「神がいるなら、なぜこんな悲劇が起きるのか。」
あるナチス収容所の体験者が、インタビューを受けてこのような質問をされました。このおばあちゃんは、間髪を入れずに穏やかにこう答えました。
「その質問は、人間の責任を神に転嫁しています。」
悪夢を体験した本人のこの答には覆すことのできない重さを感じましたが、なぜ神はそんなことが起きることを許すのかと思う方もいるでしょう。
もう30年も前のことですが、「オー、ゴッド」と言う映画がヒットしたことがあり、確か第3作目まで作られたと思います。この映画でも、ある少女が神役のジョージ・バーンズに同じような質問をしました。そのときの神のせりふを今でも覚えているのですが、だいたいこんな感じでした。
「これは言い訳のように聞こえるかもしれないが、悪のないところに善はないんだよ。」
つまり、神は人間をロボットには作らなかったと言うことです。悪を選ぶことができて、初めて善をも選ぶことができるのです。モラル(道徳的)の反意語はイモラル(非道徳的)ですが、善しか選べないとすれば、それはアモラル(道徳と無関係)な世界なのです。悪に打ち勝ってこそ、善の価値があるのではないでしょうか。