人にお話を訊きに行くときがある。自分ではわからない、経験のないことを物語に登場させたい場合である。
これが緊張する。ブログを読んでお話ししたい、と思ったり、知り合いの知り合いの知り合い……と辿った方だったりするが、要は全くの初対面、ということが殆どだからだ。
人見知りの自分にはとても高い壁であり、何か失礼なことを言ったらどうしよう、と、とても怖い。
まずアポを取るところからしてクライマックス級の緊迫感。
メールでも電話でも、下書きメモを作っては直しを繰り返した後、決死の思いで敢行。
断られるとかえってホッとしたりする自分の弱さにまたメゲたり。けど、意外なことにおおらかに受け入れて下さる方が多いから、感謝を次のステップへの追い風にする。
で、何を訊きたいかを具体的にレジメにまとめる。これが割と難航する。
元々自分、質問が下手。だから相手の方のお答えごとにうまく話を広げていける自信がない。よっていくつもいくつも質問点を箇条書きしてしまうのだが、逆に話が広がってしまったらそれら全部を訊くことはできない。相手がこうきたらこれ、ああきたらそれ、とか想定問答を繰り返しているうちにぐちゃぐちゃになっていく。まとまるのに偉く時間がかかるのである。
それが一応どうにかなると、今度は一人芝居である。
レジメを見ながら、目の前に相手がいるものとして、声を出して質問してみる。で、相づちを打ったり笑い声を上げてみたり。
頭の中ではお話ししているという設定なので、本人的には全然普通なのだが、第三者が見たら独り言の危ないオバサンである。
そして前一週間は毎日暇を見つけては発声練習。「あえいうえおあお……」とかのあれである。今更腹式呼吸を意識したりして。
自分の声が通りにくく聞き取りにくいと自覚がある。だからなるべく相手に不快な要素を与えたくないが為の、付け焼き刃な努力である。
そして、お菓子探し。お話を聞かせて頂くお礼の手土産だ。
相手の方が仕事場を指定してくるときはお仲間と食べられるような詰め合わせ、男性既婚者なら奥さんの喜びそうな流行のもの、複数の方に訊く時は個別に細かく分けて。
更に場所の下調べ。大抵はあちらのお勤め先か住んでいる場所の近くに伺うことになるが、そこに都合のいい喫茶店とかファミレスがあるかどうか。
あまり周囲に聞かれたくはないから、席がゆったり離れているのが好ましい。録音させて頂くことになるし、また相手の方の声が小さいこともあるので、できるだけ静かなところ。そして長居できる場所。
いろいろと物色した結果、ホテルのロビーがあればそこが一番いいな、と思っている。ないときは、いっそお相手に「近くにゆっくりお話しできるお店などないですか?」と聞いてみることにした。
そんなこんなで緊張のその日を迎えるのだが、大抵その夜はハッピーな気分でいる。お会いした方はとても親切に答えて下さり、楽しく座談を終えるのが殆どだから。もちろん知らなかったことを知れたという満足感も大。事前の怖さなど杞憂に終わるのだ。
ただ、自分がその成果を物語に生かし切れなかったせいで、日の目を見なかった原稿が山とある。本当に残念で、申し訳なさ過ぎて、、、こんな自分がそういった親切な方に甘えてお時間をいただいていいのだろうか、と、取材がまた怖くなるのである。
(了)
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