さて今回からいよいよディスカウントの各要素、領域・タイプ・レベルのお話にはいります。
ディスカウント理論がよくわからないという方はだいたいこの、領域・タイプ・レベルのところで躓いているような気がします。さらにそのままケン・メロー&エリックシグモントの考案したディスカウントマトリックス
に突入するので余計に訳がわからなくなるのではないかと思うのです。かくいう私も初めはさっぱりわかりませんでしたのでゆっくりすすめたいと思います。
【1】ディスカウントの起きる3つの領域
①自分自身をディスカウントする領域 「私にはとてもそんなことできません!」
②他者をディスカウントする領域 「君には絶対できっこないよ!」
③状況をディスカウントする領域 「この環境で私にどうしろって!」
まずこのディスカウントの領域についてしっかり把握することがディスカウントを見抜くスタートになります。
しかしこれがなかなか大変なのであります…
実際の会話の中では自分・他者・状況のディスカウントが刻々と入れ替わっていきますので、さっきまでは他者のディスカウントだったものが次には状況のディスカウントになっていたりします。しかし日常の会話ではこれはごく当たり前のことなのでこの点を踏まえて「今は自分・他者・状況のどのディスカウントなのか」話を整理しながら聞く必要があります。
私自身の場合は自分・他者・状況というテーブルを3つ目の前に並べて会話を聞きながらテーブルの上に会話を積んでいくイメージです。
以下は、防衛機制の「合理化」でよく引き合いに出されるイソップ寓話「すっぱい葡萄(Sour Grapes)」です。このものがたりから3つの領域のディスカウントを見ていきましょう。
腹を空かせたキツネが山道を歩いていると、おいしそうなブドウが枝から垂れているところに通りかかりました。
キツネはどうにかしてブドウを取ろうと、背伸びをしても、飛び跳ねてみても、あと少しでど~しても取ることができません。
しばらくして、じーっとブドウを眺めていたきつねが言いました。
「そうさ、僕はそんなにお腹が減っているわけではないし、あんなブドウどうせまだすっぱくて食べられやしないさ。」そして、そのままどこかへ行ってしまいました。
まずキツネは、本当はお腹がすいているのに、「そんなにお腹が減っているわけでもない」といって自分自身をディスカウントしています。
又、口にしてもいないのに「あんなブドウどうせまだすっぱくて食べられやしない」というところでは、葡萄は「物」になりますが自分以外の特定の物ということで考えれば他者のディスカウントと言うように考えることも可能ですし、おいしそうなブドウが枝から垂れている場面と考えれば状況についてディスカウントとしたと言えるかもしれません。
このように文章や会話からどの部分を切り取り、読み取っていくかというところもディスカウントを「難解なもの」のひとつにしているのかもしれません。ちなみに英語圏で「Sour Grapes」は「負け惜しみ」を意味する熟語だそうです。まさに負け惜しみを言っている時は3つの領域のどれかでディスカウントがおこっていますよね。「ちょっと体調が悪かっただけ…」「あいつがいなければ私が1位だったのに…」「雨さえ降っていなければ…」
次回は、ディスカウントの「タイプ」のお話に入ります。