10時5分前
いつものクリニックに到着
10時10分
胃カメラの検査室へ
胃の中を見やすいようにするものと
コップ一杯の乳白色の飲み物を渡される
喉が渇いているのでこの水分が嬉しい
グイッと飲んでしまったが後味はムムムという感じ
検査ベッドに仰向けに寝る様に指示される
麻酔を3回口に含むという説明があり
まず一回目の麻酔を口の中にペッと入れられる
仰向けに寝た状態で飲み込まないように集中する
看護師が手際良く準備を進めている
大きなモニターが右側に
小さなモニターが左側にある
その画面に
自分のデータが入力されていくのが見える
ジプリ音楽が流れていてありがたい
余計な事を考えると飲み込んでしまいそうなので音楽に集中する
アラームが鳴り、一回目の麻酔の時間が終わり
飲み込むように指示される
2回目の麻酔も3分後飲み込む様に言われるが
ちょっと飲み込みにくい
これが終わったタイミングで血圧測定をする
100─70位
3回目3分後にまた飲み込む様に言われるが
非常に飲みにくい
千と千尋の音楽流れてきた時に
最後の麻酔が終わった
10時38分
腰の低いいつもの医師がものものしく入って来た
看護師に指示され体位を真横にし
医師は小さな声で『始めます』といい
真剣な顔で胃カメラの管を最終チェックしている
この医師は物腰が柔らかいが顔は濃い、○○レンジャーのような子供たちのヒーローみたいな顔をしている
整っているが黙っていたら怖い顔だ
下から見上げる形で真剣な表情の医師の方に目を向けると
サイコチックな映像に恐怖は10倍に膨らんでしまった
見てはいけないモノを見てしまったと思い
モニター画面に目線を向け直した
マウスピースを付けられ
検査が始まった
うどんを飲み込むつもりになろうと自分に言い聞かせた
今口の中に入ってくるのは
うどんだ
黒いけれどこれはうどん
うどん
これは黒いうどん
ちょっと長いけれど
うどん
余裕があったらモニターを見ててくださいねと言われていたので
見る気満々だった
7年前の術前検査の時はオエオエが酷く
身体中の全ての穴から水分が出てそれはもう大変だった
見る余裕はどこにもなかった
今回もオエオエを覚悟していたのだが
自分の身体の中をゆっくり見ることが出来た
胃の中に
いくつかのポリープがあったのと
食道に小さな炎症があって
細かく見るとキリがないが
それを除いては
とても美しい内臓だった
自分でもうっとりするくらい綺麗な内臓で
特に小腸は美し過ぎた
その辺の美術作品なんかに負けない美しさだった
今後自分をアピールする事があれば
この美しい内臓をアピールしたい
検査中
数回オエッとなったが
うどん、うどん、これはうどんと自分に言い聞かせて乗り切った
レンジャー先生のうどんの入れ方も
看護師のフォローも
素晴らし過ぎて
さらに自分の美しい内臓に感動した
7年前の全ての穴から水が出るという
恐ろしい体験が払拭された
ポリープの数は増えていたが
1ミリ位のモノで悪い顔つきではなかった
自分の中でこのレンジャー先生の格が上がったのは間違いない
こんなに腰が低くて目立たない感じの控え目なレンジャー先生の
胃カメラの腕は天下一品だ
そして
この美しい内臓を作っている自分の細胞たちにありがとうと感謝の気持ちを伝えた