2017年5月7日(日)

 

大阪・日本橋のユニバースで、ザ・たこさんの無限大記念日5。

 

5回目となる「無限大記念日」は、複数バンド出演のイベントではなく、堂々ザ・たこさんのワンマンショー。発表されたときには「そうきたかぁ」と唸ったが、結果的にこのタイミングのこの回をワンマンにしたのは大正解だったんじゃないかと、終わってみてそう思う。

 

「前売りが売れない」「フタをあけてみないとわからない」ことが最早お馴染みになった感のある無限大記念日。今回もいつものように無限大ローリング作戦(=メンバーたちがあちこちの呑み屋やらに出向いてポスターを貼ってもらったり)を決行するもしばらくは前売りの動きは鈍かったようだが、しかし直前になってチケットぴあやらe-プラスやらでの分がソールドアウト!   当日券は出るのかと慌てる人も少なくなかったようだ。(すごいやん!)

 

会場は映画にもなったぐらいなのでその筋の人たちには名の知れた味園「ユニバース」。もともとキャバレーとして使用されていたところで、内装は今もほぼそのまんま。僕は初めて行ったのだが、なるほど天井からの吊るされものや後方の接客用ソファーなどからキャバレーとして営業してた様子が想像できた。

 

13時半に開場となって20分ほどすると、無限大記念日では毎回MCと歌で大活躍のあうんさん・すうじぃが登場。同イベントの1回目から去年までを振り返る歌を披露したのだが、これがよかった! ああ、そやったわぁ、1回目は田中星児さんが出て、みんなでビューティフルサンデー歌ったわぁ、とか、2回目はミス花子が出て河内のオッサンの唄、歌ったわぁ、とか、いろんな場面が甦ってきたりも。

 

で、ほぼ14時きっかりにザ・たこさんの3人が登場して開演。いつものようにMCキチュウの煽り、からの安藤登場。どう出てくるかと思ってたら、炭酸ガスをフロアに向けて発射し、さらにはキチュウくんにも(笑)。そして終盤の盛り上がりのトドメに持ってくることも多かった「あんたはギビトゥミ」がこの日の(歌あり曲の)オープナーということで、いきなりグワっと引き込まれた。最高だ。

 

何がいいって、まずメンバーの後ろ一面の電飾が赤青緑と忙しく変化していくこと。ブレードランナー的な近未来感と言えなくもないけど、でもどこかこう、昭和の時代に夢見てた未来感と言いましょうか。決してイマドキのエレトクロな未来感ではなくてね。その「昭和的な未来感」あるユニバースの電飾がザ・たこさんの世界観に思いのほかハマっていて、なんだかやけに4人がかっこよく見えたのだ。

 

それと音響。音圧。なんか一昔前のマイアミベースなみに低音部が強調されてて、とりわけオカウチくんのベースがブインブイン響いてきた。会場の特性もあるのだろうけど、打ち上げで音響担当の方に訊いたら「頭グラグラさせたろ思って」みたいに言ってたので、それは狙いでもあったようだ。

 

で、そのビカビカ変わる電飾と腰にくる太い音圧というふたつの要素がばっちり合わさって、これまで何度も観ているザ・たこさんのライブがやけに新鮮に感じられたところがあったのだ。

 

また、安藤さんの声の出力も申し分なし。そうしたあれこれの印象を「あんたはギビトゥミ」1曲でぶわっと受け、僕は「やっぱり来てよかった」と早くも思っていたのだった。

 

ここで、この日のセトリを(安藤さんのツイートより)。

ネギ畑〜ラブアタック〜ロクシマ〜ギビトゥミ〜テーマ〜稲妻〜ダニエルさん〜ヤンタン〜バラ色〜イサホイ〜楊夫人〜ヤンタン〜肩腰背〜いい女(カバー)〜上沼〜ヤンタン〜お豆P〜グッとくる〜人生〜カッコイイ〜女風呂(マントショー)〜鯖PT2◆延長戦:ヤンタン〜初期のRC〜⇒⇒サヨナラ〜テーマ ※生聞115分!

 

ギビトゥミ、テーマに続いて、わりと久々に「稲妻」こと「ジ・オールドマン・アップ・ザ・ロード」が聴けたのは個人的にかなり気持ちがあがった。この曲を知らない人が多かったのか、観客の反応はいまひとつだったが、ブルースブラザーズ直系のイントロからしてやはり相当かっこいい。低音部の強調された音響もこの曲のよさを際立たせた。

 

そして名曲シリーズは、まず「ダニエルさんはペンキ塗り」。ここから「バラ色の世界」「イサホイ=シティ」「楊夫人の憂鬱」と歌ものが続いた。長尺ライブにおいては歌もので何をやるかも楽しみのひとつだが、この前の新宿紅布でも聴けた「イサホイ=シティ」はやはり名曲だなと改めて感じたり。

 

このあと「肩腰、背中」がきて、ここから怒涛のファンクコーナーへと突入するかと思いきや、それに続いたのがスロー曲で、安藤さんが珍しくブルースハープを。こ、この曲は、もしかして……。そう、なんとウルフルズの「いい女」!   初披露のカヴァーである。

 

この日最大のサプライズがこれだったと言っていいだろう。実際、驚いた人は多かったようで、僕も「おおっ、この曲をたこさんが!」と吃驚した。ライブが終ってからも、会う人会う人がこの曲をカヴァーしたことの驚きを口にした。「なんであれをカヴァーしたんですかね?」「内本さん、訊いといてくださいよ」と言われたりもした。ツイートを見ると「ジーンときた」「感動した」「意外だったが、たこさん色が出てた」といった感想もあったが、一方で「さめた」という辛辣な意見もあった。賛否分かれたというほどではないが、戸惑った人がいたことも事実だ。では戸惑った人がどうして戸惑ったのかといえば、それは曲自体がどうということよりも、ウルフルズというバンドのあり方に対しての複雑な思いからに違いなく。こういう場で書くのもアレだが、まあ、たこさんを好きになるような人なら大抵、あの頃の…つまりアルバムで言うなら1stと2ndのウルフルズは好きだったけど、3rd以降は…という人が多いわけでね。打ち上げでもそんな話にはなりましたよ。でもまあ、結局「いい女」が名曲であることは間違いないわけで、そこに異論を唱える人はいないわけで。僕も「意外だったし、確かにちょっと胸がざわっともしたけど、でもサム・クックなどR&Bに対するルーツに対する敬意は(トータスも安藤さんも)ある意味で一緒なわけだし、何よりいい曲であることは間違いないんだから、うん、聴けてよかった!」という思い。

 

で、この件に対しての安藤さんのツイートがこれ。

 

「「なんでアレ演ったん?」と数名から。ウルフルズの『いい女』は名曲!豪速球のソウルバラード!でも、俺が唄うのは何んか違うというか、恥ずかしいというか…。今回俺がカバー曲を演るというのはバンド内で決まってたんで思いきって。で、スタジオで初めて合わせた時、俺は鳥肌立ちました。・名曲!」

 

要するにそういうことで、つまり去年のMAXヴォルテイジで吉永さんがシュガーベイブの「ダウンタウン」を歌って、オカウチくんがキャロルの「ルイジアンナ」を歌って、山口さんがジョニー・ウィンターの「R&Rフーチークー」を歌ったのと同じ意味でのウルフルズ「いい女」だったと。…っていうかね。安藤さんは、それこそこれは恥ずかしくて言わないだろうけど、完全にこの場を借りての春子さんへの気持ちを歌いたかったってことでしょ。その証拠に「だけど、ひとつだけ言いたいことは」って歌詞を歌ったあとに、「あんたはギビトゥミ」言うてましたからね。愛ですよ、愛。そんなのを聴けてよかったと僕は思ってるし、なんなら渋谷クアトロでもう一回だけ歌ってほしいと願ったりもしてますけどね。

 

「いい女」の話が長くなったが、そこから「お豆ポンポンポン」(マイクコードさばきのお姉さんが実にいいタイミングで出てきて、チョンチョンチョンのめにあって爆笑)、さらに名曲「グッとくる」へ続けるという硬軟混ぜこぜの攻め方で引き込んだところで、意外に早くも「我が人生、最良の日」。こういう特別なライブでは締め括りにもってくることの多いこの曲を、しかしこの日は締めにもってこず、そのあと「カッコイイから大丈夫」へと繋げたところに、“これが今のオレたちだ!”という誇りのようなものが感じられて、僕はとっても気持ちが昂った。「我が人生~」以上に「カッコイイから大丈夫」がグッときたのだ。そしてこの曲はそういう成分を多分に含んだ曲だということも再確認。その意味では「我が人生~」と同じで、つまり確かな肯定感がそこにあるのだ。バカボンのパパじゃないけど、「これでいいのだ」ってこと。そんなわけで、この「カッコイイから大丈夫」が個人的にはこの日のハイライト。感動しちった。

 

で、アンコールでは山口さんの歌う「初期のRC~」に続いて、これまた久々に「サヨナラ生活」が聴けたのも嬉しかったところ。

 

そんなこんなの生聞き115分。約2時間。3時間半以上に及ぶ長尺「タコサンアワー」に比べたらそりゃ短いが、しかしその2時間に“たこのうま味”がギュッと凝縮されたライブだったと僕は思う。猪木も馬場も愛の讃歌もなく、そういやナイスミドルもケンタッキーもなかったが、それを言い出したらキリがないし、安藤さん曰く「MAXヴォルテイジでやった曲とはかぶらないように」という意図もあったようだ。

 

3時間半くらいタップリ聴けるのもそりゃ嬉しいが、2時間で歌ものとファンク曲、新旧とりまぜ凝縮させてやるというのは、濃さを表す意味でも核となるところがどこにあるかを伝える意味でも一番いいのかもなと、今回観てそう思ったりした。それにワンマンである故、本当にザ・たこさんが大好きな人たち(とその家族)があちこちから集まっていて、その意味での空気の濃さも確かにあった。つまり、集客だけでなく、内容的にも大成功の、本当にいいライブだったのだ。行ってよかった!!

 

さて、来年は結成25周年のアニバーサリーイヤー。しかも山口さんが50になる年。無限大記念日6は、果たしてどんなものになるのやら。期待しないわけにはいきませんて。

 

 

 

 

2017年5月5日(金・祝)

 

インストアライブをふたつ観たあと、夕方からヒューマントラストシネマ渋谷で『スウィート17モンスター』。

 

おっさんの僕でも17歳の女の子ネイディーンのいろんなことに対する嫌悪感やら反抗心、茶化したくなる感、疎外感、自己嫌悪感は、よぉくわかる。10代の自分、ある意味あんなだったもんな(そしてそこから30数年経っても未だ何%かのそれが残っている)。…ってなこと思ったり。

 

お話はまあよくある思春期のそれで、どうってことないんだけど。でもヘイリー・スタインフェルドの言動も動きも太さも服装もなんかリアルで、ただただかわいくて仕方なかった。彼女だけでなく家族の成長も同時に描いているあたりも好印象。

2017年5月5日(金・祝)

 

新宿のタワレコでウソツキを観たあと、渋谷に動いてHMV&BOOKSで山﨑彩音さん。

 

売り場のちょっとしたスペースであっても歌への入り込み方はライブハウスのときと何も変わらず、故に彼女が歌い始めた途端、空気が濃くなるのを感じたり。

 

新曲がとてもよかった。風が抜けてく感じ。でありながら言葉は刺さる(以前の曲よりも感情を表す言葉が具体性を増していて、彼女のソングライトが『キキ』の次段階に来ていることがわかった)。ああいう曲がひとつあるだけで全体の雰囲気もいい具合に変わるね。

 

(会場の写真撮り忘れた…)

 

2017年5月5日(金・祝)

 

昼からインストアライブをハシゴ。まず新宿タワレコでウソツキ。

 

インストアなのでギターはアコースティックだったが、その響きがとてもよく、原曲はエレクトロ的なイントロが印象的だった「惑星TOKYO」の、アコギによる始まり方も遜色なし。ラスト「本当のこと」の竹田くんの、思いを込めた歌いっぷりがエモくてグッときた。次回のワンマンがとても楽しみ。

 

2017年5月4日(木・祝)

 

赤坂で「志の輔らくご」を観たあと、渋谷アップリンクで『イノセント15』。

 

昔よく観たATG映画を今に更新してるような雰囲気があったかな。賛否分かれたであろう終わり方もそんな感じ(僕は最後の5分だけがやや説明的に思えたし、なくてよかったんじゃないかとも思った。そこだけが自分的にはちと惜しい)。

 

15歳を演じた主役の男女二人がとてもいい。とりわけ小川紗良さんの“どこにでもいそうだけどどこにもいなさそうな”存在感! お話の中の成長が実際のそれと重なって感じられるようだった。注目すべき女優さん(現在20歳)。自身の監督作もあるそうな。観てみたい。

 

2017年5月4日(木・祝)

 

赤坂ACTシアターで「志の輔らくご」。

 

第1部 大忠臣蔵~仮名手本忠臣蔵のすべて

第2部 落語 中村仲蔵

 

落語を評するボキャブラリーを持ってないので阿保みたいな感想しか書けないが、これが名人芸というやつなんだなと。間の取り方やちょっとした仕草であそこまで会場の空気を支配するとは。2階で観てても(聴いてても)あんなに引き込まれるんだから、1階の前のほうだったらどれほどだったか。

 

2017年5月2日(火)

 

『ムーンライト』を観たあと、銀ブラを経て、日比谷みゆき座で『バーニング・オーシャン』。

 

爆発してからの映像はド迫力で、そこからさすがに引き込まれたが、前半でもうちょっとひとりひとりのキャラや心理描写を丁寧に描いてくれたら更に入り込めたのに、という残念感はあり。タワーリングインフェルノやポセイドンアドベンチャーに感動して育った人間としては、そこがどうしてもね。まあ事実であるところを重視した結果ではあるだろうけど。

 

2017年5月2日(火)

 

日比谷シャンテシネマで、ようやく『ムーンライト』。

 

もう語り尽されてると思うので今更自分が改めて言うまでもないけど、圧倒的なまでの色彩の拘りも音楽も全登場人物の演技も全てが完璧に素晴らしい歴史的な傑作ですね。観ながらずっと“自分のなかにいるシャローン”を感じて心がザワザワしてた。(さらっと書くけど)けっこうないじめられっ子だった自分は、我慢して黙って抑えて抑えて、その結果あるときああいう行動に出てしまうのが痛いほどわかる。

 

扱われる問題は重くともタッチがいい意味で軽やかなのもよかったですね。カエターノの曲の使われ方にもやられたし。今のところ今年のベスト1。

 

2017年5月1日(月)

 

Bunkamuraザ・ミュージアムで『ソール・ライター展』を観たあと、渋谷アップリンクで『まるでいつもの夜みたいに~高田渡 東京ラストライブ~』。

 

人は死ぬ前にそのことを予感させる歌い方などはしない。表題通りそれは「まるでいつもの夜みたい」なライブで、だからそこに渡さんは生きていて、生きた歌がいつものようにそこにあった。そのことにグッときた。

 

中川イサトさんが渡さんを語るなかで、伝えたいと思って歌うのではなく、ただそこに歌があるというのがすごいといったような話をされていて腑に落ちた。今まで僕は“伝えたい気持ちのない歌”はダメだと思ってた。でもそうじゃない。高田渡さんは「伝えたい」なんて気持ちで歌っているわけじゃない。ただそこに歌がある。そのステキさなのだ。

 

中川五郎さんの、渡さんへの思い。それと、最後のシーンに泣けた。

 

2017年5月1日(月)

 

Bunkamuraザ・ミュージアムで「写真家 ソール・ライター展」。

 

ヨメが観に行ってえらく感動していたので、ならばと僕も。

なるほど、名声に関心のないソール・ライター氏の奢らない生き方が写真と絵画にそのまま表れているようで、とてもよかった。何気ないようでかなり意表をついた画角、それに単色のなかに浮かび上がる鮮やかな赤や緑が刺激的。陳腐な表現で申し訳ないが、写真から音楽が聴こえてくるようだったりも。ポストカードをごっそり買ってしまったよ。

 

6月25日まで。