ムシムシと蒸し暑い朝
摘出した右側の胸が夜中中痒くうとうとと夜を過ごした
なんだろうこの痒みは
感覚が戻って来ている証拠なのだろうか
ガタンゴトンの汽車に揺られ
札幌へ向かう
2015年に命の危険があると言われて
そして命を助けてもらって
でも色々あって今に至る
あれから8年
札幌の国立病院に一年に一度の定期検診だ
切符を買おうとしたら時間が早すぎて窓口がやっていない
慣れない券売機で買おうとしたら倍の金額を請求されてしまって
駅員さんに聞こうとしたら
その駅員さんは電話中
6時45分の発車時刻まであと5分
ちょっと困ったなと思っていたら
目の前に乗り物好きの天使が現れる
障害を持っている彼は乗り物が大好き
おはようの挨拶をして
『○○くん、S切符の買い方知ってる?なんかうまく買えなくて....高くなっちゃうんだよね.....』
と、聞いてみるも、わからない
わからないけれど
乗り物好きの天使は彼なりに一緒に考えてくれている
こういうとき、一緒に居てくれる人がいると心強い
心強いが、解決はしない
あと数分で発車時刻だ
出張のサラリーマン風の男性が
『どうしたの?』
と声をかけてくれる
さっき交差点で信号待ちをしていた時に横にいた男性だ
そのサラリーマン風の男性に事情を話すと
どれどれと券売機でSキップを探してくれる
旭川ー札幌5550円
『あった、ありました!ありがとうございます!』
そのサラリーマン風の男性はサッと居なくなり
乗り物好きの天使は
まだ心配そうに切符を買う自分の側に居てくれる
『○○くん、6時45分出発のJRに間に合うかな』
と切符を買いながら声をかけると
『よし確認するよ、今、6時42分』
と答えてくれる
『ありがとう、間に合うわ』
と言ったら乗り物好きな天使は安心した様子で
いつもの彼のお決まりの別れの挨拶の
『じゃあ、Pinocoさん、また、逢いましょう』
と言って笑顔で手を振ってくれる
自分は切符を買うのに必死だったので、
『○○くん、ありがとう、またね』
と、券売機の操作しながらバイバイと手を振ってお別れをした
ちょっと心が温かくなる朝だった
札幌から琴似までのキップは乗ってから購入した
琴似から札幌までの帰りのキップはあとで良い
帰りの時間がハッキリしたら
札幌ー旭川の指定席も取りたいからだ
旭川駅は指定席を取ると駐車場代が一日無料になる
指定席の料金と駐車場の料金が大体同じなので
指定席を取った方が楽なのだ

大好きな汽車に揺られ
心地良い時間が過ぎてゆく
穏やかな一日を