2016年3月10日(木)

下北沢ガーデンで、仲井戸麗市×新谷祥子。

一部は新谷さんのソロ。二部はチャボのソロ。途中で新谷さんも入ってセッション。再びチャボのソロ。アンコールでまたセッション。という流れ。

なんといっても共演パートが素晴らしく。RCの「うぐいす」もよかったが、アルバム『CHABO』収録曲が新谷さんのマリンバと予想以上のはまり具合を見せていた。わけても「ま、いずれにせよ」の新谷さん演奏が圧巻。いやー、凄まじかった。千手観音ですか?!っていうくらい。鳥肌たちましたわ。

チャボは冗談で「もう麗蘭もCHABO BANDも解散する。これからは新谷さんと“麗新“(れいあら)やる!」と言ってたけど、「ま、いずれにせよ」の新谷さんのあの演奏を前にしたら、思わずそう言いたくなるのもわかる…っていうね。そのくらい凄味のある本気セッションでありました。

かっこよかったなぁ、新谷さん。もちろんチャボも。

そうそう、チャボはジョージ・マーティン追悼でビートルズの曲やったりもしてたっけ。あと、「明日は3月11日だね」とも。


2016年3月6日(日)

EXシアター六本木で、石橋凌。

今回のツアーにはいつものバンドメンバーに加え、ヴァイオリンで太田恵資さんが初参加。梅津さん人脈ですね。ジャズから民族音楽まで広範にカバーされるこの方の音の存在感は存外に大きく、ARB曲もソロ曲もさらに膨らみが増していた。最高のヴォーカリストと最高の演奏家たちによる、とても豊かな2時間40分。大満足。

ライブ評を書きました。近々、音楽ウェブサイトのmusicshelfに、凌さんのインタビューと共にアップされます。乞うご期待。


2016年3月5日(土)

新宿シネマカリテで『アーサー・フォーゲル~ショービズ界の帝王~』。

マドンナ、U2、レディー・ガガらが絶大な信頼を寄せるカリスマ現役プロモーターにして、「LIVE NATION」会長、アーサー・フォーゲル。氏を通して、音楽業界の過去から現在への変化と、その内幕を描いたドキュメンタリーだ。

ストーンズのスティール・ホイールズ・ツアーからポリスの再結成ツアーまで、このひとが手掛けたビッグ・ツアーのうち、けっこう多くのものを自分も観ていたことがわかって、今更ながらに「おお、そうだったのかぁ!」と。もっと言えば、国内ビッグアーティストのいろんなライブの形も、このひとが手掛けたものをだいぶ参考にしていたことに改めて気づき、そう考えると知らずに僕(たち)はこのひとの手の上で転がされていた…といったような感覚もあって、なんだか不思議な気分になりましたねぇ。いやー、すごい方なのね。

「ショービズ界の帝王」とサブタイトルがついてるが、ひととなり的にはおよそ帝王らしくなく、謙虚で真摯で音楽愛に溢れていらっしゃる(少なくともこの作品からはそう伝わってくる)。クレバーなビジネスマンであるのはもちろんだけど、その前に何より音楽への情熱が溢れ、かつ「ひとが好き」。ビッグ・アーティストたちに信頼されている理由がよくわかる。オラオラ感とか皆無だもんな。

ガガも言ってたけど、売れる音楽を作れみたいなことは一切言わず、ただただキミらしさに溢れたものを見たい聴きたいといった言い方でアーティストのポテンシャルを最大限に引きだすフォーゲルさん。会社人的に見たら、つまり理想の上司だよね。音楽に限らずどんな仕事であっても、こういうひとが上にいたら、やる気も出るでしょう。

ナップスターやらiTunesやらが出てきてCDが売れなくなって云々などわかりきったつもりでいたことも、こうしてその渦中であれこれ考えたり対処したりしてたひとを通して説明されることで改めて納得できたし、「体験」(=ライブ)の価値についても改めて思わされていちいち「うんうん、そうだよなぁ」と。

ライブを観るのが大好きで、ある意味それが生き甲斐くらいに思ってる自分としては、記憶に留めておきたくなるフォーゲルさんの“いい言葉”がいっぱいありましたね。で、ライブを観るということを若い頃からずっとやってきてよかった!とさえも思ったり。

また、ストーンズもU2もマドンナもボウイもガガもやっぱり観といてよかったし、ポリス再結成の東京ドームも3万のチケット買って観に行ってよかったなと、そんなことも思ったり。一生に一度の、その一席ならではの体験。そのことの重みを改めて感じたり。

あ、あと、ラッシュのフィーチャーのされ方に、フォーゲルさんの情のようなものを思ったりもw

ミュージックビジネス、ライブビジネスに関わるひとなら、マストで観とくべき。3月18日まで2週間限定モーニング&レイトショーです。


2016年3月4日(金)

新宿シネマカリテで、『サウルの息子』。

『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』がこの日までだと知って観に行ったら、まさかの完売(前日の時点で売れ切れてたらしい。因みにアンコール上映が決まったそうなので、そっちで観ます)。そのまま帰るのもなんなので、同劇場で一番近い時間の『サウルの息子』を観た。

えーっと。なんと言ったらいいか。あまりに凄まじくて、言葉にするのが難しい。なんという圧迫感、閉塞感。見せないことの怖さ。あぁ、きつい。苦しい。こんな映画体験、初めてです。こりゃ、消化するのにしばらく時間がかかりそう。(でも観てよかった)



2016年3月1日(火)

新宿ピットインで、梅津和時プチ大仕事2016春「再会! 梅津くんと木村くんと三宅くん」。

ここ数年は毎年何日か観に行っている梅津さんのプチ大仕事だが、今年はこの1公演に絞ってチケット購入。木村充揮さんと三宅伸治さんを迎えてのトリオ公演だ。

自由奔放に踏み出したり休んだりの木村さんと、木村さんの行くテンポに合わせて引き立てながら味わい深い音を聴かせる梅津さんと三宅さん。つまり、どうしたって主役は木村さんになる。何せ圧倒的なスター性と声のでかさを持っている故。改めて思ったね。国宝ですよ、あの方は。

「天王寺」も聴けたし、憂歌団の代表曲…「10$の恋」も「シカゴバウンド」も、何より「ボクサー」も聴けて、その時点でかなりの満足度。MOJO CLUBの「びんぼうワルツ」も3人でやればそれ相応の味わいが出る。またDANGER時代に梅津さんと清志郎が共作した未発表曲「愛」(僕の近くにいた女性はこれを聴いているとき、ずっとハンカチで目をおさえていた)や、RCの「いいことばかりはありゃしない」など清志郎関連曲も数曲。木村さんの声で聴く「いいことばかり~」は新鮮だった。

いつものことながら酔うほどに自由度の増していく木村さん。ギターであるシンプルなフレーズを延々繰り返し、「1時間これやっとったらオモロイやろなー」と笑いながら、まだやり続ける。合わせつつも入りを待つ梅津さんは半ば呆れながら「ただいま3分10秒経過」などと木村さんに伝えるが、それでも木村さんは同じフレーズを弾き続け……いつまでやっとんねんと客も呆れ始めた頃合いで不意に「シカゴに来て~」と「シカゴバウンド」を歌い始めたときには鳥肌が立った。じらしにじらしての歌い出しのあの威力。木村さんの凄味を最も感じる瞬間だ。

かと思えば終盤、三宅さんの代表曲とも言える「いいことがあるといいね」で、三宅さんが♪いい~ことが~、あるといいね~♪と歌ってるところに、絶妙のタイミングで「あるよ」とかぶせてきたりも。そのあったかさに、僕はジ~ン(涙)

それにしても毎年思うが、梅津さんはサックスももちろんだけどクラリネットがたまらなくいいなぁ。心に沁みわたる。なんであんなに沁みるんだろか。

2016年2月29日(月)

新木場スタジオコーストで、ボン・イヴェール。

いいライブをするんだろなとは思ってたが、想像の遥か上をいった。盤で聴く何倍も力強くてエモーショナル。癒し? とんでもない。本編ラストの弾き語りなんてニール・ヤングなみに荒ぶる魂って感じだったぞ。

ソウルフルな歌ももちろんだが、ああして観るとジャスティン・バーノンはギター弾きとしても素晴らしい。あと、思ってたよりフランクな男だった。という意味でも、好感度ア~ップ!

いや、ホント、いいもん観ました。大感動。次は苗場のグリーンで観たいもんだ(ってか、僕には見えてましたけどね、苗場のあの木々が)。


2016年2月28日(日)

日本橋三井ホールで、宇崎竜童70thバースデーライブ。

20分の休憩含めてたっぷり3時間半。70歳にして!

ダウンタウンブギウギバンドが大好きで、バンド活動期(特にファイティングブギウギバンド時代)にはライブも何度も観ていた僕だが、宇崎さんのライブを観るのは相当久しぶり。単独公演となると数十年ぶりになる。

何年か前に宇崎さんは聴力が低下し、難聴になったと聞いた。恐らくそのためだろう、多くの曲においてピッチが不安定で、正直、聴き苦しさを感じる場面がかなりあった。うまく合う曲もあるのだが、特にロック調の曲になると音がとれなくなるようで、大好きだった「TATOOあり」の歌唱などは残念としか言えないものだった。

DTBWB時代の曲…「沖縄ベイブルース」や「恋のかけら」が聴けたのは嬉しかったが、それもピッチの部分においていまひとつの出来。だが、アンコールで歌われた名曲「身も心も」の歌唱は素晴らしかった。あれは沁みた。

初日は奥田民生、僕が観に行った2日目は鈴木雅之がゲスト出演。マーチンはどこで出てくるのかと楽しみにしていたら、なんと「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の演奏に合わせて登場。宇崎さんと共にその曲と、続いて「スモーキンブギ」を歌い、そのあとソロで「アダムな夜」(マーチンが初めて歌った宇崎・阿木コンビの提供曲)と山口百恵の「さよならの向こう側」を歌った。

マーチンはDTBWBに多大なる影響を受けているそうで、70年代のシャナナとDTBWBの共演ライブは一番前の席で観たそうな。また、シャネルズでデビューする前に大滝詠一に気に入られて「禁煙音頭」(スモーキンブギのパロディ)をレコーディングした際、大滝さんがつけた名前が「竜ケ崎宇童」。そのくらいファンであり結びつきもあった故、今夜の共演は心底嬉しいと話していた。

そんなマーチンの歌唱力と、MCを含むステージ運びのうまさは、さすがと言えるもの。こう言っちゃなんだが、主役を食ってしまっていた。

ダブルアンコールではこのライブのプロデュースを務めた阿木燿子さんもステージに。マーチンも再び呼ばれ、3人で「ロックンロール・ウィドウ」を。

因みにバンドは全員30代の腕利きたちで、それはもう見事な演奏力。「身も心も」などはオリジナルのアレンジを忠実に再現し、泣きのギターソロもまさに原曲通りだった。ベースは昨年、傑作ソロアルバムを出した須長和広さん。ご活躍ですねー。

70になった宇崎さんだが、まだまだステージに立ち続けるのだという強い意志が感じられるライブではあった。なので、少しでも耳の調子をいいほうにもっていって、次に観ることができるときには万全のコンディションで臨んでくれることを、ファンのひとりとして願っている。


2016年2月27日(土)

テアトル新宿で、坂本順治監督『ジョーのあした 辰吉𠀋一郎との20年 』。
東京初日。坂本監督の登壇あり。

試合のシーンはほんの数分。ほぼ全編が辰吉のインタビューで構成されている。つまり動きのあるシーンはほとんどなく、言葉を聞かせる映画である。が、20年間のインタビューをまとめたものである故、時間の動きと心境の動きが当然そこにある。それで見せる。それだけで見せる。その意味で大胆な作りのドキュメンタリーだ。

インタビューする坂本監督とそれに答える辰吉は「坂ピー」「たっちゃん」と呼び合う仲で、その信頼関係あってこその辰吉の言葉であるわけだが、もちろんぬるい慣れ合いなどはどこにもない。

ただただ話を聞いている状態の続く映画であり、つまり話が面白くなければ成立しないわけだが、辰吉の話は滅法面白い。試合を「作品」と呼ぶひとだけあって、ある意味アーティスティック。非常にクレバーなひとであることがよくわかる。基本、あの通り強気のひとだが、弱気も見せる。が、冷静さは決して失わない。

辰吉は引退をしない。網膜剥離になり、拳を骨折し、年齢的にも日本でのライセンスを失効し、回りからも監督からも「なぜ引退しないのか」と何度となく聞かれるが、現役であることに拘り続ける。「なんで引退せなあかんの」と強く言い放っていたある時期までの辰吉も、しかし44歳時のインタビューでは急に呂律が回らなくなって、見た目的にも著しく変化し、見ていて驚かされる。

やめないからカッコイイ!  これが男の生き方だ! ……などと安易に盛り上がることなどできない。見方によってカッコイイとも思えるが、痛々しくも見える。ずっと足掻いている。足掻き続けて生きている。が、とにかくこれが辰吉の生き様なんである。だから、なんというか……とても考えさせられる。

容易く共感などできないし、当たり前だけど僕とは何もかも違う人間……と思いきや、父親と母親に対する複雑な(というかある意味ストレートな)思いを語る部分で自分と重なるところがあって胸の奥が痛くなった(但し辰吉の父親への思いは僕にとって母親に対する思いに近く、辰吉の母親に対する思いは僕にとって父親に対する思いに近いのだが)。

あと、本筋とは別に、これは坂本監督側を見ていてのことだが。同じ対象に何年にもわたってインタビューし続けることの面白味とか醍醐味とかその仕方について、インタビューというものが大きな部分を占める仕事をしている自分的には参考にも刺激にもなったし、考えさせられるものもあった。


2016年2月25日(木)

六本木・音楽実験室 新世界で、Bim Bam Boom。

プロデューサーのs-kenさんにお誘いいただき、女性5人からなるファンク~ロッキンソウル・バンド、Bim Bam Boomのライブを六本木・音楽実験室 新世界で観てきた。

「Bim Bam Boom Sessions」と題されたシリーズの今回がvol.9で、9回目にして記念すべき初の完全ワンマン。ずっと気にはなっていたものの、僕がライブを観るのは今回が初めてだ。いやー、凄かった。ツボに入りまくり。ちょっと衝撃受けちゃったな。

メンバーは、奥田民生やtricotやハナレグミをサポートするドラムの山口美代子さんを中心に、BAND Aのギター・岡愛子さん、the dayのメンバーでもあるサックスの前田サラさん、キーボードの田中歩さん、ベースのマリーヌさん。基本的にインストバンドなんだが(合いの手的な歌が入ることもあり)、ドラムはリズムというよりバンドを牽引する役目で中心的存在。で、ある意味ヴォーカリストの担うような役割をサックスが引き受ける。キーボードはブッカーTみたいにソウルなフレーズ&音色を聴かせ、ベースはどっしり、ギターはときにガレージ系のバンドみたいに歪んだ音をグガギャギャッと。

そんなユニークな構成の5人は、MG'sをやったり、PigBagをやったり、ミーターズをメドレーでやったり、もちろん強度ありのオリジナルもやったり。なんつうかメンフィスとニューオリンズをぐるっと回って、70年代終わりのNYのニューウェイブシーンにも立ち寄って、東京的なブレンド加減でぶっぱなす、みたいな感じ。

見てて気持ちいいのは、何より彼女たち自身がその時その一瞬を存分に楽しんでいるのがダイレクトに伝わるところで、曲展開のなかで誰かがアドリブかませば、それに応じて全員が自由にそこから演奏を発展させていったりするそのあり方。なんかの曲が終わったときには「まさかそういうふうに展開させるとは」みたいなこと言って笑い合ったりもしてたしな。

因みにサックスの前田サラさんは1年前くらいに加入したばかりだそうだが、彼女が入ったことでグっとバンドの強度が高まったのであろうことは、初見の僕でも感じられたところ。やはりある種のスター性とも言える華がありますね、彼女は。

それにしても、いまどき女性ロックバンドはそう珍しくもなくなったけど、こんなにファンキーでソウルな音楽を熱く野性的に(しかもしなやかに)奏でる女性バンドはほかにないし、なんたってそれぞれの腕前がハンパないので、合わさったグルーヴもとんでもない。愉快痛快。約2時間があっという間に感じられた。

Bim Bam Boomは6月に発売となる初アルバムのレコーディングも終えたばかりで、そこからの曲も披露されたんだが、前半戦の終わりにぶっ放した表題曲(「O.E.C. Tiger roll」)がまたかっこいいのなんの。

で、僕は思ったね。Bim Bam Boomはフジで観たい。アヴァロンあたりもよさそうだけど、夜中の苗場食堂とかでやったらチョー盛り上がること間違いなしだと。ホント、大人のフジロッカーはみんな大好きな音だと思う。みんなぶっとぶと思う。出てほしいなぁ、今年のフジに。切に。
2016年2月20日(日)

クラブチッタ川崎で、チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン「ツアー2016 “女たちの120分”」。

いろいろ書きたいけどツアー初日なので我慢して、帰ってした感想ツイートをまとめておきまする。

「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンatクラブチッタ川崎。“女たちの120分”と題しながら、あれこれ詰め込みまくりで120分越え。ももさんの多重人格振りが最早狂人レベル(←褒め言葉です)。憑依歌の加減に眩暈を覚えるほど。あの小さなカラダの中に何人の別人がいるの? 的な。」

「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンatクラブチッタ川崎。総じてカンカンバルカンのバンド感がぐわっと前に出たライブ。特にやり慣れたお馴染み曲においてのグルーヴがとてつもなく強力なものになっていて、たじろいだ。新宿文化センターだとどのように音がうねるのか、それも楽しみ。」

「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンatクラブチッタ川崎。ネタバラシは避けたいがこれだけ言わせてくれ。1曲、超絶凄まじい初演曲があったのだ。それはもう日本でこんな曲やれるのはカンカンバルカンのほかにないと断言できるもので、オレ大興奮。今ツアー最大の聴きどころ。すごいよ。」