
2016年7月5日(火)
渋谷wwwで、七尾旅人『兵士A』の特別試写会。
森達也監督作『FAKE』を観たあと、カフェでボ~っとしながら頭と気持ちを休め、で、しばらくしてから渋谷wwwへ。七尾旅人の映像作品『兵士A』の特別試写会。
『兵士A』は、七尾旅人が昨年11月19日に渋谷wwwで行なった特殊ワンマンのタイトルで、(旅人が)「断髪し、1人目の戦死自衛官に扮して描き出す、およそ100年間に及ぶ物語」。MC一切なし。約3時間、ノンストップ。終盤で梅津和時さんが登場する以外は七尾旅人ただひとり。『911FANTASIA』収録の2曲とふたつのカヴァー以外は、新曲及びこの公演のための書き下ろし曲だ。
圧倒された。七尾旅人の命がけの表現がそこにあった。これまで何度も彼のライブを観てきたけど、ここまで凄まじい表現者だったのかと驚いた。僕はわかっていなかった。こんなことできるひと、ほかにいない。こんなテーマをこんなふうに形にできる才能と、そもそもその覚悟を持った若い音楽表現者を、僕はほかに知らない。
以下、帰宅してからの感想ツイートです。
「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。打ちのめされた。あまりにも圧倒的な表現の強度、その独自性。これまで何度も七尾旅人のライブを観てきたけど、例えばそれらを全部足してひとつにしたものよりも、これひとつの濃度のほうが高いんじゃないかとすら思えた。そのくらい壮絶な3時間。」
「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。ここでの七尾は戦争の被害者にも加害者にもなり、敵にも味方にも憑依して、恐れと混乱と狂気と無力感を表わし、生や死の意味を投げつけてた。銃を構え、咳込み、のたうち回り、涙ぐみ…。全曲が一つに繋がったそれは、彼の命がけの表現に思えた。」
「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。張りつめていた。カラダが動くような曲はひとつもなく、静かに揺らいでるような曲が多くを占めるのに、一瞬たりとも目と耳を離すことができず、気持ちはグルグル動いた。ラスト、燃え尽きる旅人と共に、梅津さんの大きさに感動した。」
「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。それにしても、あれだ。映像でこんなにも震え、立てなくなるほど打ちのめされたのだから、このライブをナマで観たひとたちはどれほどだったことか。一生忘れられないライブになったという人もさぞかし多かっただろうな。」
音楽と演劇の境界はそこになく、旅人はひとりの兵士に憑依してそこにいた。けれども同時にそれは旅人の歌で、旅人の声で、旅人の叫びでもあった。途中、トイレに立つひとはひとりもいなかった。後半、すすり泣く人が何人か。終わって少しの間のあと、大きな拍手が起きた。その拍手はとても長く続いた。
正直に言うと、家でこのDVDを一気に見通すのはなかなかたいへんだと思う。なんたって3時間、ひとりの歌と演奏のみ。なんとなくの“ながら見”なんかじゃ意味がない。途中で飲み物取りにいったりトイレ行ったりとかして集中切らすのもあまりよくない。だから渋谷wwwの大画面&迫力ある音響で通して観ることができて本当によかった(因みにこれ、wwwさんの企画で、来場者はみな抽選で当たった人たち。もちろん僕も)。これからBru-rayかDVDを買って家で見ようという方は、どうか部屋を暗くして、最初から最後まで動かず集中して見通していただければと思う。
しかし、『FAKE』観て、『兵士A』観て、さすがにこの日は疲れた。命がけの表現に立ち向かうのは、それはそれで消耗もする。見てるだけでこうなのだから、森さんや旅人はどれほどのものか。特に身を削ってるとしか思えない旅人、どうか早死にとかしないでね。
「兵士A」トレーラー