あれ
駅から出たとこで、見覚えのある後ろ姿が二十メートル前にいた。
最近全く会ってない、昔馴染みの奴だ。
仕事終わりか。
コンビニのある方へ進む。
ちょっと方向が違ったが、後を追ってみた。
多分間違いないんだけどな。
俺は携帯を取り出し、覚しき奴の番号を呼び出してみた。
と、目の前の人影は携帯をポケットから出した。
間違いねぇな。
なんて言ってやろうかと思ったら、受話されず三コールで切られた。
それから奴はコンビニへ消えた。
誰とも話したくなかったのか、ただ俺が疎まれていたのか。
俺は手前の小路を曲がって、奴が入ったコンビニから離れた。
電話を切られた理由は聞かなかったが、誰とも話したくない事もあるわな。
俺からかけると出ない奴は多いから今更そこまで気にならねぇし。
とりあえず生きていた事が分かったんで、それで良かったか。
朝っぱら、親父が健診に行くんだと準備していた。
「どこまで行くんだ?」
「○○だ」
「じゃあ○○病院か?」
「そうだけど、お前行ったことあんのか?」
「ああ」
昔仕事でね。
綺麗にはまったな。
その数秒間、俺にドラマの役があてられたような気がした。
そこは霊安室が地下にあるんだけど、別にそれは言わなかった。