前回、訪れた日本銀行・小樽支店の海側に、【北のウォール街】 の中心と呼ばれる、四つ角があります。銀行三軒と、郵便局が立ち並ぶ地は、2017年9月、似鳥美術館として生まれ変わり、大いに賑わっています。

 

[旧・北海道拓殖銀行 小樽支店]

2017年9月、似鳥美術館として運用がはじまった、旧・北海道拓殖銀行の小樽支店。

小樽経済が絶頂の大正12年に建設され、三菱、第一各銀行、郵便局と共に、北のウォール街の交差点を飾っています。

銀行に貸事務所も併設したいた、当時の道内を代表する大ビル建設で、銀行ホールは2階までが吹き抜け式、内部の古典的円柱が立っています。

 

 

『蟹工船』の作者・小林多喜二は、ここの二階に勤務しながら、執筆活動をしていました。そんな銀行は、役目を終えた後、長きにわたりホテルとして活用され、美術館へ転身したのです。一階は美術館の土産物などの販売スペースとして無料で入場できますので、観るだけじゃなく、お土産を探してみるのも良いかも知れませんね。

 

[三井銀行 小樽支店]

関東大震災後の耐震構造を備えた、鉄筋鉄骨コンクリート製、岡山県産の花崗岩を積み上げた堅牢な外観に、ルネッサンス式のアーチが見事です。平成13年に銀行の営業を終え、似鳥美術館の一環の「小樽芸術村」となって使われています。

 

建物の右側面、似鳥美術館側から臨んだ風景。

 

[三菱銀行 小樽支店]

大正11(1922)年創建、三菱銀行の小樽支店として設立された、鉄筋コンクリート4階建てギリシャ・ローマ風の大型ビル。現在は北海道中央バスのターミナルとして、20分おきに天狗山行きのバスが出発、また、老舗の人気洋菓子店「あまとう」、ぱんじゅうの「桑田屋本店」などが入居しています。

 

[第一銀行 小樽支店]

大正13(1924)年7月竣工の鉄筋コンクリート4階建て、北のウォール街の一角をなす壮麗な建築物。玄関の張り出しは、かつてはビルの半面を覆う程大きく、ギリシャ風の装飾が施されていました。現在はアパレルメーカーの縫製工場として利用されています。

 

[小樽郵便局]

平成に改築された小樽郵便局ですが、町の雰囲気を守る為、レトロな外観が踏襲され、中身だけがモダンに刷新されています。

 

[旧・第百十三銀行 小樽支店]

明治41年の竣工、寄棟、瓦屋根に、ギリシャ風の外観という和洋折衷。木骨石造りで一階という小樽の銀行らしいホール式の建築物。現在はオルゴール堂として巻顧客の人気を集めています。

 

[旧・北海道銀行 本店]

明治45(1912)年築、2階建て、現在ある北海道銀行とは別。日本銀行のはす向かいにあり、竣工は僅か1週間こちらが早い。

日本銀行では共同設計として名を連ねた長野宇平治の単独設計。際立つアースカラーの外観、石造りの重厚さは、レストランとして活用されています。

 

この他にも、北海道銀行本店、第一銀行小樽支店、三井物産小樽支店などの歴史的建造物があります。さて、ここまで来れば、もう運河ですが、その前に―――

次回は鉄道関係 [小樽駅、手宮線と富岡] を、観に行こうと思います。