父、倒れる
朝、父が倒れて、意識不明になった。
手をさわると、とても冷たい。
帰ってしまったのかと思った。
寝室にも行けず、茶の間で横になっている。
息は微かにしてる。
でも、いつ帰ってもおかしくない状態だ。
「救急車呼んで!」
と、言ったけど、母は
「大丈夫だよ」
と、言う。
帰ろうとしてる人がいるのに、そんな呑気に構えてていいの?
意識不明なんだよ。
今もやっと息してるって人なのに。
今夜寝たら、そのまま帰ってしまうかもしれない。
今日、年賀状を出しに行くつもりだったけど、父が帰ってしまうかもしれないので出すのをやめた。
明日から天気が崩れてしまうのに。
父の意識不明は続く。
年末に葬式やだな。
父が死んだらこの家回らない。
救急車呼んでくれ!
蘇生させないと!
父は短命だったのかな。
祖父がかなり短命だった。
私は祖父の顔を知らずに育った。
祖母は91歳まで生きた。
明日はタクシーで医者まで行く。
熱さまシートはして行けない。
熱で引っかかって、医者に入れない。
医者の検温機、熱さまシート貼って行ったって、36.6度は必ずある。
貼らないで行ったら絶対37度はある。
熱がある場合、どうなるんだろう。
私、医者で検温、4回引っかかったのよね。
今の検温機になってからは熱さまシートして行ってるからギリギリ引っかからないけど。
明日は引っかかるだろう。
父が危篤…
医者に行ってる場合じゃなくなった。
葬式終わってからじゃないと医者行けない。
父が死んだら経済的にも厳しくなる。
スマホの料金払って、医者代払って、タクシー代払ったらマイナスだ。
なけなしの預金を崩していくしかない。
なぜ救急車を呼ぼうとしないんだろう。
母にはもう父が寿命だとわかっているからだろうか。
私ならすぐ救急車呼ぶのに。
いつかは帰る日がくる。
それはいつも突然で、しろの時もだし、父の時もだ。
父が帰っていって、しろも一緒に帰ることのないようにしなければ。
危篤の父を見守りたい。
明日の朝、冷たくなった父と対面しなくちゃならないのか。
自分が死のうとしてたことが怖くなった。
死を目前とすると、死ぬのが怖い。
年賀状ギリギリまで出すの、やめよう。
父が帰ってしまう。