飲酒部アドベントカレンダー 12/20
前置き
SNSは元々Twitterにいましたが、色々と事情がありMisskeyに移行してまして
飲酒部という所でウイスキーの話ばかりさせてもらってるわけですが
アドベントカレンダー企画がありましたので参加させてもらいました。
始まりはただのミーハー
私がウイスキーにハマったキッカケって本当に大した事じゃなくて
「ポータブルオーディオはもうやりきったから、次なんか新しいのやりたいなぁ」
と思っていた所に、ジャパニーズウイスキーの人気を聞いて「ちょっと探してみようかな」と考えたのがキッカケだったりします。
マジで邪道もいいとこというか、言ってみればウイスキーブームに寄ってきただけの
界隈的には厄介な余所者だったわけです。
そんなヤツがいつの間にか少々やりすぎてしまうに至ったウイスキーの魅力を少し語れたら良いかなと思います。
ウイスキーってなんぞや?
ウイスキーは元々は透明なアルコールと大差ない飲み物で、15世紀以前にアルコールの蒸留方法が確立されました。
元々はジンのようにドライフルーツやスパイスで味付けされていたそうです。
イングランドにスコットランドが併合される形でグレートブリテンが誕生し、18世紀に入るとウイスキーに対して強烈な重税が課せられるようになりました。
当時は麦の品種改良も進んでおらず、寒冷で土地が痩せているハイランド(スコットランドの上の方)では、ウイスキーを生産して売る事は超重要な経済活動の一つ。
そこに外から来て合併させられたイングランド人に、払えるはずもない額の重税を掛けられたら、やることはもう一つしかない。
そうだね、密造だね。
そうやって密造された酒は徴税官と農民の熾烈な攻防戦の中で、当時そこらにゴロゴロ転がっていたシェリー樽に詰めて隠され、樽熟成が始まったと言われています。
ちなみにワインの樽熟成はもっと前からあり、ブランデーの熟成も船旅の中で発見されてはいたらしく、その知識がウイスキーに輸入されたんじゃない?って説もあるようです。
現代のウイスキー
昔の話はさておき、今のウイスキーってどうなん?って思われるかもしれません。
現代(日本)でのウイスキーは、ビールやワイン、日本酒や焼酎に比べると
趣味性の高いアルコール
に分類されているような気がします。
そのまま飲むには度数が高く、熟成に時間がかかるのもあって比較的高価。
ハイボールでしか飲んだことないって人が相当多いと思います。
ウイスキー30mlぽっちに、わざわざ数千円も出してチビチビ飲むのって、なんで?
って、普通にお酒を飲むのが好きな人は思うかもしれません。
ウイスキーの趣味性
ウイスキーは何故趣味性を帯びるのか。
それは「時間」「希少性」「経験」に、他の何か趣味では容易に満たせないロマンがあるからだと思ってます。
・ウイスキーの「ロマン」とは
「時間」
ウイスキーは先に述べたように、熟成させて作ります。つまり、容易に量産することが出来ません。
スコットランドではウイスキーは3年以上樽で熟成させたものしか、ウイスキーとは認められません。
一般的には、12年熟成が蒸留所のフラッグシップとなっている事が多いです。
どうあがいても12年以上の時間を掛けなければ、12年物のウイスキーは出来ない。
希少な限定品だろうと、珍しい樽で熟成しようと、豪華なボトルであろうと、そのウイスキーが熟成された時間だけは、絶対に人の手が及ばないんですよね。
ただし、ウイスキーは樽に入れておけば無限に熟成できるものではありません。
エンジェルズシェアで樽内の量が減っていくというのもありますし、熟成させすぎると原酒が樽の風味を強く受け過ぎたり、アルコールが揮発しすぎて40%以上を保てない事があります。また、長期熟成では途中で樽自体が壊れてしまう事すらあります。
さらに、ウイスキーは樽内でのみ熟成し、ボトル内では熟成が進みません。
ワインやその他の醸造酒では、ボトル内でも有機的な変化があり瓶内熟成が進みますが、蒸留酒であるウイスキーは、要素としては純粋にアルコールと水分、エステル等の香味成分のみです。
その為、瓶内では非常に変化が少なく、保管状態が良ければ50年、100年風味が保つと言われています。
実際、1970年代のオールドボトルでも普通に美味しく飲めます。
つまり、自分が生まれてすらいない全く知らない時代に、遠いスコットランドで、誰かが蒸留した酒が今自分の手元で注がれている事もあるわけです。
ウイスキーが樽の中で経た「年齢」と、それが作られ飲まれるに至る「時代」。
いったい自分の手元にあるこの1杯が、どれだけ遠い時から来たものなのか。
それを感じながら飲む事も、ウイスキーを楽しむ方法の一つだと思っています。
「希少性」
ウイスキーは、一般的には飲まれて消費されていくものです。
どんなに美味しいボトルでも、飲めば無くなってしまいます。
更に美味しければ美味しい程、世間でどんどん飲まれて無くなっていきます。
つまり、今手元にあるボトルも40年後にはどこにも無くなっているかもしれない。
昔は世界的にウイスキーが全く売れなかった「冬の時代」等があったこともあり、どんどんピークを迎える長期熟成原酒は、シングルモルトとして安売りされる以外にも安いブレンデッドウイスキーにもとりあえず入れられているような状態でした。
なので、昔のブレンデッドウイスキーは現行のものよりも複雑で美味しいものがある、というような噂があります。
実際、明らかに値段よりもずっと豪華な味や香りがするものもいくつか飲んだ事があります。
30年前には数千円で投げ売られていたような何でも無いボトルを、現代の我々は数万円掛けてオークションで競り合っているなんてことも、結構あるわけです。
ある意味、時間のロマンと被っている部分もありますね。
世間で良く聞く名前の「シングルモルトウイスキー」は「一つの蒸留所の、複数の樽をブレンドしたモルト」です。
「ブレンドしてるなら、ブレンデッドウイスキーと何が違うの?」と思われるかもしれませんが、ブレンデッドウイスキーと言うのは「複数の蒸留所の、色んな樽をブレンドしたウイスキー」です。
色んな蒸留所から樽を購入している会社が、それらをブレンドして作っているものになります。
つまりオフィシャルシングルモルトとは、各蒸留所が「ウチの蒸留所の味はこれです」という基準になるように、ブレンダーが責任をもって、自分の蒸留所の樽のみをブレンドして同じ味を再現し続けているものになります。
それとは別に、「シングルカスク」という「一つの樽のみを瓶詰めしたモルト」というものが存在します。
同じ蒸留所の樽であっても、使っている樽がシェリーなのかバーボンなのか、あるいはもっと変わった樽なのか。
何年に蒸留された原酒なのか、どんな環境で熟成された樽なのか…と、樽によっては全く異なる個性を持った原酒になるのがウイスキーの面白い所。
それらを「一つの樽のみ」でボトル詰めするため、原理としては「同じボトルは存在しない」というのが、シングルカスクウイスキーです。
樽のサイズ、熟成年数によって違いますが、一般的には一つの樽からは100~300本程度のウイスキーしか作れません。
これもまた希少価値、あの時買っておけばよかった…というものの一つですね。
また、既に蒸留所が閉鎖して無くなってしまっている場合、もう二度とそのボトルが販売されることはない、という状況が起こります。
そうなると、飲まれて減っていくボトルに対して供給がなくなれば、希少価値が生まれる。
更にそういうボトル程、美化されて噂に尾ひれが付いてしまう事もあり…
実際は大して評価が良くなかったからこそ閉鎖になってしまった蒸留所でも、閉鎖した途端に評価が上がっていく、なんて事も、実際あるように思います。
「経験」
自分がウイスキーを初めてストレートで飲んだ時、マジで味わうどころじゃなかったのを覚えています。
アルコールのキツさで、口の中がピリピリして味なんか全然わかりません。
ただ、段々とウイスキーの美味しさが分かるようになってくると、自分の好きな要素や苦手な要素、好きな蒸溜所、好きな地域、好きなボトラーズが少しずつ経験として分かるようになってきます。
ウイスキーに強い酒屋で色んなボトルを眺めたり、ネットとにらめっこして価格の相場を覚えていくのもとても楽しい経験でしたし、ただ強いお酒が飲めるようになった、という以上の経験だったように思います。
他にも味や香りの表現ができるようになったり、BARでマスターに貴重な話を聞いたり、ウイスキーで知り合った方と情報交換したり、ウイスキーイベントに参加して凄い数の試飲をしたり。
ウイスキーは本当に奥深いが故に、情報も、楽しみ方も無限にありますし、
ウイスキーをただのお酒という以上に、趣味とする同好の士との交流もまた、濃いものがあると思います。
まぁこの辺はウイスキーに限らず、一つのものを深堀りする事で得られる副次的なものかもしれないですけどね。
おわりに
日本は、世界で見てもかなり多種多様なウイスキーが手に入りやすい国。
また、ウイスキーに対する熱量も非常に高い国だと思います。
それ故の問題点や、偽ジャパニーズウイスキーの蔓延なんて事も起きてしまっていますが、正しい知識と適切な選択で、皆様が健全にウイスキーが楽しめるように祈ってます。
また、聞きたい事とかあればいつでも聞いて下さい。
答えられる範囲ではありますが、可能な限りは答えたいと思います。





