もう少しでホームレスをひき殺すところだった | 大野純司のブログ

もう少しでホームレスをひき殺すところだった

ある日、息子と近くのスーパーに買い物に行きました。その日は混んでいて、スーパーの入り口の反対側にある壁沿いに車を止めました。買い物を終えて、私たちは、スーパーの入り口から駐車場を横切って車のほうに歩いて行きました。車は、壁沿いに斜めに止めてありました。アメリカでは運転席は左側にあります。車に向かってまっすぐ歩いていた私たちには、車の後部と左側面は見えましたが、右側は斜めになっている車の陰になっていますので、何も見えませんでした。

私たちはトランクに買い物のバッグを入れ、息子はカートを返しに行き、私は運転席に乗りました。通常ならまっすぐバックしてから前進するのですが、家に帰るには逆方向なので、ハンドルを左に切ってバックし、反対方向に行こうと考えていました。その途中でカートを返しに行った息子を乗せて帰ろうと思ったのですが、カート置き場はすぐ近くだったので、バックし始める前に息子は車に戻ってきました。

助手席、つまり右側から乗ろうとした息子は、何と車のすぐそばで酔ったホームレスが寝ているのを発見しました。私はハンドルを左に切ってバックしようとしていたわけですので、もう少しで彼を敷いてしまうところだったのです。息子が戻ってくるのが遅かったら、あるいは一人で買い物に行っていたら、右前輪のすぐそばに横たわっていたホームレスの頭の上にタイヤが乗り上げていたでしょう。

私は、このホームレスを殺さなくて済んだことを神様に感謝しました。しかし、何か複雑な心境でした。どのようにすれば彼らを本当に助けることができるのでしょうか。息子はホームレス・シェルターで働いていますので、私よりも悩んでいることでしょう。最近、何人かの人が更生するのを助けることができたと言って喜んでいましたが、全体の数に比べると、ほんの一握りです。

その息子が、最近、ある提案をしました。彼はシェルターのクリニックで働いていますが、最近、市民権を持ってない人で、低所得者向けの健康保険がもらえない人が増えてきたというのです。州政府も、経済的余裕がなくなってきて、無差別に保険を出すことができないのです。クリニックは、治療費を取ることはありませんが、薬は薬局で買わなければなりません。しかし、そのために予算が計上されているわけではないので、保険のない人には高い薬が出せないことがあるというのです。

とはいえ、すぐ隣にある薬局は、そのような場合には薬を原価で売ってくれます。ですから、そう大した額でもないのです。また、11月の中間選挙で当選したハワイの副知事がホームレスの問題に取り組んでおり、もうすぐ薬を大量に仕入れることができるようになるので、それまで教会が、足りないときの薬代を出してくれないかと言うのです。

と言うわけで、さっそくいくらかの現金をクリニックの金庫に入れておきました。シェルターの経営陣には何も伝えてありませんが、文句はないはずです。病状が重くなる前にちゃんと直しておけば、本人が助かるばかりか、病院も保険のないホームレスの患者が減り、経済的負担が減ります。私の息子も、時にはいいアイデアが浮かぶようです。何年も上がってなかった給料が、来年から$5,000も上がることになって、本人も喜んでいました。