どうしてこのピンポイント? という件に、立て続けに出くわした。
温泉に行った時のこと。自分の他に、一人だけが入っていた。
泊まりの時は大体夜一回、翌朝一回入る。夜に髪を洗って朝はシャワーキャップ。髪を乾かすのは結構手間なので、朝のこののんびり感が嬉しい。が、その旅館にシャワーキャップの備えはなく、自前のゴムで留めていただけだった。
そんなときに限って。
自分が湯船に入るのと入れ替わりに出たそのおばちゃんが、シャワーで体を流そうとしたその時。
ノズルが手から滑り落ち、うねっと反り返ったかと思うと、もののみごとにこちらにまっすぐ噴水直撃。
髪、ずぶぬれ。おばちゃん、大恐縮。
「ホントすいません……」て何度も謝られて、「いえいえ気にしないで下さい」と返す以外何ができようか。自分もめっちゃやりそうな失敗だけに、心では「ざけんなよ、バカヤロー」と叫んでも、口には出せん……。
ていうか、なぜにちょうど自分の位置に飛んでくる? なぜ朝なの? ちょっとそっちにずれていれば。昨日の夜ならば。何てことはなかった。
別の日。コンビニでSDカードの写真を大量にプリントしていた。時間がかかるので、1メートルほど離れた棚に目をやったりしたその瞬間。どこかのクソガキ様がぴゅっとやってきて、プリント機械のメディアボックスの蓋をガチャっと開けやがったのでした。
何で? 印刷しているまさにそのときに、それだけはやっちゃダメ、っていう「それ」をやってくれちゃうの? しかも誰なの、君?
機械は満面のエラー表示、大量の写真やり直し。そりゃ目を離したのは悪かったよ。けど次にプリント待ってるわけでもないあなたが、一体なぜ。
そしてまた別の日。疲れて乗った電車がラッキーにも空いていて座れた。徐々に混んでくる間にうとうとしていたら、何やらわめき声が聞こえた。
同じ列の5人くらい向こうだろうか、顔は見えない。「何で譲ってやんねえんだ! お前等それでも人間かっ、足怪我してる人見て見ぬフリかっ!」とか何とかそんな主旨だった。
何の騒ぎ? と薄目を開けると、そいつの側から離れたかったのであろう、その当事者らしき30代くらいの女性。杖をつきながらこちらの方へきて……一息ついたのが自分の目の前だった。
その男、自身はちゃっかり座ったまままだわめき続け、車内がどんどん険悪になる。で、ワタクシ、潔く席を譲りましたとさ。
断っておくが、自分は決して優しくも親切でもない、むしろ自己チューである。疲れてるから座っていたい、という以上に、こんないたたまれなさに身を置いていたら具合悪くなると思ったからそうした。で、とっとと別の車両へ移った。
こんな理由でごめんなさい、杖の方。自分もつい最近、足トラブルにめっちゃ悩まされたから、しんどさはよくわかる。譲るならもっと純粋に譲りたかったさ……。
で、ふと思う。なぜに同じ車両のそこにアホ男が乗り合わせる? なぜに今? 次の電車じゃなく?
やたらに続いたピンポイント攻撃に、もう怒りも愚痴も沸いてこず、笑いさえ出てきた。
まあバイオリズムってあるからね。ついてないときって続くんだよね。
それは短くない年月を生きてきた中で得た確信。で、あとは上がっていくだけなんだよね。
(了)
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