限りなく透明に近いブルー | トリンリのおもちゃ日記

唐突ですが、日本の芥川賞受賞小説の中で最も有名で最も売れている小説とは何でしょうかはてなマーク


それは、当時24才の村上龍氏が1976年に上梓した"限りなく透明に近いブルー"です。



1976年6月に"群像新人文学賞"を受賞し、同年7月5日には第75回"芥川賞"を受賞した有名な純文学作品なので、読まれた方も多いことでしょう。


私は、海外小説も含めたありとあらゆる小説の中で最も好きな小説が、この"限りなく透明に近いブルー"です。



内容はドラッグやsexを中心としたセンセーショナルな光景の羅列ですが、そこに隠された主人公"リュウ"の限りないやさしさを私は感じ取ることができます。


物語の転換点となる"黒い鳥"についてはここでは触れませんが、主人公リュウがいつも抱かれ、守られてきた、景色に隠された"白く柔らかな曲線の起伏、女の腕のような起伏"に、私は限りない共感を感じます。


この白い物体に気づくことがリュウの優しさを如実に物語っており、読む心が暖かくなりました。


そして、夜明け前の空を映したガラスの破片の色である"限りなく透明に近いブルーだ"というリュウの見立てに繋がってゆく光景の、実に美しいこと。


"黒い鳥"はさておいて、私はこの光景を見られたことこそが、"限りなく透明に近いブルー"を読んだ望外の喜びだと思っておりますグラサン