『なんで離婚なんてしてんのよ?』
と、俺の狭いアパートにやって来た二宮は
部屋をぐるりと見回して
智の絵を手に取って眺めてた。
酒の用意をして台所から出てきた俺に
二宮は智の絵を近づけて
『年取ったな。』
と、言って少し笑った。
顔にはシワも増えてきたし
白髪も増えた。
『お互いな……………』
俺はそう答えると
二宮から絵を受け取ってもとの場所に戻した。
『それ?
原因?』
"それ"とは「智が」と言う意味だろう……
俺は何も答えずペッタンコな座布団を差し出した。
二宮は座布団の表面を手で祓ってから胡座をかくと
『未華子さん、頑張ってくれてたのになあ……
こんなおっさんを世話してくれたのに
自分から手放すなんてな。
男の一人暮らしはウジが湧くって言うぜ。
ちゃんと掃除しろよ。』
と、説教を始める
俺は
『わかってるよ。』
そう言って、コップに注いだビールを飲み干した。
自堕落な生活を送るつもりはない。
人生も後半に入った俺たち。
先が短いからこそ
俺は、未華子を解放してやりたかったし
やっぱり…………
智を一人で待っていたかったから…………
『……智を……待ってるのか?』
二宮が図星をついてきた。
『ふっ、
迎えにくるにも住所知らねえだろ。』
と、俺はおちょくった。
『ばか
そう言う問題じゃねえ。』
そう言って二宮もビールを飲み干した。
それからなんの会話もなく
ただテレビから懐かしい曲が流れてくるなか
お互い手酌で飲んでいた。
『あっ、この曲…………』
子どもの頃に流行った流行歌。
それに反応して二宮が口ずさみ
それとともに思い出が甦ってきた。
『覚えてる?
相葉がこれの替え歌作って歌ってたよな。』
と、二宮。
『ああ、覚えてるよ。
覚えてる。』
キラキラしていた俺たちの青春。
辛いことも悲しいこともあった……
笑い転げて、ふざけあったことも………
一途に人を好きになった時のことも………
そう………
そこにはやっぱり智がいて
智がハニカミながら笑ってる。
どんなに時が経っても
俺には忘れられない存在…………
智…………
お前は俺を……………
忘れてないよな……………