危機一髪? | そう思うのは、酔っているからさ。

そう思うのは、酔っているからさ。

つねに本質をハアクしていたいと、切に願うぶろぐ



天気がいいんでベランダに出て、

昼間からアルコール片手に煙草を吸っていると、

スズメバチが一匹飛んできた。


ちょっと身構えたオレをヨソに

灰皿とグラスを置いてあるエアコンの室外機の周辺を

重点的に飛び回ったり、身体を当てたりしている。


排気カバーのプラスチックの縦縞の網目が、

蜂の巣の形状に似ているなのかな?と想像しながら観察していた。

するとヤツはその網目をくぐって中に入っていく。

(おや?)

椅子から腰を折って、縦縞の奥を角度を変えながら注視してみる。

ヤツは排気ファンのプロペラの一枚にまたがって、

羽ばたきで身を揺らしながらも、その先に口から何かを出してこすり付けているのが見えた。


さらに観察しているとその白い分泌ブツはじょじょに先端を伸ばし

長くなっていく。一心不乱、とても熱心な仕事ぶりにも見える。

(んんん?)

その白い小さな塔が乾いて黒ずみ始めるのを見て取ると、

オレは気づいた。


(コイツ巣を作り始めていやがる!)


暖房も冷房も不要なココチヨイ季節なのだが、

一旦部屋に戻ってエアコンのリモコンをONにする。

再びベランダに出ると、室外機のファンがゆっくり回り始めた。

逃げずにそこにしがみついたままのヤツごと回転は増していき、

やがては黄色い残像の円をアクセントにしたその高速フル回転をオレはしばらく眺めていた。

(なんで逃げないの?)

(蜂って、目が回るのかな?)

とか思いながら5分ほど回してやった。


殺しちゃったかな?と5%ほど後悔しつつ、

フラフラになっているところが見たい82.6%で

OFFにしたプロペラがやがて止まった。

でもヤツはタフで最初はややふらふらしていたが、

またブンピツを始めたいのか、ぶんぶん飛び回り始めて

制作途中の力作を探しているようにも見える。


(ふむ)

つまみに焼いていた焼き鳥の串の先で突いて、追い出す。

格子から身を捩って飛び出したヤツは、青い空に放物線を描きながら見えなくなった。


エアコンの室外機の中なんて、

滅多にとゆーか、絶対に覗くことなんてない。

偶然にヤツの侵入を目撃しなければ、

1カ月とか2カ月先かは知らんが、
あの巨大なパイナップルみたいな巣がそこに建築されていたと思うと、

ゾッとする。


孵化したヤツの子供たちに襲われ、

顔やカラダを刺されまくったオレが

『またも蜂の巣の被害です』

てな地方の小さなニュースになるのだけは、

幸運にも偶然にも防げたのかな?


「オレに限って」、「ワタシに限って」の

のほほんにも、実は厄災は案外すぐそばまで来ていて

偶然に助かっているのかも?

なんかそんなコトさえ考えさせられたデキゴトだったかな。