2024年に草彅剛主演でリメイクされたらしいけど、そちらは未見で、元々の1975年(昭和50年)の映画(主演:高倉健)を観た。
最初に観たのは子供の頃だったけれど、すごく面白かった記憶があった。
当時世間から絶大な関心があった高速列車の新幹線。「じそ~く250キロ♪」との歌が流行ったほどの注目度。
こういうのを旬のネタといい、今現在なら何だろう、リニア鉄道とかを背景に持ってくるのが読まれる小説の書き方かもしれない、と思ったりした。
他にも、多分当時注目度の高かったATC(自動列車制御装置)や線路切替や「回送」表示等、鉄道オタクが舌なめずりしそうなネタがてんこ盛り。
学生運動や過激派、集団就職等の時代背景。ガス台に水かけて火を消し一酸化炭素中毒自殺を図るとか、走る車の形が全てカクカクなど、昭和ならでは。
出演も、高倉健に宇津美健に千葉真一、山本圭ら当時売れ筋だったろう俳優陣。作り手の気合が見て取れる。
スピードを落とせないのに前走列車が故障で止まってしまい反対列車のレールに避けようとするがタイミングを間違えたら正面衝突、といういきなりの見せ場から、バイクや車のアクション、追跡劇、といかにも70年代らしいが、今観てもハラハラドキドキ(音楽はどうしても古臭い感がぬぐえないが……)。
そんな時代を縦糸に、横糸は新幹線のスピードが落ちたら爆発するから金を出せ、という脅迫事件。
1994年のハリウッド映画「スピード」(キアヌ・リーヴス主演)の設定はこの映画をモチーフに作られたそうで。
なるほど、走る電車の床下から乗り出して爆弾を見つけたり、電車を同じ速度で並走させはしごをかけて道具を届ける、無事爆弾を外したのに犯人が知らないからと罠にかける……など、「スピード」は美味しいところをいただいている。
本家のこちらは電車ならでは、最終停車駅までの時間がタイムリミットになっている。それが展開に緊迫感とスピードを持たせ、上手いなあと思う。
仲間、家族、警察、国鉄職員ら、それぞれの立場の思いや対立がよく立った濃いヒューマンドラマで、状況が変わるにつれての乗客のパニックぶりもリアル。
そして、こうした許されざる犯罪は必ずしっぺ返しを食らうという、主人公目線で観続けるとちょっと切なくなる結末が個人的には好み。
乗るはずだった飛行機を見上げるラストがもの悲しい。
古い映画はどうしても遅かったりじれったかったりするのだけれど、
間延びせずスピーディに展開していき、目が離せなかった。
50年も前の映画でこれは別格なんじゃないだろうか。
昔はただ「面白いなあ」と思っただけだけれど、何十年ぶりかに観直してみると、こういう多角的要素を贅沢に盛り込んだ物語が書けたらいいな、と思わされ、書き手の立場からすればとても勉強になる映画だった。
(了)
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