阪神タイガースにドラフト2位で入団し、将来を期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症して引退を余儀なくされた元プロ野球選手・横田慎太郎の軌跡(映画.comより)。
数年前に、この横田選手のドキュメンタリーを見た。その時点では、第二の夢を見つけてそこに邁進しているようだった。
けれど彼はその後、夢も半ば、28歳という若さで亡くなったという。
プロ入りしてレギュラー入りできそうな昇り調子のときに、球が二重に見えて体も思うように動かなくなる。
そのまま活躍できれば一流選手と言われたかもしれないのに。
多くの野球選手の中でそうなれる人はほんの一握りなのに。
それだけでも哀しい現実。
それでも、ファンの支え、お母さんの献身的な看護、本人の「野球をもう一度やりたい」という強い気持ちが、一度は回復をもたらした。
が、病気は再び襲い掛かり、引退を余儀なくされ、次の夢を見出すしかなくなる。
そこへ進み出すメンタルを持つのも容易じゃなかったのに、また阻まれて。
もしも神様がいるならば、あまりにも過酷で残酷だなあと思った。
彼は実在の選手で、阪神は言うまでもなく実在の球団。
近年は、有望若手選手や長年の功労者にさえ簡単に戦力外を宣告する球団が多い中で、阪神は彼を育成選手として回復を待ったようだ。
まだ実績もそうなかったのに、2軍戦ではあれ引退試合もしてくれて。
私はこの球団のファンではないが、その情のあり様に少し胸がうずいてしまった。
途中、実在の指導者も登場し、彼にかけたであろう言葉もおそらく実話。
「頭を使え」と。
野球ばかりしていて、自分はバカだからトレーニングを頑張って体力を鍛えます、との言葉通りに目一杯努力する主人公に、若いうちはいいけれど、将来が心配だな、と感じさせられた。
でも、そういうこともちゃんと上が言っているんだな、だから最近この球団は強いのかもしれないと思わされた。
実話だけあって、病気の描写はリアルでシビア。
たびたび呼吸ができなくなる主人公に、家族が必死でサポートするシーンも長く。
長すぎて、身近に同様の人間がいた自分には、かなり辛かった。
最後まで笑顔で支え続けたお母さんが、本当に女神。
けれど、若くしての闘病だったからお母さんが無償の愛で支えられたものの、もっと大人だったら? 結婚していたら妻が、という話だろうが、おひとり様だったら? そう考えると居たたまれなかった。
それでも、辛い現実ばかりの中、「奇跡のバックホーム」が輝いていた。とても嬉しかった。
関係者はみなそうだったのだろう。
あれがあってこそ、彼の人生は少しだけでも報われたように思える。
野球ファンとして、こういう選手を失ったことはとても悲しく、心からご冥福をお祈りします。
(了)
「シーンと描写」がお題の新作短編(ホラー&コメディ)。11分で読めます!
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「キャラクター 陰と陽」がお題の短編。14分、現代ファンタジー。
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14分で読めます! (恋愛)←ちょっと無謀なジャンル挑戦でしたが……_| ̄|○
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