新聞のお悔やみ欄に知人の名前を見つけたときの
あのなんとも言えない気持ち
生きているものは死んでゆくのが当たり前だけれど
60過ぎた彼女の人生の幕が閉じるのはまだはやかった
と、勝手にそう思う
彼女は
自分にお金を使わない人だった
いつもデニムのシャツとジーパン
髪はひっつめていて
化粧っ気はなかった
地味だが綺麗な方で
彼女の笑顔は美しかった
いつも自分に感謝の気持ちを伝えてくれていた
自分は彼女の障害を持った息子と仲良くしていただけで
何もしていなかったのに
彼女はいつもありがとうと言ってくれていた
自分にお金を使わない彼女が
プレゼントをしてくれたマグカップには
「感謝の気持ちを伝えたい
ありがとう」
の言葉が書かれてあり
彼女の気持ちそのものだった

もうすっかりご無沙汰して
10年以上経った今
毎日なんとなく選んで使っている
これを見るたび彼女の事を思い出していたが
いつかまた会いたい人の一人だったが
お悔やみ欄で再会するとは
苦労されていたと思う
やっと楽になれたのかもしれない
でももう一度会いたかった
また逢える日まで
どうぞ安らかにお眠りください
ありがとうございます
今日も美味しいりんご様御一行
