2023年に公開された北野武監督の映画です。
これは去年予告で見た段階で気になってたんだけど、少し前にU-NEXTで399Pで配信され、その少し後でネットフリックスに無料で来ました。

あんま評判は良くないというか、期待ハズレって声は聞いてたんで、その原因も知りたいな~と思ってた。
 

 

首 プロモーション映像


実際に見てみると、人によって評価は分かれるだろうなと感じた。
たけしが秀吉役になってて、史実よりもかなりお爺ちゃんです。序盤は演技の上手い俳優たちの中に棒読みのジジイが紛れ込んでる感じで違和感バリバリだったんだけど、慣れるとこれはこれでアリという気持ちにはなったかな。

ってか、この秀吉だからおもしろい。

信長の家臣たちが、信長の跡継ぎは俺だ!と理不尽なパワハラに耐えていく流れなんですが、ノリに関しては少しアウトレイジに近いもんがある。去年の段階で戦国アウトレイジを期待する声が凄く多かった。


織田信長
羽柴秀吉
明智光秀
徳川家康を中心に話が進んでいく流れになってて、柴田勝家だったり、前田利家がいなかったと思う。その辺の狙いはわからんけど、秀吉がお爺ちゃんになってる首の世界に勝家がいたら矛盾が増えるし、前田利家のポジションは邪魔になるかもしれない。
そういうちょっと気になる部分はあるけど、そこは映画という事で気にしなきゃいい範囲ではありました。


肝心の時代設定は、荒木村重が反乱を起こす事や秀吉の中国攻めがあるので、だいたい1578年あたりから始まっている雰囲気。
しかし、その後で長篠の戦い(1575年)っぽい描写もあったから、本能寺の変(1582年)が近い1570年台ミックスというイメージだったな。まあどっか見落としや勘違いがあるかもしれませんが😅😅

なぜその辺を気にしながら見ていたかと言うと、やっぱ秀吉の生涯って晩年が冴えないというか、映画やドラマ映えしないじゃないですか。
ある意味、たけし演じる秀吉は晩年の秀吉のイメージに近いクズキャラなわけですが、一体どういう結末を迎える映画なのか最後の最後までわからなかった。どこで終わっても中途半端な結末になりそうだし、本能寺の変→光秀と戦って終わるのかな・・というぼんやりしたイメージで見てましたね。


映画は全体的にグロい場面が多い。
首というタイトルの通り、生首が結構出てくる映画です。それとホモ(男色)に関する理解がないとわかりにくい映画でもある。
ごく普通の戦国時代を描いた漫画やドラマは武士道とか、とにかく侍をカッコ良く描いてる作品が多いと思う。

俺は小学生の頃にゲームで戦国時代に興味を持って本を読んだりしてたんだけど、学者が書いてる真面目な本ほど戦国武将のクズさが描かれている。気分で通行人を殺したり、妊婦の腹を切り裂くとか、現代の倫理観に照らし合わせると頭がおかしい奴だらけ。
少年漫画なら刀で正面から斬り合うけど、成年漫画なら矢にウンコや毒を塗りたくったりするじゃないですか。そういうカッコよくない戦国時代=おそらくリアルに近いのが首の世界観。
だからオッサン同士のホモSEXがちょこちょこ出てくるし、小姓(森蘭丸)を犯すシーンも当然出てくる。昔チラッと読んだ淫の日本史みたいなタイトルの本でも、そういう同性や動物とのSEXについて書かれた場面があったのを覚えてるな😨😨

意外とそういう部分を知らない人はいると思うし、サブスクで多くの人が見るとなると、人によってはなんじゃこりゃとなるかもしれないと感じた😄✋



以下、ネタバレ有り。




で、映画の大きな流れは本能寺の変(秀吉黒幕説)
秀吉(たけし)が裏であれこれ手を回して光秀をそそのかす。そして光秀が信長を殺して、その謀反人・光秀を秀吉が討ち取って実質の後継者(信長の)になると。

そこは史実の通りだからネタバレもクソもないんだけど、映画として大きく盛り上がるシーンは無かったですね。起承転結というより、起承承承承承、、結!!みたいな。
いや、起承転尻(ケツ)でもいいんすけどね🤣🤣

だからこの世界観=雰囲気を楽しめる人じゃないと合わない
どいつもこいつも卑怯で武士道精神の欠片もなく、とにかく人の命が軽い。当然、戦でも自分は前に出たがらない奴ばかり。
だけど「おまえさっさと前に出て死んでこい」という理不尽なノリなので、そういうとこを笑えないとダメですね。影武者も使い捨ての消耗品のように死にまくりだけど、それを誰も気にしてないのがまたおもしろい。

一番おもしろかったのが清水宗治の切腹に関するシーン。
この人は部下の命を救うために自分は死んでもいいと腹を切る武将で、その切腹シーンは人生最後の晴れ舞台。でも秀吉や秀長(弟)が「はやく死ねよ」「まだやってんのかよ」と遠くからツッコミを入れまくってて、清水宗治の覚悟とのギャップが笑えた😂😂

でも清水宗治を切腹させた後で中国大返し💨という流れがあるわけだから、めんどくせーから早く死ねよって真実があったとしてもおかしくはないよな🤪🤪


最後は首実検。
普通の映画なら大事にしなければいけないもの、それこそ主人公がそれと向き合って語りかけるシーンがあってもおかしくないような大事なものを、こんなもんどうでもいいわ!と蹴り飛ばして映画は終わります。

結末が思ったよりスッキリしていて、この題材でどう締めるんだろ・・ってのは無用な心配でした。まさに戦国ブラックコメディって感じで、最後の最後まで雰囲気を崩さず終わってたな。


・一応は主要キャラである足軽の演技が少しウザくて何言ってるかわからん
・いきなりSAKON(漫画)ばりに空中で斬り合う謎シーン
・キム兄の役がいるような要らないような微妙な位置

この辺が少し気になった程度。


おもしろかったんだけど、戦国時代に興味がない人が見て楽しめるかは疑問
見る人によって、その人の好みによって評価が分かれると思いました。