■このページの前編的な内容



前編を読んだ上で読む後編という位置づけで、あまりおさらい的な内容は書かずに行きたいと思います。
これはあくまでも僕の手元やネット上にある情報などを元に、2008年に物議を醸したK-1WORLD MAXでの魔裟斗vs佐藤、魔裟斗vsキシェンコの判定が妥当だったのかというのを考えてみたページです。

手元にない、もしくは見落としている情報があれば僕の考えが変わるかもしれないし、これはあくまでも2023年8月現在の僕による勝手なまとめであります。
でも前編で触れましたが、TwitterやYouTubeなどのコメント欄にいる人の誰よりも細かく、多くの情報をまとめた上で結論を出したいと思うので、そこそこ説得力はあるんじゃないかなと勝手に思ってます。たまにネットでこの試合についての話題が上がってるのを見掛けると言いたい事はいっぱいあるんだけど、めちゃくちゃ長くなるから俺は基本的にそういうのには参加しません🧔🧔✋


■ここ数年で気になったネットの声

これもしかしたら同じ人物だと思うんだけど、ネットで検索して出てくる1~2つ、多くて3つくらいのダウンがあって10-9(通常は10‐8)の例を挙げて、
過去に10-9の例があるんだから魔裟斗vs佐藤の試合はおかしくない!
わかってないのは前例を知らないニワカアンチ!
みたいな人を、この話題の中でかなりの割合で見るんですよ。そして不自然にそのコメントにイイネがついてて、なんかちょっと怖いなって

それとは別にアベマのコメント欄でもひたすらボクシングをバカにしてる人がいて、俺は見掛け次第すぐにブロックしてるんだけど、その人に似た怖さを感じます。ONE、K1、RISEを見てるとかなりの割合でその人いません?

あれ手動なのかBOTなのかすんげー気になるけど、大昔にネット上でアンチボクシングやってたヤツと同一人物にも思えるんだよな🤔🤔

「ボクシングが簡単な証拠!!」みたいな。
そんな簡単ならお前がラスベガス行ってPFPで億万長者なっとけよ💩💩(笑)


天心ブーム全盛期の時もムエタイ戦士のアイコンとサブ垢っぽい英字だけの垢を複数操ってるとしか思えない人がいて、天心に批判的なコメントをすると物凄い勢いで連投反論&その反論コメントにだけありえない勢いでイイネがつきまくるって怖い出来事が何度もありました(笑)

で、この話題でも先に書いたように、おっ!あの試合がバズってると思ってTwitterやYouTubeのコメントを覗くとまたいた!!みたいなアカウントを超高確率で見ます。アイコンや名前が違っても文体&主張が同じなのです。
その人しか使わない日本語として不自然な特定のワード、例となる試合が無数に有るのにググって出てくる数例しか話題に出さない事など、同一人物or似たような人物である確率が非常に高い

もちろん悪意の有無、意図したものかはわかりませんが、挙げている情報量が少ない事で結果として印象操作になってると思うし、SNSには誰かが書いている=それが事実(真実)みたいな層が一定数は存在するんで、なんかな~と思っちゃう。別に誰が正しいなんて事はないんだけど、人それぞれ見方がある・・という物とはズレてるんじゃないかなと。

色んなとこを見ている格闘技ファンであればそういうものを目にしている可能性があると思うので触れてみましたが、なるべくそういった短文投稿サイトなどで見かけるコメントよりも詳しく書いていきたいと思います。

 

 

ダウンがあった時の基本採点


ボクシングでもキックボクシングでもダウンがあったら10‐8というのは基本だと思います。
当たり前すぎてダウンがあって10‐8以外の可能性について議論になる事もあんま無いですよね

ダウン1回で10‐8
ダウン2回で10‐7
だけ覚えておけば、ほぼ100%の確率で問題なく試合を見れるといっていい。これに関しては現代はもちろん、当時の旧K1でもファンの認識は同じだったし、むしろ現代の方がダウン=10‐8としか見ない確率が高いと思います。

K1であればトーナメントは決勝以外だと2回のダウンでTKO、決勝戦では3回のダウンでTKO。
もちろんダウンの回数に限らず危ないとレフリーが判断した場合は試合が止まるので、何度ダウンしてもOKなフリーノックダウンだとしても10‐6が付くケースというのは非常に稀と言えます。

ただ、旧K1では魔裟斗vs佐藤戦の影響で、ダウンがあっても挽回したら9-8というルールが追加されました。
これに関しては現在の新生K1でもルール内に存在しているのですが、今のK1を見ててダウンがあったラウンドで9-8だな(もしくは10-9)と判定するファンがいますか?

もしかしたら公式でそういう採点が存在しているかもしれませんが、ルールに存在しているのにそういった判定をするファンがまずいないという事実が、この旧K1における9-8という採点が普通ではない証明だと感じるんですけどね😅😅

とはいえ、魔裟斗vs佐藤、魔裟斗vsキシェンコの試合は1年後に採点表が10‐9から9-8へと書き換えられていた事が判明したので、ここからは9-8ではなくダウンがあって10-9という例に焦点を当てていきます。


 

グレーな幅が非常に広い旧K1式の採点

 

この旧K1の判定を語る際に厄介なのが時期であったり、ジャッジによって大きく採点が変わっているケースがある点。
なので、過去にこういう採点があったから●●の試合はおかしくない!とは簡単に行かないのです。

・優勢な方に必ず10点
・明確な差がなければ10‐10(延長最終Rは別)
・どちらかが優勢であれば10‐9
・ダウン1回で10‐8、2回で10‐7
ダウンがあってもフラッシュダウンであれば10‐9
ダウンがあっても挽回すれば9‐8(2008年追加)
・ダウン1回でも更にダメージがあれば10‐7
僅差であれば10‐9.5(2005年廃止)
ダウン相当のダメージがあれば10‐8.5(2005年廃止)


グレーというのは審判の裁量に任されている事を指しています。
ハッキリとルールで決まっているわけではなく、審判個人の判断でどうにかなる部分の事。これは現代であれば10‐10に幅を持たせる事でたまに胡散臭い判定があったりする印象です

人気選手がわずかに負けてる→僅差だから10‐10
人気選手がわずかに勝ってる→僅差でも10‐9
みたいな合法インチキね🤔🤔
 

 

そして現代にもルールにフラッシュダウンはありますが、このフラッシュダウンかどうかの判断の部分。
フラッシュダウンとは基本的にダメージの無いダウンを指すわけですが、旧K1の場合はどのようなダウンであっても10‐9が付いているケースがかなり存在しています。それはなぜなのか!?というのは全くわかりません(笑)

普通に考えたらダウンがあってもダウン前に優勢だった場合=全体を通して10‐9と判定していると考えるのが自然なわけですが、これはルールには無かったと思います・・が、いつだったか角田さんがブログで全体を通して判定しているという事を書いていた記憶があります。ただ、現在はブログが存在していないのでそこはハッキリとはわからないです。
間違いだったらごめんなさい🙇🙇

ただ、これからダウンがあって10‐9の例を並べていくと、全体を通して判定しているから10‐9!でなければ説明がつかない試合も多くあり、10‐9の理由がダウン後の挽回、ダウン以前の攻防を含めラウンド全体、フラッシュダウンのどれで付いているのか審判個人の判断=グレーゾーンのためわかりにくく、ホント厄介なものになっています。
魔裟斗vs佐藤戦で挽回が強調された結果、ダウンがあって10‐9(9‐8)=挽回によるもの!という極端な主張が増えたんですが、必ずしもそうではありません。仮にそうならラウンド終了間際にダウンを奪う事が圧倒的にお得というしょうもない競技になってしまいます。


 

時期によって傾向が違う旧K1の判定


旧K1はルール改正などによって時期によって試合のルールそのものが違ったり、2004年以降はワンマッチが5R→3Rになったりと、K1だからと一括りにはできない点があります。
90年代の雑誌を読み返すとバックハンドブローが禁止でどうこうなんて記述があったりして、それっていつ?ってかいつまで・・みたいな感じで約30年の歴史を全て把握している人は日本中を探しても一握りなのではないかと思います。


同じく判定に関しても時期によって傾向があるので、そこについて簡単にまとめます。



■佐竹vsスタンザマン(1993年)
この試合はダウン無しの判定で佐竹勝利なのですが、その採点は50‐45、50‐47、48‐43(島三雄)となっていて、現在の感覚で採点した場合に島三雄さんの判定と一致するファンはまずいないと思います。


■アンディ・フグvsシカティック(1994年)
フグは1R、シカティックは2Rにダウンをしてフグの判定勝ち。
採点結果は47‐43、47‐44、45‐40とこれもまた現代の感覚やルールでは出てこない判定結果になっています。


■ピーター・アーツvs佐竹(1994年)
アーツの判定勝ちで採点は27‐25、30‐25、30‐29と、物凄く幅のある判定になっています。
ラウンドごとの採点は・・

10‐10、10‐89‐8
10‐10、10‐89‐8
10‐9、10‐9、9‐9





ああーっと!なんという、これはこれはとんでもない事が起きてしまいました。
なんと9-8(笑)が早くも出てくるという運命のイタズラ(三宅アナの声で)🦹‍♂️🦹‍♂️


あっ、でもダウンが無くて9-8ですからね。
大丈夫、セーフです😎✋(なにが)


同日のシカティックvs佐竹も26‐26、30‐28、30‐29(佐竹2‐0)と幅の大きい三者三様の判定が出ています。

と、こんな感じで初期のK1に関しては優勢な方に10点とはなっていないケースが他にも幾つかあり、1993~94年に関しては現代の感覚だとかなり例外的な判定が存在しています
しかし、この判定の傾向は1995年から変化しており、以降は現代の感覚に近い判定の割合が増えています


■ギルバード・バレンティーニvs新妻聡(1995年)・・44‐44、46‐45、47‐47

95年にK1の中で行われた試合で現代のシステムではまずつかないであろう採点はおそらくこの試合のみ。


1997年以降の傾向としてはテンポイントマストシステムが超高確率で機能していて、最終的な採点で30点、50点の結果が初期よりも増えています。
そして10-10の割合も増えている印象で、差が大きく開いた判定は減っています。これはトップ選手同士の実力が拮抗してきている影響もあると思われる。



■K1なんかやってらんない!という佐竹の一言が掲載されている衝撃的な表紙

しかし、1999年には佐竹vs武蔵戦の判定で佐竹が激怒してしまい、K1創世記からの日本人スターである佐竹はK1を離脱する事となる。

この試合の判定は3者共に48-46で武蔵の判定勝ち。
1Rに佐竹がダウンを奪って10‐8、残りの4Rは全て武蔵という判定でした。

ジャッジはスティーブ・カラコダやヨハン・ボスとなっていて全員が外国人。

外国人たちはちゃんとどのような理由で武蔵の勝ちであるかを説明をしています。一方の佐竹はアーネスト・ホーストが2Pサタケが勝っているトム・ハーリックも佐竹の勝ちだと言ってくれたと主張しています

ただ、佐竹はこの試合にだけ怒っているのではなく、ベルナルド戦でバッティングなのにダウンを取られた事など、様々な事が積み重なってこの試合で不満が爆発してしまったという事が雑誌に掲載されています。


気になる点としてはこの2年前後の試合結果を見ると、ラウンドマストで全ラウンドどちらに振り分けてる試合はおそらく無いと言っていいのに、この試合に関しては全ラウンドどちらかに振り分けているという点。
ここは雑誌(格通)でも僅差ならイーブンになるケースがよくあるのに、ルールの整備が必要かもしれないとまとめられています。





2001年以降のK1ではハーフポイント採点がちょくちょく確認できるようになります。
現在のK1やRISEでは見かける事のない9.5や8.5などの点数が付く採点の事。このハーフポイントは29.5なら29(30の時期も)、28.5なら29、27.5なら28といった感じで、判定の読み上げ時には視聴者には分からないシステムでした

この採点は2003年以降の谷川&角田体制の時期になると更に増えていく印象です。
そして2004年のK1GP決勝ではこのハーフポイントを読み上げるようになり、それまでは優劣が付かないはずだったといっていい0.5ポイント差で延長の勝敗が決まってしまう試合が続出し、試合を放送したフジテレビに抗議が殺到する事態となりました😨😨






当時のGONG格闘技(雑誌)では画像のように王者レミー・ボンヤスキーがK1の判定は意味不明だから改善策なんてわからんと皮肉を言ったり、雑誌記者からも会場でブーイングがあった事、ファンの目が厳しくなっているという事が書かれています。
セフォー、ホースト、ガオグライなど出場した選手の多くが判定へ怒りを露わにしていました

この年はK1MAX決勝でも魔裟斗VSブアカーオの判定に多くの批判が集まり、K1は延長ラウンドへ突入した判定を公式に誤りであったことを認めています

そしてGP決勝から半年後となる、2005年5月に0.5ポイント制採点は廃止となります。
以前から存在はしていたものの、判定の際に読み上げる事で多くの視聴者の目に触れた途端に批判が集まり、たったの半年で無くなってしまったのです(笑)

この時期の判定にはなぜかテンポイントマストシステムが適用されていない試合もあるため、この時期の試合を前例にして「優勢な方を必ず10点にするルールではなかった」と主張するコメントをネットで過去に見かけたことがあるんですが、K1史上で最も評判の悪かった時期の試合を前例に挙げる=その試合も怪しいと言ってるようなもんで、擁護が擁護になってなくてなんかな~と思ってしまった記憶があります😂😂





そして今回の本題である2008年のK1MAX決勝以降、K1の判定は再び現代のシステムと一致しないであろう判定が増えてしまいます。
優勢な方に必ず10点というルールが無くなった事、ダウン後の挽回で9-8などのルールが追加された事により、、


タツジvs山本優弥2の第2ラウンド→9-9
ジマーマンvsテイシェイラの2R→9-9
アーツVSジマーマンの1R→10-10、9-9、9-10
城戸vs龍二の1R→10-8、9-8、10-9
ハリVSジマーマンの2R→8-8(お互いダウン)

ってか、9-9なら10-10のままで良いだろと。
ダウンがあったラウンドでそのまま10-8、挽回を評価したのか9-8、挽回なのか全体の流れなのかフラッシュダウンなのか不明な10-9といったカオスな判定が誕生(K1究極形態)します(笑)

これが旧K1の時期によって傾向の違う判定に関する簡単なまとめです。


えー、今回で完結させるつもりでしたが、これ以上は肩が凝るので続きます。
俺が校長先生なら話をまとめられず生徒が熱中症で倒れちゃうね👴✋