9時から手術
あまり効き目が見えなかった緩和剤も朝方までにはすっかり効いて
浣腸のお世話になることもなく手術日の朝を迎えた
母と兄が早目に7:30過ぎには病室にきてくれた。8時過ぎに用意された手術着に着替えると執刀医のM先生がご挨拶に来てくれた。
9時すこし前に迎えにきた看護師さんと手術室のある3階へ母と兄と4人で歩きで出発。
3階に着くと間もなく『8番の手術室』と8と大きく書かれたカードを渡されて案内されて、母と兄には自動ドアを挟んでばいばい...
看護師さんはまだ一緒にいてくれている。
手術室の中待合には、私を入れて手術を受ける人が3人いた。みんな9時からの手術なんだろう...
とうとう名前を呼ばれて、看護師さんとともに8番の手術室の前に案内された。手術室前には麻酔科医や看護師さんが1列に並んでいた。ネームバンドと口で名前確認をする。
ここで...と思うだけでいままで感じなかった恐怖がいきなりピークになった。恐くてたまらない。名前を言う声が震えて泣き声になってしまう...
その後にすぐ手術に携わるスタッフさんを一人一人紹介してくれた。
手術室の扉が開くと、中へ案内されると同時に、病棟の看護師さんともここでばいばい(涙)
冷たくひんやりした
空気がたまらない
涙がとまらない
みっともない私
こわいよ
こわいよ
広い部屋の入ってすぐ奥の右の真ん中に手術台があった。細ーい一人分ギリギリの幅しかない狭いベッドの上に暖める乾燥機みたいのが置いてあり、ベッドの周りには機械がギッシリ置かれていた。
ベッドに寝かされる。
かなり暖かくなっており寝ると汗ばむほどだった。両腕は左右の台に伸ばして置いて、左手にすぐ点滴を始めた。
手の甲に打つの...?全てが初めての光景だった。
今度は硬膜外麻酔。猫みたいに背を丸めて背骨の神経に打つ強力な痛み止めの麻酔。これが術後にとても効くそうだ。
この姿勢を保つのが少しキツい。必死に胸を見るように背中を丸めて、あとは看護師さんが抱えてくれているので抱き抱えられるまま委ねた。
痛いのは痛いけど、麻酔前の麻酔?を打ってくれたので、2回背骨にチクッほどしか感じない。その後で、背中左側に鈍痛のようなキョーレツな痛みの注射らしきものをされた(...ような気がした)。
麻痺していたのかグーって押された感覚しかなかったが、直後から奥にズシンとくる息苦しくもある辛い痛みだった。
初めて言った
『痛いです』
それが終わると男性のスタッフが左上のほうから
『辛いのはこれで終わりです。あとは寝てしまえば、もう終わりますからね』
優しい口調だったけど、とうとうマスクと全身麻酔がくる予感に恐怖だった。
涙はまだ止まらない。泣きじゃくってしまった

ティッシュ使う?と言われても『要らないです』
だって眠ってしまえばもう...。
猫みたいな体勢の時に抱えてくれていた看護師さんにリードされて仰向け寝になった。
手術着のスナップを外してあって今は上に布がかかってるだけで、ほぼ裸だ。
麻酔科医のいる頭の向こうから細長いマスクが見えたと思ったら口にかけられた。なんか細長くてズレてしまって、少し吸いづらいけど、すぐ眠ってしまうんだからいいのか...
気付いたら
空いている右手を、看護師さんなのか手を握ってくれていた。振り向く余裕はなかったけれど、有難かった。また涙がでた。『ありがとう』を込めてギュッと握ると握り返してくれた。
これだけで少し安心できた。
酸素マスクで何回か呼吸をする。私の目線の先には沢山の顔が私を集中して見てる。異様な光景。意識が落ちたらすぐに挿管などの処置が始まるんだろうな......
『眠くなるお薬が入りますよ、痺れる感じがしますよ』
頭の向こうから聞こえてくる優しい口調の声。
皆んなに見守られる中、1、2度呼吸をして半分位麻酔がかかったのがわかった。目がほとんど開かない。足や指先からじわーっと暖かいような、しびれてくる感覚。
次の呼吸からはもう覚えていない。
意識が落ちている何時間か夢を見るのかと思ってた。
でも見たのかな?
なにも覚えていないな...
手術の麻酔なんて体験したこともなく、手術中にもし麻酔がきれたら......なんて思ってた。それは怖かった。
でも実際は、麻酔科医が状態を見ながら麻酔を絶えず流しながらの手術なんだと知った。
手術が終われば、麻酔の投与を止める。
眠り始めてから感覚で言えば、すぐに起こされた感じ。覚えているのは
『⚫⚫さんー、終わりましたよ~』の声と所々の記憶。
目を開けると顔のすぐ左にM先生の顔があった。頭にも手術着の帽子?を被ったままの先生。
『あれ?なに?
もう終わったの?』
無事、手術が早い時間で終わったこと。痛みも麻酔が効いているのか痛みもなにも感じない。
狭心症の発作も無く、出血も少なくて貯血を使わずに済んだこと
を説明してくれたような...
所々眠ってしまっていたのか記憶が途切れ途切れ。
どこかお部屋をベッドで移動する時にドアのレールの部分を通過するとき、『傷に響きますよー』って声をかけられながらガタガタいいながらベッドが通過したのを覚えてる、この時は痛みもなにもなかった。でも半分寝ていた(笑)
すぐに手術室と同じフロアにあるHCUに入れられたそうだ。半分眠り半分起きている状態。この時はまだ手術室なのかどうかもわからなかった。周りに色んな人が動いてる。M先生もいた。母と兄が先生に案内されてベッド横にきた。
色々説明している。
『待たせてごめんね』
『ここ手術室?』
言葉はなんとか出せるものの、声がガラガラでかすれてうまく言葉がでない。
8時間と言われていた手術は16時には終わったそう。現に、取ったものを見せに先生が15時過ぎに家族に見せに来たそうだ。
9時から手術室に入ってから麻酔の処置があって...だから正味5時間位の手術だったんだ。
HCUにいる間にM先生が何度も様子を見に来てくれて
発作もなかったことも、
無事成功したことも、
貯血も不要になり体に戻しても無意味なことの説明や、全て経過が良いことを笑顔で教えて下さった
頻繁にM先生が来てくれていたので安心できた。術後によく聞くような吐き気も変わった症状もなく
すこし時間が経つと声も元通りに戻った。