奥多摩町は東京の東端、山梨県との境にある町です。東京の水甕(がめ)と共に、渓谷散歩などのレジャースポットで家族連れに人気ですが、最近は外国人観光客も多く、新たな観光スポットもありますので、覗いてまいりました。

 

 

行った理由は、【奥多摩ではしご酒】という不埒な小旅行です。

 

 

先ず、下車したのが、JRの沢井駅。ここに小澤酒造があります。

 

しかし、その前に、足を伸ばしたのが「福島家」住宅。

 

東京都指定の有形文化財で、江戸初期から名主(なぬし)を勤めた、福島家の住宅として18世紀中期に建立されています。

 

 

今回、内覧の説明をしてくださったのは、第35代の当主である福島康正さん。

入母屋造り、茅・杉皮葺き、平屋建ての家屋で、内部は江戸末期以前の六つ間の作り、庭を備え、隣りの蔵はかつては牢屋として使われていたのだそうです。

 

 

家の奥の客間(▲写真・上左)は、廊下の板張りに使われている板も、使用人が使う入り口付近と材質が異なるのだそうです。

 

写真上▲は、実在する江戸時代の御触書。キリシタンを見つけた者に銀×枚という内容が奉

行の名のもとに記されています。御触書の上にある棚には、福島家の家紋が記された[提灯箱]が置かれています。

 

 

写真上・左▲、引き戸の組子細工にも様々な工夫があり、繊細な仕事がなされています。炉端(写真上・右▲)は手前がご当主の席、使用人は窯側と決められているのだそうです。

 

 

福島家は、戦国時代「武田氏」の家臣であったとも伝えられ、江戸時代、沢井村の名主として、年貢の取り立て、罪人の取り締まり、また、奥多摩の材木を東京に送り出す管理などを担当していたのです。ここは、水上勉原作の名作映画「はなれ瞽女おりん」(1977年、篠田正浩監督・岩下志麻主演)の撮影地としても使われているのでそうです。

 

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さて、本命の小澤酒造の訪問です。創業は1702年(元禄15年)とされている。現在の当主は22代目の小澤順一郎。酒蔵の見学、社員杜氏の育成、ネット販売、レストラン経営と、積極的に多角化をすすめる老舗酒蔵です。

 

 

No.1 ブランドの酒「澤乃井」は、この沢井の地が、昔「澤井村」と呼ばれていたため。2種類の湧水を利用、温度管理された貯蔵タンクも保有する話題の酒蔵です。

 

 

酒蔵見学は30名くらいのグループ、先ずは、黒板で米作りの流れを勉強。次に貯蔵庫を見学、ここには江戸時代の土蔵もあれば、平成のコンピューター制御の蔵もあるのだそうです。
残念ながら夏なので、お酒の仕込みは見られません。ここは10月20日頃に仕込み開始、春まで続くのだそうです。

 
 

酵母を活性化させる為、三段仕込みでじっくり発酵させるのだそうです。山田錦とササニシキの米粒、その違いを実物で比べたり、圧搾機を見たり、湧水の源泉を見たり、説明も上手く子連れ客も楽しそうでした。


 

さて、見学の後は無料の試飲。利き酒として使われる蛇の目お猪口で試飲です。サイズは小さいですけど… 本日の試飲は「さわ音」(写真上・左)、夏向けのキリッと爽やかな酒でした。


さて、酒蔵見学の後、利き酒処にて、利き酒です。最初の一杯には、お猪口が付いています。つまり、お猪口は一個お持ち帰り自由って訳。そして、二杯目からは百円引きになります。なかなか気の利いたサービスです。アテには田楽こんにゃく。

 
 

利き酒 大吟醸・鳳)、澤ノ井・大吟醸、澤ノ井・元禄。小さめのお猪口とは云え、なんだかんだ、ぽわ〜んと、よい心持ちです。田楽の味噌を舐め舐め、ちょびちょび呑みました。

 
風を感じながらの昼酒スポット。辛党の御仁、左義長の貴女、是非お奨めです。

 

 

次回の【奥多摩パート2】では、鳩ノ巣渓谷、青梅線終点の奥多摩の祭りと、ビアカフェ・バテレをご紹介します。 ►GO Part 2