先日、フロイド・メイウェザーや堀田祐美子がリングに上がった事もある日本一の格闘技団体RIZINにて、旧K1ワールドMAX王者のブアカーオが久々に来日。
そして元K1王者(新生K1)の安保瑠輝也と対戦しました。

今がピークといえる今年28歳の安保と昨日41歳になったブアカーオ。
巌流島で3年7か月ぶりに試合をしたアルバート・クラウス(42歳)、ブレイキングダウンで約15年ぶりにリングに上がったシリル・アビディ(47歳)に続き、旧K1オヤジ狩りシリーズの第三弾がこのブアカーオ(41歳)になってしまうのではないかと予想してました。

しかし結果としてブアカーオ優勢のドローだったらしく、終わってみれば昔のK-1の方がレベルが高かったという声がネット上で溢れています。
このあたり現在の中量級最強TOP10はONE、GLORYに集中していると思うので、昔より70キロのレベルが下がっているという事は無いけど、『K‐1』という団体に関しては旧の方がレベルが高いというのはしっかり証明されたんじゃないかなと思う。


で、今回の試合の影響なのか僕のブログでも過去に書いたページへのアクセスが急増。
そのページというのが・・

 


■ちょうど3年前に書いたモノ

サイトの管理ページでみると過去30日間で14位(ブログ内全ページの1.4%)、7日間で4位(ブログ内全ページの3.5%)までアクセスが増えている。
他にも旧K1のブアカーオ、魔裟斗絡みの判定に関するページへのアクセスがおそらく微増してます。普段そこまで細かく見ないから微増なのか常にこうなのかわからないけども


そんだけブアカーオ絡みでネットを検索してる人が増えたりしてるのかな~と思ったんですが、Twitterをみたら某選手がブアカーオ前蹴り&膝蹴り禁止説をツイートしていました😱😱


この格闘都市伝説ともいえるブアカーオの出現によるルール変更説。
旧K1時代から存在していたものですが、今回の試合に関するYouTube、ニュースサイトなどでも同じようなコメントをそこそこ見かけました。

んん~?と疑問に思った人が偶然辿り着いて考えるきっかけになれば良いと思うので、ここで再び旧K1ルールについてのまとめ的なものを書いておきたい。
なぜこの前蹴り禁止説が生まれたのか!?というところも考えてみましょう😎👍
 

 

  仮説 魔裟斗を圧倒したあの試合の影響




これはあの2004年のK1ワールドMAX決勝大会。
決勝戦で魔裟斗とブアカーオが対戦してブアカーオが圧倒。後にミスジャッジが公式に認められた怪しい判定によって延長戦へと突入し、そこでも魔裟斗は圧倒されて判定負け。
前年度王者である魔裟斗を圧倒して新王者になったのがブアカーオでした。

当時であればK1ヘビー級、ミドル級共に決勝大会というのが最も注目の集まる大会だったので、中にはそこしか見ていない人、そこしか覚えていない人など、すべての人が多くの大会をチェックしていたわけではありません。

最も注目の集まる試合でインパクトのある試合内容だったのが魔裟斗vsブアカーオ1。
その中でもブアカーオが前蹴りで魔裟斗を圧倒する場面が印象的だったので、これにより実際に行われた数多くの試合内容よりもブアカーオといえば前蹴りという記憶が多くの人にインプットされたんじゃないでしょうか🤔🤔


しかし、最もインパクトのある前蹴りをK1MAXファンが挙げるとしたら・・






翌2005年に行われた日本トーナメント決勝の小比類巻vs新田戦でしょう。
開始たった30秒でコヒの前蹴りが炸裂して新田は大の字!!

衝撃の前蹴りによるKO劇でした。
でも旧K1で前蹴りといえばブアカーオ!ブアカーオ!という声だらけなわけで、それだけネットの声というのはいい加減であるという見方もできると思う。
 

 

  なぜ魔裟斗を前蹴りで圧倒できたのか!?




これはトーナメント決勝であった事が非常に大きいと思います。

1日に3試合を行うワンデートーナメントであり、現代で例えるならアラゾフ、グレゴリアン、スーパーボン、ペトロシアン、オズカン、シッティチャイ、ベスタティなどが1日でぶつかり合うと言っていいかもしれない。

こうなると決勝を万全な状態で戦える可能性は低く、運良く早めにKOできたり、少しでも相性の良い相手とぶつかって消耗を抑えた方が決勝では有利になる可能性が高いですよね。
実際にこのK1ワールドMAXでの例を挙げてみると・・




■年度別の決勝戦
・2002年 クラウスvsガオラン 1R1分KO
・2003年 魔裟斗vsクラウス 2RKO
・2004年 ブアカーオvs魔裟斗 判定(圧倒)
・2005年 サワーvsブアカーオ 延長5R判定
・2006年 ブアカーオvsサワー 2RKO
・2007年 サワーvs魔裟斗 2RTKO


2008年からはシステムが変更。
このようにトーナメント決勝はKO負けが少ない選手でもKO決着になる可能性が高いほど消耗している事が多いんですよね。これもバッティングなどで消耗していた魔裟斗と、あっさり心が折れたコヒと戦ったブアカーオで消耗の度合いが違った事により、前蹴りがより効果的に見えた可能性があるんじゃないだろうか

ワンマッチでは拮抗した展開になる事が多かったトップ選手であっても決勝では内容が偏る事が多かった=消耗が影響している。
それでも何度も優勝した選手というのはやはり強い選手と言えるでしょう

それと2004年までは首相撲からの膝連発がOKだったので、前蹴り対策でひたすら距離を潰すと掴まれてしまうリスクも。
サワーに関しても2006年決勝は1回戦でカラコダにダウンを奪われて、準決勝は魔裟斗戦でした。魔裟斗もコヒ戦で消耗してサワー戦ではダウンを奪われて判定負け。
それらと対戦して消耗した状態で決勝へ上がったサワーはブアカーオのパンチで立て続けに倒されてKO負けしてしまいます

サワーはダウンを取られる事は多かったけど、KO負けってあんま無い印象がある。
MAX初期のクラウス戦、2006年のブアカーオ戦、そこから改めてWikiで確認してみると2018年のオズカン、2019年のヨーセン、2021年のグレゴリアン戦まで10年以上KO負けがないっぽい。百戦錬磨のサワーが全盛期でもポンポンと倒されるくらい当時のトーナメント決勝というのは消耗するモノであったと言っていいんじゃないでしょうか🙄🙄


なので魔裟斗を圧倒したブアカーオの前蹴りというのは、前蹴りが凄かっただけではなく、トーナメント決勝戦や改正前のルールが関係した可能性が高い。
なので別の試合で前蹴りがあまりインパクトを残さなかったとしても、それで禁止されたという説が出るのはちょっと滅茶苦茶苦ですね。実際にブアカーオは前蹴りを出しているから完全に禁止はされていないし、前蹴り連打を禁止された説もカラコダ戦なんかを見てみればわかるように、掴んだら注意されるルールでガードを固めて突進してくる選手に前蹴り連打なんかできないでしょ(笑)

これはまた魔裟斗との2戦目でブアカーオがパンチでダウンを奪われて負けた事により、なぜ以前は圧倒して前年度も王者だったブアカーオが負けるんだ!というアンチ魔裟斗の妄想が膨らんだ結果生まれたデマではないかと推測します。
僕は判定が公平であれば2003年のザンビディス戦、2008年の佐藤、キシェンコ戦は魔裟斗の負けだと思っているアンチ魔裟斗側の人間ですが、この前蹴り禁止説に関してはちょっと同意できない内容だと思っています。

もちろん実は前蹴り連打を控えるようにお願いされていた可能性もあるのかもしれませんが、ブアカーオ本人が魔裟斗2戦前のインタビューで魔裟斗は前蹴りを警戒してくるから以前のような内容にはならないという主旨の発言を雑誌でしていました。

 

  ブアカーオ出現でルール変わった説


K1ワールドMAXシリーズでは2005年2月から首相撲からの膝蹴りが1発までとルールが変更になっています。
しかし、K1ヘビー級では2002年12月の大会から同様のルールとなっており、これはブアカーオではなくてヘビー級のセーム・シュルトに対応したルール変更といった方がしっくり来るものなのであります🧐🧐

例えばアーツvsイグナショフ戦でも2003年の対戦では解説が『去年のルールでは首相撲からの膝は無制限だったけど今はルールが変わりました』と発言していて、前年のアーツvsイグナショフ戦とは状況が一緒ではないと説明しています。




セーム・シュルトはまさにチートといっていいくらいキック史上最強の選手。
旧K1で4度の優勝、K1崩壊後も2012年に現在も最強であるリコに勝利している

2002年にK1デビューしていきなり武蔵に勝ってアーネスト・ホーストともドロー。
前蹴りと膝を駆使していきなりホーストを苦しめ、シュルト本人は自分の勝ちだと思ったと当時発言しています。そのまま開幕戦にも出場して画像のとおりマイケル・マクドナルドからダウンを奪って判定勝ち。

これで本来なら決勝トーナメントへ進出するはずだったのですが、なぜかシュルトは欠場して決勝大会ではサップvsホーストの再戦が準々決勝となりました。
それがなければサップvsシュルトが実現していた事になります

この欠場は当時のファンからかなり疑われ、セームシュルトボーリング事件として都市伝説化しました。
マクドナルド戦では解説の石井館長がシュルトをかなり批判していた事、バウトレビューに残っている掲示板の過去ログでも噂通りの欠場かよという書き込みが幾つか残っていて、エンターテイメントとして考えれば正解でしたが、競技として見た場合は・・と疑われても仕方ない出来事でした。このあたりは誰かが完全な形で証言しないとハッキリしないところではありますが

そんな感じでシュルトが開幕戦突破→次の決勝から首相撲からの膝に制限が加わっています。
同時にボブ・サップが多用していた掴み、頭を押さえてからのパンチがルールでOKと明文化。この膝に関しての制限がMAXにも適応されたのが2005年2月であり、タイミングとしてはブアカーオ出現後ではありますが、ブアカーオのために出来たルールではありません。


シュルトさんの膝蹴りでギロチン状態

その後、シュルトは2003~2004年の武蔵×レミー時代明けの2005年から再びK1参戦。
2005、2006、2007、2009年と圧倒的な強さで何度も優勝を果たし、同時にソルトさん(塩)としてK1をつまらなくした戦犯としてファンから批判される存在にもなりました。

2008年は魔裟斗×佐藤、キシェンコもそうでしたが、ヘビー級でもアーツにシュルトをぶつけて負けさせ、決勝ではリザーバーにもいれず絶対にシュルトを優勝させないという、テレビ的なシナリオ通りに進めようとしてない?とファンが疑いたくなる出来事が続きましたね。




シュルトさんはデカすぎて両手で抱えなくても片手を添えるだけで頭に膝が届いてしまう選手でした。

こうして旧K1というのは膝や掴みに対する制限が年々厳しくなり、現在の新生K1へと繋がるボクシングキック化が進んでいったのであります👴👴👌


こうして振り返るとあの決勝戦のインパクトが強かったのが大きいのかもしれない。
2004年のブアカーオvs魔裟斗の大会は平均視聴率17.1%、瞬間最高22.8%という視聴率でした😎👍

次回は気が向いたら現在の選手と過去の選手どちらが強いのか、現在の選手を過去のシステムに当て嵌めたらどうなるのかなどを書きたい。