昨日あったことを。
少し長文になるけれど、できれば最後まで読んでほしい。



昨日は日曜日。新しく勤める現場が渋谷になったので、その日は朝からの勤務のために渋谷駅から現場へと向かっている最中だった。



勤務地まであと数十メートルほど、もう目と鼻の先くらいまで来たところで知らないお兄ちゃんに声をかけられた。


金髪で、髪自体はミディアムくらいの長さ、目は切れ長で中背くらいのお兄ちゃんだ。



聞けば、茨城のひたちなかから昨日(土曜日)来て、先輩と飲んだが喧嘩をしてしまい、殴られた。
財布や携帯などの貴重品も落としてしまい、今日は仕事で、現場からも早く帰って来いと言われているがお金がなくて帰れない。4000円でいいから貸してほしい、と言われた。
お兄さん(俺のこと)優しそうだから声をかけた、そうだ。



警察へ行けば?とふったが、さっきも行ったけど話を聞いてもらえないとかなんとかで警官を殴ってしまい、公務執行妨害だ、とか言われてダメだった。もう前に7回もパクられてるからヤバいんですよ、とか言っていた。



殴られた証拠として、切れて、赤くなっているくちびるを見せてきた。
衣服も少し乱れていたし、物腰というか感じからして田舎者っぽい、それこそ茨城とかの感じだと思った。


表情も、目も真剣そのもので冗談やウソではなさそうに見えた。



始業時間も迫っていて俺も少し急いでいたので、財布にたまたまあった4000円を渡した。



近くにあった富士そばか何かを指してメシ食ってもいいですかと聞いてきたので、それで帰れるのと俺が聞いたら3500円くらいあれば大丈夫だ、とのこと。



そのままそこを後にした。




切羽つまったギリギリの状況でお金がなくて困る気持ちは俺にもよくわかる。
事実、恥ずかしながら今でも悩んでいるような状況だし。


俺も地元は栃木県の宇都宮だし、茨城とか北関東の人の物腰とかはある程度はわかるつもりだ。
都会の東京のど真ん中でどうすればいいかと焦る気持ちもわからなくもない。




だけど、道端で見かけただけの見知らぬ赤の他人に、いきなり金を貸してほしいというのは非常識だ。

話を聞いてもらえないからといって、警官を殴るというのもどうかしている。
前科の有無や回数は問題ではない。




俺も急いでいたし、彼も焦って困っているような様子だったので貸したお金を返してもらうよう連絡先を聞くのを忘れてしまった。



俺にも非はあるが、そもそも彼が酒を飲んで喧嘩をしたりしなければこんな事態にはならなかったはずだ。


そういえば彼、金をもらって「ありがとう」の一言もなかったような。




俺が言いたいのは、唐突に金を渡したことというよりも、それに至るまでの道理やモラルの話だ。



人へのものの頼み方、頼むに至る道理や理由、そしてその前の段階でやらねばならないこと、またそのあとの段階のことを、もう少し考えてほしかった。


俺も、その場で教え諭してやるべきだったと少し後悔している。


お金が絡むことというのは、信用にかかわることだ。



まだ若くて何もわからなさそうだったそのお兄ちゃんにも、そんなことがわかるような人間になってほしいという思いも込めて、投資として4000円を渡したと思うことにしよう。



以上、休日出勤の日の出来事でした。