカン・ピナールを1RKO

先にカン・ピナールの戦績をチェックしていたら優勝候補だとは思わなかったけど、チェックしてなかったからビックリしました。これはもう決勝進出はヨードクンポンだろうなと、この時点で予想できちゃいました。

でもカン・ピナールもまたK1でみたいですね。

このまま終わりなら魔人ブウに瞬殺されたダーブラ状態。

K-1なんだったのか大賞2024で優勝だと思います🤣🤣




反対ブロックはレニー・ブラジと稲垣柊が対戦。
こっちは稲垣とメン・ガオフォンが準決勝に上がるだろうなと予想してました。

レニー・ブラジは今年20歳の若手。
ONEフライデーファイツで3試合していて、その戦績は1勝2敗と負け越しになっています。ただしルールは全てONEムエタイルール。
YouTubeを見ると、8月17日にムエタイの試合でKO勝ちしているようで、その試合映像での戦績表示は26勝6敗(14KO)。K1公式だと大会前は26勝8敗(15KO)になってて、実際はもう少しだけ良い戦績の可能性アリ。
だいたいそんくらいの戦績って感じなんですかね。


この試合は1Rは10-10かなと思った。
ブラジがそこそこイケメンで、カッコつけるような仕草が良かったです。明らか実力は劣ってそうなのに、「ははは、いいね君(あ、やばい・・)」みたいな振る舞いが(笑)

2Rは稲垣10‐9かな~という印象。
最後は稲垣の飛び膝が炸裂して3RKO決着でした。見た印象では稲垣は試運転をしていたというか、かなり余裕がありそうに見えました。
一方のブラジは相当ダメージを負ってやせ我慢してたような最後でしたわ。





1回戦最後は中国のメン・ガオフォンと、南米アルゼンチンのWGP王者トーマス・アギーレの対戦です。

メン・ガオフォンは、どちらかといえばメン・ガオフェンとして以前から知られていた中国人。海外のランキングサイトでもよく名前を見かける選手でもある。
 

 

■カムラン・ナバティvsメン・ガオフォン

ONE4戦全勝でキック戦績も負けなしのナバティとガオフォンの試合。
結果はナバティの5R判定勝ちとなっています。
 

 

■GLORY ヴィダレスvsアギーレ

一方、相手のアギーレは過去にGLORYのヴィダレスと対戦。
判定は29-28でヴィダレスの勝利ですが、コメント欄ではアギーレの勝ちだ!と主張するアルゼンチンのキックファンもかなりいる様子。一応はGLORYトップランカーと良い試合をしているのがアギーレ。
そのアギーレがあっさり敗退するのであれば、このトーナメントの価値が少し上がるかも・・そんな位置付けの試合とみてました。


俺は1Rはメン・ガオフォンだと思いました。
これはメンの圧勝で行くかな~と思いきや、アギーレのパンチでメン・ガオフォンがダウン。これで2Rは明らかに10‐8でアギーレ。
メン・ガオフォンは自信があったか1Rで変に乗ってしまったのか、それとも元々少し雑なのかわかりませんが、ダウンを取られてからはリズムを崩した印象。というより、アギーレは緩い体型に見えて身体そのものが強そうに見えたな。

俺は3Rはドローで29-28のアギーレ勝利だと思いました。
実際の判定は30-27が3人でアギーレの圧勝という結果に。ここでカン・ピナールに続いてメン・ガオフォンも1回戦敗退の波乱が起きましたよ。

こういう流れがあっただけに、金子vsリアムの微妙な判定はモヤモヤするな~って余計に思っちゃいましたね。



■Abema格闘Ch K-1 WORLD MAX 2024

準決勝は鈴木に勝ったポパと、優勝候補と言われていたカン・ピナールを1RKOしたヨードクンポン。

1回戦で負ったダメージが大きいのは明らかにポパ。これはまあヨードクンポンが勝つ可能性がかなり高いだろうなと。

結果は開始早々にダウンを奪い、そのまま2回倒してヨードクンポンのTKO勝ち。
またも1RKO勝ちでした。勝つとは思ってたけど、さすがにここまであっさり勝つとは思わなかったからビックリ。
この流れはワンデートーナメントとしてはかなりおもしろいのに、あまりSNSで話題になっていないのは非常に残念なところですな😂😂✋




■Abema格闘Ch K-1 WORLD MAX 2024

もう1つの準決勝は稲垣とアギーレ。
これはまあ相性としては稲垣だろうなと。結果は2Rにアギーレがダウンを奪われてそのまま稲垣の判定勝ち。

俺は、、
1R:10-10
2R:10-8で稲垣(ダウン1)
3R:10-9で稲垣だと思いました。

実際の判定は30-28、30-27、30-28で稲垣。
トーナメントの2戦目とはいえ、ヴィダレスよりもハッキリした形で稲垣が勝ったのはK1としては良かったんじゃないかな。





そして決勝は稲垣vsヨードクンポン。
2戦連続で1RKO勝ちのヨードクンポンに対して、稲垣は2試合で5Rちょい戦っている。このままヨードクンポンが圧勝ならすごいヤツが出てきたとなるし、稲垣が勝つならそれはそれでK-1最高という事でフィニッシュです。

それなりに拮抗した展開になる、ってか稲垣が勝つ可能性もあると思っていましたが、全ラウンドでヨードクンポンが上手く戦ったな~って印象。
なんかそれなりに余力を残したというか、余裕がありそうに見えました。

気になったのは足を掴んでしまったり、K-1ルールへ完全には適応できていない様子があったとこ。とっさに癖で出てしまうのもあるんだろうけど、このくらいならセーフ&プレッシャーをかけられるとわかってやってるように俺は見えたかな。
そういう意味でも1枚上手だったと勝手に思ったり・・。


俺の判定は、、

1R:10-10
2R:10-10
3R:10-10でドローでした。

どちらかに付けるのであれば全ラウンドでヨードクンポン。
実際の判定は2人が30-29、1人が30-30でヨードクンポンの判定勝ち&優勝。この日は金子vsリアム、軍司vs寺田と、判定に対して意見が分かれそうな試合はありましたが、これは延長なしで決着ついちゃうんかい!と思いましたね(笑)

これでヨードクンポンが勝ち続ければ、65キロ&K-1ルールでは強いという幻想を作れるかもしれない。
理想を言うなら、ゲーオやゴンナパーに変わるK1代表タイ人みたいになってくれればいいんでしょうな🤗🤗



その他の幾つかの試合に関する感想をパパッと・・


■リュウ・ツァーvsサッタリ

思ってたよりサッタリが頑張ったなって感想。
俺は1~2Rがリュウで30-28だと思いました。実際の判定は30-28、29-29、30-29で2-0のリュウ・ツァー。
やっぱサッタリはもう少し下の階級じゃないと厳しいと思うし、致命的なダメージを負う前に転級して欲しいけどな。旧K1でいうなら、ブレイク後の勝てなくなったガオグライの試合を見てるような気持ちになる。


■軍司vs寺田

この日、判定に関して賛否がありそうな試合その2。
延長で寺田の判定勝ちとなり、7月の兼田→今回の軍司をどちらも際どい判定で下してK1フェザー級王者になった寺田。軍司と兼田が強いと思われていた中で、その2人と僅差の戦いをしてるから寺田も強い。
でもホントに僅差の僅差すぎて、どっちも再戦アリでいいと思いますね。

俺は今回は軍司が本戦30-28で勝ったなと思いました。

それはパンチ偏重の見方&軍司寄りと言われても否定はできないけど、どちらかに付けるなら全ラウンド軍司、もしくは29-28で軍司になっておかしくない内容だと思った。
金子vsリアムもそうだけど、10-10の幅でモヤモヤする試合だったな。

延長はマジでどっちに付けていいかわからない。
もう判定を放棄しました(笑)

本戦は実際の判定が30-30、30-29で軍司、30-29で寺田と三者三様。延長に関しては全員寺田でしたね。


■岩尾vs鬼山


55キロ戦線で期待されてる岩尾ですが、たしか復帰戦で開始早々にダウン取られてるんですよね。身体や雰囲気からして55キロでは打たれ弱そうなイメージ。
パンチ&ボクシング技術はあるからそれなりのレベルまでは圧倒出来ても、それ以上になるとどうかな・・っていう。玖村や金子レベルには遠いなと思ってました。

でもこの試合は勝つ、ってか勝ってほしいと思ってたんですけど、3Rにがっつり2回もダウンを奪われて岩尾の判定負けでした。ダウンが無ければ岩尾の判定勝ちに見えたのに、ちょっとキックルールなのにボクシングに傾倒し過ぎに見えたな。
勝った選手に失礼かもしれんけど、岩尾は最後まで油断しなければ勝てた試合を落としたように思えたんで、これは大きな後退ですね。


■与座vsペッダム(本物)

今回は偽ペッダムではなくペッダム(本物)が来日。
与座に用意できる最高クラスの選手をK1は用意したと思うけど、元ONEフライ級王者で実績があるのは階級下。しかも王座陥落→離脱から時間が経ってるんで、海人vsペットモラコットの軽量級版みたいなイメージでした。
与座の圧勝が予想できるし、勝負論はあんまねえなって。

実際に試合でもこれ以上ないくらいに与座が圧倒してのKO勝ち。
K-1の60キロでペッダムを見れないかなと思いましたね。


まあ、そんな感じで結構楽しめました。