「翔くん……………

翔くん……………………

ごめんね。

ごめん。

俺………………

やっぱりダメだった。

やっぱり勝てなかったわ…………

俺……………」









目が覚めた時

目に飛び込んできたのは

残念ながら俺の担当の先生だった。

『目が覚めましたか?

気分はどうです?』




ビニールで囲われたベット……

腕に刺さった点滴……

消毒のにおい……

俺は何となく意味を悟ってしまった。



『…さ……再……発………した……

…って………ことですよね。』


俺は確かめるように尋ねてみた。

すると、先生が悲しげな声で

『残念です。』

と、言う。

それからこれからの治療方法や

状況を話してくれたけど

何も頭に入ってこなかった。




ただ、

何でだろう………

凄く冷静で

凄く穏やかな気持ち………

翔くんに痛い思いさせて移植したのに

申し訳なかったなぁ………とか

未華子ちゃんにも悪いことしたなぁ……とか

翔くん……

俺、やっぱり病気に勝てなかったよ………

なんて思いながら天井を見てた。




先生の話を遮って

『先生、

前に約束したの覚えてますか?』

と、尋ねてみた。

俺が移植をするときに

先生にお願いしていたこと

『再発する可能性が有ることは……

言わない…………って………』


翔くんが提供してくれた脊髄は

俺の癌を、殺すことが出来ないかもしれない

ってことを

「移植をすれば元気になる。」

「移植をすれば完治する。」

って、思っている翔くんに

知られたくなかった………

それに俺もその言葉を信じたかったんだ。




『ああ………

そうでしたね。』

と、先生は思い出したように答えた。



『…………再発したこと……………

黙っていてくれませんか。

俺からちゃんと話したいので…………』


『わかりました。

では、私は黙ってることにしましょう。

それで、今後の治療なんですが…………』

そう言う先生の言葉を再び遮って

『すみません。

俺……………

もう、治療はしません。』

と、答えた。

先生は驚いた顔をして

『でも、もう一度………………

可能性はゼロじゃないんですよ。

諦めずに

少しでもいい方法を考えましょう。』

そう言って俺を励ますけど

『先生も言ったじゃないですか。

再発したら…………

後がないって…………』

と、俺は笑って見せた。

『で、後………

どれくらいですか?』