2万ドルの手付金が戻って来ない?
私はボランティアとして牧師をしながら、通訳の仕事をしています。通訳の仕事のほとんどは不動産に関するもので、私もかなり知識が増えてきましたので、よくクライアントに、不動産の仕事を始めたらどうかと勧められていました。米国の不動産のエージェントは、日本の保険のセールスのような自営業ですので、空いている時間に自由にすることができます。そこで、去年、ネットの授業を取ってライセンスを取り、私もとうとう不動産屋のおじさんになりました。
コールドウェル・バンカーという米国最大の不動産フランチャイズに入って、不動産エージェントとしてした最初の仕事は、ホームレス・シェルターとして貸していた自分の家を売ることで、これはうまく行きました。売ってできたお金をどうしようかと考えていた時、とても安く売っている家がありましたので、それを買うことにし、売買契約を交わしました。
早速、点検をしてもらったところ、直さなければならないものがあったので、修理してもらうことを契約に追加しました。ところが、いつまでたっても直してくれません。修理代を差し引いてくれるというので、その契約を書いて渡したのですが、サインしてくれませんでした。家の値段に比べると大した額ではないので、私は諦めることにしたのですが、最後には、知り合いがもっと高く買ってくれることになったので、私には売らないと言い始めたのです。もちろん、売買契約をしているので、それは契約違反なのですが、強制的に売らせるためには、裁定人を雇って仲裁をしてもらわなければなりません。そんなことに時間とエネルギーを使いたくはないので、解約することにしました。
そこでブローカー責任者のアシスタントに相談したところ、私も契約違反をしているかもしれないと言われたのです。大体、私は細かいことが嫌いで、契約書の細かい条項に気をつけていませんでした。売主も、それを知ってて売らないと言い始めたのかもしれないので、もしかしたら手付金の2万ドルが戻ってこないかもしれないと言われ、その上、ちゃんと仕事ができていないと、こっぴどく叱られてしまったのです。
私はもともと非常にのんきな性格なので、心配事など、数年に一度くらいしかすることはありませんが、今回は落ち込んでしまいました。私はこのことを家内に打ち明けました。きっと何か言われると思っていたのですが、家内は一口も愚痴を言うことはなく、それどころか、2万ドルのことなど気にもしないで、私を励まし慰めようと一生懸命でした。この人と結婚して良かったと思わされる事件でした。
2015年8月に、「ハワイの太陽光発電で大損」というブログを書いたことがあります。家内が太陽光パネルをつけることによってできる税控除の申込書を出すのを忘れていて、$14,000ほど損をしてしまったのです。その時、私は家内を責めなかったので、我ながらよく対処できたと思っていたのですが、今回逆の立場になって、いかに自分の愛が足りなかったかに気付かされました。あの時は、私は家内を責めることはしませんでしたが、励ましたり慰めたりはできませんでした。できないどころか、そんなことをしようという考えすら起こりませんでした。責めないで赦すということだけで上出来だと思っていたのです。
結局、ブローカー責任者に聞いたところ、私は、不履行になっているわけではないと言われ、ほっとしました。今回は、高い授業料を払わなくて済みました。