2016年7月8日(金)

渋谷HUMAXシネマで、『二重生活』。

(*ネタバレに近い記述も含みますのでご注意を!)

後半、話が予期せぬ展開を見せる。それはもう前半とは別物と言っていいほどに。そこにノレて面白いと思えるかどうかでハッキリ評価が分かれる映画だ。後半の展開が嫌いだという人も多いようだし、確かに違和感もあるっちゃあるのだが、僕はそれを楽しめた。

門脇麦が本当に本当に魅力的。彼女が演じる大学院生の白石珠は妙な色気も漂わせながらもやっぱり子供(お嬢ちゃん)で、支離滅裂で宙ぶらりん。それがたまらなくリアル。その生々しさから目が離せなくて、見ている僕もどぎまぎした。ただ、そういう彼女がラブホで独白を始める場面はいただけない。あれは嘘っぽくて白けたな。理由説明なんて必要ないし、聞きたくもない。あそこでイラっとなった長谷川博己の気持ちはまあわかるというもの。

門脇麦と並び、菅田将暉がまたキレイだ。バカっぽかったり狂ってたりの菅田くんもいいが、こういう静かな役柄もよいなと。彼、池松くんより演技に幅があるかもね。

因みにタイトルの『二重生活』は誰にかかっているのかだが……。ほお、そうですかぁっていう。ポスターに騙されちゃいけません。

あ、あと、管理人のおばちゃんが烏丸せつこだったとエンドロールのクレジットで初めてわかってビックリした。『四季 奈津子』ではそれこそ彼女も白石珠のように大人と少女の間で揺れる(確か)女子大生だったわけでね。大好きでした、烏丸せつこ。



2016年7月8日(金)

渋谷ユーロスペースのビルの2階で、『ソング・オブ・ラホール』試写。

8/13から公開される『ソング・オブ・ラホール』を試写で観てきた。パキスタンの都市ラホールで結成されたサッチャル・ジャズ・アンサンブルのおっさんたちが、ウィントン・マルサリス率いるビッグバンドとNYで演奏することになって、さてどうなるか?! といったドキュメンタリー。

イスラーム原理主義の影響で音楽文化が衰退し、伝統音楽家たちはみな転職を余儀なくされ……という現在のパキスタンの社会的及び文化的背景からきっちり教えてくれる作品で、真面目な作品だなぁという印象もあるけど、ラホールの音楽家のおっさんたちがなんともいい味出しててニッコリさせられちゃう。ロードムービーチックなシーンがとりわけいい感じ。で、ハイライトとなる本番の演奏場面は音楽が好きな人なら誰もが引き込まれずにはいられませんね。

それにしてもサッチャル・ジャズの不思議な魅力、クセになりそう。

あと「スウィングしなけりゃ“あと”がない!」ってキャッチコピー、うまいね。まさにそんな映画。


2006年7月6日(水)

新宿ピカデリーで、『クリーピー 偽りの隣人』。

意外と世間の評価は低くないようだが、話の展開のさせ方が唐突というか雑というか、理由を描かずにいつのまにか“そうなってる”という運び方に違和感覚えまくり。終わり方のアレも、どうしてこれだけ周到に物事を運んできた男がそこだけこんなに間抜けなのか理解できず。こういっちゃなんだが、馬鹿馬鹿しいとすら思えた。

世界観というか全体に流れるムードはいいんだが、話の持ってき方がダメ。監督が黒沢清ということで観に行ったんだが、この人、こんな作風だったけか?   久々に黒沢清監督作品を観たが、以前よく観てた頃の氏のタッチとはずいぶん違うなという印象(但し、これぞ黒沢清の真骨頂といったふうな評も見かけた。感じ方はそれぞれだ)。

西島、竹内、香川、東出といった人気俳優陣の演技もいつも通りで、とりたてて新味もなし。そんななか『ソロモンの偽証』でデビューした藤野涼子だけが特別な存在感を放っていて強く印象に残った。


2016年7月5日(火)

渋谷wwwで、七尾旅人『兵士A』の特別試写会。

森達也監督作『FAKE』を観たあと、カフェでボ~っとしながら頭と気持ちを休め、で、しばらくしてから渋谷wwwへ。七尾旅人の映像作品『兵士A』の特別試写会。

『兵士A』は、七尾旅人が昨年11月19日に渋谷wwwで行なった特殊ワンマンのタイトルで、(旅人が)「断髪し、1人目の戦死自衛官に扮して描き出す、およそ100年間に及ぶ物語」。
MC一切なし。約3時間、ノンストップ。終盤で梅津和時さんが登場する以外は七尾旅人ただひとり。『911FANTASIA』収録の2曲とふたつのカヴァー以外は、新曲及びこの公演のための書き下ろし曲だ。

圧倒された。七尾旅人の命がけの表現がそこにあった。これまで何度も彼のライブを観てきたけど、ここまで凄まじい表現者だったのかと驚いた。僕はわかっていなかった。こんなことできるひと、ほかにいない。こんなテーマをこんなふうに形にできる才能と、そもそもその覚悟を持った若い音楽表現者を、僕はほかに知らない。

以下、帰宅してからの感想ツイートです。

「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。打ちのめされた。あまりにも圧倒的な表現の強度、その独自性。これまで何度も七尾旅人のライブを観てきたけど、例えばそれらを全部足してひとつにしたものよりも、これひとつの濃度のほうが高いんじゃないかとすら思えた。そのくらい壮絶な3時間。」

「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。ここでの七尾は戦争の被害者にも加害者にもなり、敵にも味方にも憑依して、恐れと混乱と狂気と無力感を表わし、生や死の意味を投げつけてた。銃を構え、咳込み、のたうち回り、涙ぐみ…。全曲が一つに繋がったそれは、彼の命がけの表現に思えた。」

「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。張りつめていた。カラダが動くような曲はひとつもなく、静かに揺らいでるような曲が多くを占めるのに、一瞬たりとも目と耳を離すことができず、気持ちはグルグル動いた。ラスト、燃え尽きる旅人と共に、梅津さんの大きさに感動した。」

「七尾旅人「兵士A」特別試写会 at 渋谷www。それにしても、あれだ。映像でこんなにも震え、立てなくなるほど打ちのめされたのだから、このライブをナマで観たひとたちはどれほどだったことか。一生忘れられないライブになったという人もさぞかし多かっただろうな。」

音楽と演劇の境界はそこになく、旅人はひとりの兵士に憑依してそこにいた。けれども同時にそれは旅人の歌で、旅人の声で、旅人の叫びでもあった。途中、トイレに立つひとはひとりもいなかった。後半、すすり泣く人が何人か。終わって少しの間のあと、大きな拍手が起きた。その拍手はとても長く続いた。

正直に言うと、家でこのDVDを一気に見通すのはなかなかたいへんだと思う。なんたって3時間、ひとりの歌と演奏のみ。なんとなくの“ながら見”なんかじゃ意味がない。途中で飲み物取りにいったりトイレ行ったりとかして集中切らすのもあまりよくない。だから渋谷wwwの大画面&迫力ある音響で通して観ることができて本当によかった(因みにこれ、wwwさんの企画で、来場者はみな抽選で当たった人たち。もちろん僕も)。これからBru-rayかDVDを買って家で見ようという方は、どうか部屋を暗くして、最初から最後まで動かず集中して見通していただければと思う。

しかし、『FAKE』観て、『兵士A』観て、さすがにこの日は疲れた。命がけの表現に立ち向かうのは、それはそれで消耗もする。見てるだけでこうなのだから、森さんや旅人はどれほどのものか。特に身を削ってるとしか思えない旅人、どうか早死にとかしないでね。


「兵士A」トレーラー


2016年7月5日(火)

渋谷ユーロスペースで、『FAKE』。

凄い。めちゃめちゃ面白い。なんて素晴らしい後味(の悪さ)。しばらく残り続けるモヤモヤ感。これだから森達也(作品)はやめられない。噂にたがわぬ大傑作でした。

何が正義で何が悪で。何が正直さで何が騙しで。「キレイ」と「醜悪」の境目はどこにあって。信じることが大切なのか疑うことがいいのか。自尊心ってのはどのくらいが適量なのか。未だ答えが出ないからそんなことばっか考えてグラグラし続けながら生きてる僕には、興奮してしまうくらいに“嬉しい”映画だったな。

サブタイトルをつけるなら……『猫だけが知っている』。そんな感じでしょうかね。


2016年7月4日(月)

渋谷クラブクアトロで、爆音『マーク・ボラン&T.レックス/ボーン・トゥ・ブギー』。

リンゴ・スターが監督した映画『ボーン・トゥ・ブギー』と、ライブフィルム『1972年 ウェンブリー マチネ・ショウ』の2本立て。

凄かった。まじで爆音。すんごい迫力。でもって、何しろマーク・ボランがかっこいいのなんの。歌が最高、ギターも最高、なんたってロックスターとして最高。そんなことはとっくにわかっちゃいたけど、本物のライブ体験に近い状態で当時の映像観ると、改めてそれを実感せずにはいられない。

エルトン・ジョンやリンゴ・スターとのスタジオ・セッションもいいけど、ハイライトはなんといっても72年エンパイア・プール・ウェンブリーのライブの本編ラスト…(たぶん)10分以上に及んだ「ゲット・イット・オン」で、その凄まじいグルーヴたるや!。で、それを見ながら、頭脳警察ってだいぶ彼らの影響受けてたんだなぁと再認識したりも。

因みに僕はギリギリに行ったので立ち見だったんだが、じっとしてなんかいられなかったので、かえってよかった。ああ、あんなライブをフジで観ることができたら、どんだけ最高か。なんて、思わず夢想しちまいましたよ。やっぱブギだよな。ブギが一番!


2016年7月3日(日)

お台場・日本科学未来館で、「Björk Digital―音楽のVR・18日間の実験」。

展示は、VR映像体験部屋と、『バイオフィリア』と同時に生まれたアプリの体験部屋と、7.1chにリマスターされたこれまでのMVを観る部屋の3つに分かれていて、目玉はなんといってもVR映像体験コーナー。

VRコンテンツは3曲で、ひとつめはアイスランドの海岸で撮影された「ストーンミルカー」。自分の目の前にビョークが来て歌ったり、横に来て歌ったり、後ろに来て歌ったり。で、ビョークに触られそうな気がしたり。三つめは「ノットゲット」で、ビョークに頭踏まれそうな気がしたり。すんごい迫力。でも個人的に一番強烈なインパクトだったのは二つめの「マウス・マントラ」で、それ、ビョークの口の中に入る疑似体験ができるというもの(入りたいか?って話なんですけどね)。このMVはそもそもビョークが「声帯ポリープの除去手術で一時的に声を失った時の思いを描いたもの」だそうで、撮ったのはジェシー・カンダさん。そう、アルカの一連の作品の映像を手掛けてる奇才ですね。もう、いかにもジェシー・カンダらしく執拗に粘膜を撮ってて、ぐっちゃあ・ぐっにゃあとした感じがたまらない。苦手なひとは苦手でしょうなぁ。この前のtaicoclubのアルカのステージにおける映像表現もまさにそういうものだったけど、ジェシー・カンダのその表現の根っこには何があるんだろう。どうしてあのひとはああいう表現をしないではいられないんだろう。それが最近気になって気になって。話してみたいもんです、ジェシー・カンダさん。

ジェシー・カンダが監督した「マウス・マントラ」MV

話がカンダさんのほうにいっちゃったけど、このVRを筆頭に、ビョークの表現そのものと志に対して感動しました、僕。ばかみたいな言い方だけど、これが進化ってものなんだなぁと。

で、見終えた帰りに、AV業界におけるVRの需要とか、進化の具合ってのはいまどんなことになってるのかなぁとふと思いまして。何気に検索したら、こんな記事が。ふむふむ。なるほど。面白いねぇ。

「アダルトVRでアダルトCD-ROMの仇は討てるのか」


2016年7月2日(土)

浅草・雷5656会館で、チャラン・ポ・ランタン「唄とアコーディオンの姉妹劇場」追加公演。

昭和の匂いが染み付いた会場にて、ふたりだけでのびのび3時間近く。楽しい曲からダークな曲へ(あるいはその逆も)、瞬間的に空気を変えて引き込むあたりのスキルがさらにアップしてた。

特に僕がグッときたのは、オープニングのナレーションと、「私の宇宙」「シャボン」「好き同士」「月」「空中ブランコ乗りのマリー」「あの子のジンタ」。それらはとりわけ濃密な感があってね。あと、僕は初めて聴いた曲だったけど、クレヨンしんちゃんのEDテーマで「月明りふんわり落ちてくる夜」ってのもよかった。

そういや3年くらい前はまだ休憩なしでワンマンやることに対して、途中でトイレ行きたくなったらどうしようと不安になる、ってなこと言ってた小春ちゃんだったが。今じゃ休憩なしで3時間近くぶっ通し、しかもふたりとも集中切れる場面が一瞬たりともないんだから、そりゃあ成長感じずにいられません。

11月からはカンカンバルカンと共に過去最長の全国ツアーをスタートさせ、来年1月21日には堂々、中野サンプラザで公演するとのこと。おおっ!!



2016年7月1日(金)

下北沢club251で、菊 ft,鮎川誠 シーナ&ロケッツ。

6月9日、菊さんの69歳の誕生日に行なわれた渋谷クアトロ公演に続いて、ロックンロールミューズツアーのファイナルとなる下北沢club251公演も観に行った。

いやぁ、とんでもなく凄かった。猥雑で。毒々しくて。オレはいまとてつもなくヤバいものを目撃してるんだと実感し、鳥肌立ちまくった約3時間半。すげえ、本当にすげえよ、菊さんは。これが真のロックなんだよなぁ。若い連中には真似できないものだよなぁ。と、思ったね。

ツアー初日のクアトロ公演のレポートはこちらにちゃんと書きました。
          ↓
6月9日・渋谷クラブクアトロ公演、レポ。


2016年6月28日(火)

渋谷eggmanで、Anly。

業界向けのコンベンションライブが半年前に同場所であったが、一般客に向けての東京での単独ライブはこれが初。既にしっかりファンがついてるようで、会場満杯。

弾き語りで5曲、バンドで8曲。伸びやかな歌と、ずっと見守っていきたいってな親心にも似た気持ちを観る者(←僕)に持たせる真っ直ぐさ。この先いかにそれをちゃんと残したまま個性を出していけるか、ですね。

ある方面で数日前まで話題になってた曲…「天国への階段」(勝訴してよかった!)もバンドでカヴァー。あれを歌えるのはたいしたもの。

伸び伸びスクスク、大きくなぁれ。